ローランのさらなる活躍
※オルランドは錨を武器にオルクと戦う。狂えるオルランドより
ローランの伝説はこれだけに留まらない。
後世のイタリアでは、「ローラン」でなく「オルランド」とされ、、ルイジ・プルチの『モルガンテ』、ボイアルドの未完に終わった『恋するオルランド』などがある。その中でもっとも知られている作品はアリオストの『狂えるオルランド』である。
『狂えるオルランド』のオルランドは、怪力で全身は全身が金剛石(ダイヤモンド)のような硬さを持ち、刃を受け付けない。
唯一傷を負う可能性があるのは足の裏のみという設定となっている。作中では、海魔・オルクを純粋な力技でねじ伏せて退治するなど常軌を逸するほどの戦闘能力を発揮している。そのため基本的に、精神に作用する魔法でも使わない限り負けることはない。
さらに、オルランドの所有する聖剣ドゥリンダナ(デュランダル)を狙う、セリカン(絹の国、古代中国をモデルとした架空の国)の国王グラダッソ、アフリカ王アグラマンテと三つ巴の戦いで勝利するなど活躍した。
聖剣「デュランダル」
実在したローランは、ブルターニュ辺境伯とされているが、ブルターニュとは、その名が示す通り、ケルト系のブルトン人が住んでいるところであり、現在でもその要素が濃い。またローランのデュランダルは「聖剣伝説」という点で、同じくケルト系に由来するアーサー王のエクスカリバーと酷似している。さらにローランの時代はキリスト教の地位こそ低かったものの、アーサー王も聖杯を求めるというキリスト教にまつわる伝説だったという共通点もある。
しかし、デュランダルの特徴は、その黄金の柄の中に4つの聖遺物が収められていることだ。
聖ピエール(聖ペテロ)の歯
聖バジル(バシリウス)の血
パリ市の守護聖人である聖ドニ(ディオニュシウス)の毛髪
聖母マリアの衣服の一部
がそれである。
由来には幾つか説があり、ローランの歌では天使からシャルルマーニュに渡すように授けられ、その後シャルルマーニュからローランに授けられた剣として登場している。イタリア語読みでドゥリンダナ (Durindana) とも読まれ、デュランダーナとも呼ばれる。
不滅の刃の意であり、作中では「切れ味の鋭さデュランダルに如くもの無し」とローランが誇るほどの切れ味を見せる。
ローランの死後、デュランダルはシャルルマーニュの元に帰り、その後の戦でも使われ続けたという。
最後に
ドイツにおいては、ローランは徐々に都市が地方貴族から独立していることの象徴となっていった。中世の終わり頃、多くの都市は広場に挑戦的なローランの像を展示していく。
ウェデルのローラン像は市場の正義の象徴として1450年に建設され、ブレーメンの町役場のローラン像は役場とともにユネスコから世界遺産として登録されている。
※ブレーメンのローラン像
辺境の騎士が、最強の騎士伝説になったことが独立の象徴となったのだろう。
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