健康

昔の女性は生理をどうしていたのか? 「生理の今昔物語」

昔の女性は生理をどうしていたのか?

女性の身体は約1ヶ月に1度、卵巣から卵子を排出する。それに合わせ子宮内膜を厚くし受け入れ準備をする。

その間に妊娠しなければ、準備してきた子宮内膜が剥がれ落ち、血液と共に身体から排出される。

これが「生理」である。生命にとってはとても尊い身体の仕組みと思えるが、今と昔ではどのように考えられ、また違いがあるのだろうか。

昔の生理事情

生理は個人差があるが、だいたい小学校高学年〜50歳くらいまでの期間、月に1度訪れる。

昔は平均寿命が短く子供を産む回数が多かったため、生涯の月経回数が少なかった。また現代では経血の対応を生理用品に頼りきっているが、昔は自身で経血をコントロールでき、まとめてトイレで排出する事が可能だったという。

それらを踏まえると、現代と比べて生理用品がそこまで必須ではなかったとも思えるが、現実的には生理用品は昔から存在していた。

日本での最初の生理用品は、平安時代に天皇へ献上された日本最古とされる医学書「医心方」に記されている。

当時は布製の生理用品があり、「月帯(けがれぬの)」と呼ばれた。

ふんどしのような形をしており、本体と身体の間に「当て布」を挟んで使用するものであった。しかしこれは身分の高い人が使う高級品で、一方庶民は古い布などを使い、また当て布の代わりに植物の葉を使用したりしていた。

葉っぱは時代が進むにつれてさすがに無くなり、江戸時代には和紙が使われるようになった。

生理中の女性は隔離

日本にはかつて「月経小屋」と呼ばれる施設があった。生理中の女性が他の家族や地域の人と接する事が無い様に隔離するためだ。

全国にあったわけではなく、瀬戸内海や伊豆諸島などの主に島々にあったもので、他の呼び方として「よごれや」「不浄小屋」とも言われ、あまり良い印象は無い。

なぜそのような小屋に隔離するのかというと「生理中の女性は不浄である」「男性は生理中の女性に接すると危険である」と考えられていたからである。生理中の女性を「穢れている」として隔離する習慣は、外国でも同様にあったとされている。

アメリカのインディアン、南アフリカ等の諸民族にも似たような習わしがあり、また「生理中の女性と同じ食器を使用すると死ぬ」「花や果実が枯れる」などとまで信じられていた。

隔離されている期間は当然、地域の人々に生理であることがばれ、時には子供まで馬鹿にされたとされ、生理中であることにより屈辱的な思いをする女性は少なくなかった。

このような風習は1872年(明治5年)に法令が発布され、公式に廃止された。

戦後、生理用ナプキン登場

昔の女性は生理をどうしていたのか?

画像 : 化学製品の紙ナプキン 羽付き(右)と羽なし(左) wiki c KaurJmeb

明治時代になり脱脂綿が普及すると、月経帯の間に挟んでいた和紙から脱脂綿に変わった。

現代のタンポンのように直接挿入して、経血を吸収させる方法も採用されるようになった。月経帯もゴム製のもの、T字タイプのものも登場した。

そして1961年(昭和36年)に「アンネナプキン」が登場し、現在もっとも普及している「生理用ナプキン」が初めて広まった。脱脂綿の5倍の吸収力、使用後はトイレに流せるなどそれまでに無い便利で衛生的な生理用品として知られるようになる。

1978年(昭和53年)になると、高分子吸収剤を使用した生理用ナプキンが登場し薄型化が進んだ。

現在では、ナプキンやタンポン以外にも月経カップ、布ナプキンと選択肢が広がっている。

●生理用品の長所と短所

ナプキン → 粘着シールが付いている面を下着に貼り付けて使用する。長所は、入手しやすく種類が豊富。
短所は、ゴミが出る・肌がかぶれたりする人もいる。

タンポン → 膣内に挿入して使用する。長所は、肌に対する負担が少ない・プールや運動時も問題ない。短所は、正しい使い方が分からない人が一定数いる。

月経カップ → 膣内にカップを挿入して、経血を受け止め、溜めておく。溜まったら捨て洗って再び使用する。長所は、慣れれば違和感が無い・自身の経血量が分かる。短所は、コツをつかむまで時間がかかる・消毒が面倒。

布ナプキン → 通常のナプキンの形で肌なじみの良いコットン素材で出来ている。長所は、繰り返し使用でき、コスパが良い。短所は、外出時に外すと持ち帰る必要がある・洗うのが面倒。

現代の女性と生理

昔の女性は生理をどうしていたのか?

画像 : 子宮内膜の変化の模式

先述したように、生理中の女性は穢れているとの習わしや、実際に生理中に起きる心身の不調、さらに生理日の3〜10日位前から始まる心身の不調が起きるPMS(月経前症候群)など女性は昔からしばられ、不自由な思いをしてきたと言っても過言では無い。

症状の程度は本当に各々で違っている。生理がくる度に酷い腹痛、頭痛、吐き気等が起きて病院へ通わなければならないほどだったり、精神的に不安定(イライラ、落ち込み等)になったりと、周りの人からなかなかその痛みや苦悩を理解してもらえなかったりする。

現代では女性が社会で働くのは当たり前となったが、生理による心身の不調の他にも問題がある。生理用品の交換のタイミングも大きな悩みの1つである。

長時間交換出来ないと、経血を収めきれなくなり衣服を汚してしまう。また交換の都度、席を外すため周りの目が気になってしまい、さらに心理的にも負担となったりする。

生理休暇制度

年号が令和に変わった現在でも、有給の生理休暇を設定している事業者は全体の約3割ほどに留まっている。

しかもその中で、生理休暇を実際に要請した女性の割合は0.9%と1割にも届いていない。制度があっても全く利用されていない状況だ。その背景にはやはり、生理を公にしづらかったり、各々で解決するものという考え、そもそも生理は病気ではないという概念があるように思える。

これを解決するには、まず事業者側が今よりもっと有給の生理休暇を増やす事、そして女性が生理時に休みたいと思った時は「生理のため休みます!」と堂々と意思表示出来る環境・社会作りが必要だ。

生理の程度は各々で違うため、当事者の気持ちを100%理解する事は困難ではある。

せめて「あー、生理中か、いろいろ大変なんだろうな」と気にかけて、寛容に接する事で世の中も確実に明るくなると思える。

 

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草の実堂編集部

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コメント

  1. アバター
    • 名ひよこ豆無しさん
    • 2024年 10月 26日 3:52am

    生理、女性にとって運命のようなもの。しかし男性からは奇異にとられその血は糞より汚いものと頭ごなしにみられる。その血は、豊富な栄養にとんでいる。子供を、育むからね。聖書ニ、アダムによって地は呪われ、男は女を支配し女は男を慕うとある。そして、妊娠の苦しみを、大いに増す。今までそうしてきたね。コ–ランは、女は男より劣った、生き物と書かれ、聖書は人は女から産まれるので大切にしなければならないと、モ–セは伸怔記のなかに、二回も書いてある。タリバン、母を人間として見ているのかねェ

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