日本史

佐々木小次郎は実在したのか調べてみた【巌流島の戦い】

巌流島の戦い

※巌流島

1612年(慶長17年)、この「岩流」は剣豪宮本武蔵に挑戦。

武蔵と九州小倉の「舟島」で決闘したことは有名である。前出の「小倉碑文」によれば、「岩流」は「三尺の白刃」を手にして決闘に挑み、武蔵は「木刀の一撃」でこれを倒したとある。

このときの武蔵の必殺の一撃は「電光猶ほ遅きが如し(電光が遅く思えるほどの速さ)」と表現されている。また碑文には「両雄同時に相会し」とあり、武蔵は遅刻していない。

また武蔵の伝記である『二天記』では、「岩流」は「佐々木小次郎」という名になっており、この決闘で刃長3尺余(約1メートル)の野太刀「備前長船長光(びぜんおさふねながみつ)」、通称「物干し竿」を使用、武蔵は櫂を削った2尺5寸と1尺8寸の木刀2本を使い、これを破ったとある。

一説には武蔵は事前に小次郎の剣術を知っていたともいわれ、相手の大太刀が振り下ろされた瞬間を狙って木刀を振り落とした。小次郎の燕返しは刀を返してこそ完成するので、それすらさせなかった武蔵の剣術を讃えている。

武蔵と決闘した「舟島」は「巖流島」と名を変えられ、この勝負はのちに「巖流島の決闘」と呼ばれるようになった。

創作においての小次郎


※大谷友右衛門演ずる佐々木小次郎

小次郎の名は、没後になって大きく広まった。

武蔵の死後130年経った1776年に書かれた『二天記』を始めとして、歌舞伎の『敵討巖流島』に登場する「佐々木巖流」、さらにその名を日本中に広く知らしめたのは吉川英治の小説『宮本武蔵』である。この小説は1935年から1939年まで朝日新聞に連載されたものだが、今の我々が知るエピソードのほとんどがこの作品に描かれていた。

吉川英治原作の小説「宮本武蔵」では、小次郎は、元服前の少年のような前髪立を残した美青年として描かれているが、この決闘時の年齢は、宮本武蔵が20代で佐々木小次郎が60歳近くだったといわれている。また、燕返しという秘剣そのものもこの小説以外では見受けられず、これも実は吉川の創作だった。

実は、吉川英治原作の「宮本武蔵」が世に出るまで、小次郎は歌舞伎に登場する荒唐無稽な冒険を行った架空の人物という評価もあり、さらには歌舞伎の題材も武蔵の敵討ちの相手が小次郎とされた。

この演目が流行った江戸中期は、敵討を題材にした歌舞伎の演目や小説などに人気があった。そのため、内容も創作で敵討ちの決闘にされたのである。なお、この時期は、歌舞伎で演じられる忠臣蔵が人気だった時期と重なる。

佐々木小次郎は実在したのか?

『二天記』には巖流島での決闘時の年齢は18歳であったと記されているが、このような記述は『二天記』の元になった『武公伝』にはなく、巖流が18歳で流派を立てたという記述を書き改めたものである。そのため、没年齢も不明である。

その名前すら、歌舞伎などの「佐々木」姓と、『二天記』の「小次郎」という名から佐々木小次郎という名になったようで、統一性もない。

わかったのは、小次郎にまつわる話のほとんどが吉川英治の小説に書かれたものだということである。小説「宮本武蔵」を執筆するにあたり、吉川英治は、武蔵に関する多くの資料を集めて執筆した。

しかし、小次郎に関する資料は漢文数行分しか資料がないといっている。

ヒーローにはライバルが必要だ。そのライバルとして創られたのが佐々木小次郎であり、そのヒントは『二天記』や歌舞伎の演目などが用いられた。佐々木小次郎という人物はフィクションのなかの人物だったようだ。

最後に

当時、佐々木小次郎のモデルとなった人物が存在していた可能性はある。

歴史の中には実在の人物をモチーフにして、後世の歴史家や小説家が「話を盛って」広めたケースは多い。

その意味では、佐々木小次郎というライバルは、宮本武蔵の引き立て役として成功を収めたということだろう。

 

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