経済

TPPが施行されたら日本はどうなるのか

TPPと貿易収支

基礎経済学から考える TPPと貿易収支 について

2017年1月に入り、アメリカのトランプ新大統領がTPP脱退についての署名をし、再び注目が集まりました。

直ちに脱退、TPPが白紙に戻るとまではいきませんが、アメリカの議会でも保守派と自由貿易推進派とで再び論戦が繰り広げられる事は間違いありません。

日本にとっても対岸の火事ではなく、再びTPP脱退かそのまま加盟かで議論が行われています。
TPPが採決されることにより恩恵を受ける人たちと損失を被る可能性が高い人たちはそれぞれ誰なのか、そもそも自由貿易とは何か、トランプ新大統領が特に気にしている貿易収支とは何か、経済学の観点から解説していきます。

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TPPとは?

TPPとは、環太平洋パートナーシップ協定を略したもので、太平洋に面した国々で貿易協定を結び、ヒト モノ カネ サービスなどにおいて多角的に連携を取り、加盟国全体の利益になるようにしていこうという連携協定の一つです。

先進諸国と呼ばれる国々は程度の差はありますが、人口減少、高齢化社会という課題を抱えています。

そういった社会事情は国内での様々なマーケット(全体的な需要)が縮小していくと考えられています。需要がなくなっていけば次第に供給量も減らしていかないと、極端な値下げをする事になり、それは企業収益を大幅に減らしてしまいます。

マーケットが縮小していくときは、極端な値下げを防ぎたいのですが、それでも緩やかに価格は下がっていきます。

一時点において、価格が下がる事は消費者側からすればメリットのように思えますが、売り上げが落ちるので給与や年金が下がる(上がりにくくなる)という側面もあります。

 

海外でモノを売るときのカベとは?

そういった状況で国内市場が縮小傾向にある場合、貿易をして海外でモノやサービスを売っていく事が重要になります。

外国と貿易をする際に、通常は関税という税金を、輸出する国に課します。既にある国内産業のメーカーをある程度守るために、国内メーカーの小売価格と同じかそれより高くなるように関税が設定される事が多く、モノによっては300%もの関税をかける製品もあります。

これは自国のメーカーを保護する(言い方によっては育てる)時には有効ですが、自由貿易、資本主義という大前提からは反する制度です。

日本が麦の輸入を行う上での現在状況を例にとってみます。

小麦と大麦は供給量などを安定させるため、国が一括して輸入して国内業者に販売しており、その際に国内生産者を保護するために関税を輸入価格に上乗せしています。

2016年4月段階でのTPP大筋合意では、9年目までに45%を削減するとしています。約半分の関税が撤廃されるとなると、単純計算で約半額で外国産の麦を販売できるようになるため、原材料の大幅節約が見込めるようになり、麦を原料とする様々な製品や製造メーカーを含むその製品市場に大きな影響を与えます。

 

日本の守りたい産業と攻めたい産業は?

日本の産業を上記の例に当てはめると、農産品が守りたい産業で、自動車などの工業製品が外国で売っていきたい産業だと言えます。

内閣官房と経済産業省などが共同で平成27年に公表した『関税収入減少額 及び 関税支払い減少額の試算について』という文書を参考に見ます。

文書はこちら → 関税収入減少額及び関税支払減少額 の試算について

関税収入減少額の試算では、農産品が1650億円、工業品が410億円となっています。

これはTPP交渉国からの輸入が26年度と変わらないと仮定して、最終的な関税撤廃時にどれくらい関税収入が減るのかという試算です。

日本は国内での食料自給率が生産額ベースで66%(平成27年度農水省データ)と高めなので、必然的に国内市場を保護するために関税を高めにかけてきました。


関税支払減少額の試算では、農産品が33億円、工業品が4963億円と、かなりの貿易収支が見込めるようです。

こちらは平成22年の輸出実績を元にして算出しているので現在では若干の違いが出ている可能性が無視できませんが、それでもこの差は歴然です。
つまり、関税収入減少額を合算した約2000億円関税支払減少額を合算した約5000億円、差し引けば3000億円が「貿易における関税というルール変更だけ」で収益として計上できるという事になります。

 

視点の違いが利益の違いを生む

経済学でもとりわけマクロ経済学と呼ばれる分野では、1企業の収益よりも1国の収益(代表的な指標がよく報道されるGDP)という大きい視点で見るので、マクロ経済学の観点からは、日本産業の特徴を見ると、関税は売っていくための貿易の障壁となる要因が大きく出てしまうので、TPP参加して関税撤廃などの交渉を行う事を推し進めていくメリットがあります。


しかし、国内の農業従事者や関係者からみればたまったものではありません。

農産品だけに着目して関税収支をみると(ミクロ経済学の分野です)1500億円以上もの収入減となるので、今でも抗議活動が行われています。

このように、見方や立場で考え方だけでなく収益という結果までもが変わるほど、関税というのは大きい存在なのです。

 

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