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科学

フリッツ・ハーバー【凄惨な兵器 毒ガスを実用化したノーベル賞受賞者】

ノーベル化学賞の受賞

フリッツ・ハーバー【凄惨な兵器 毒ガスを実用化したノーベル賞受賞者】

※フリッツ・ハーバー(Fritz Haber)

フリッツ・ハーバーは、ドイツ出身の化学者であり、1918年にはノーベル化学賞受賞の栄誉に輝いた人物でもあります。

ハーバーがノーベル賞を受賞した理由は、大気中に存在する窒素を元にしてアンモニアを合成するという手法を確立したことでした。

これは当時の欧米諸国において、産業の発展に伴う爆発的な人口の増加を支えるため、農作物の生産量の向上が課題とされた中で、その実現のための肥料の生産を行う研究と評価されたものでした。
しかしハーバーは、このアンモニア合成「ハーバー・ボッシュ法」以外でも、歴史の負の側面にその名を残しました。

それが第一次世界大戦における「毒ガス」兵器の実用化でした。

毒ガスで戦争を終わらせるという大義

第一次世界大戦は各種の新兵器が戦場に投入された戦争でした。一例を挙げると戦車、潜水艦、航空機などで、「毒ガス」もそうした新兵器のひとつでした。

但し「毒ガス」はあまりにも非人道的な兵器として、また自軍にも損害を与える可能性が高い制御しづらい兵器であったことから、戦場で対峙する両軍が互いに用いたのは事実上、第一次世界大戦が最初で最後の戦争と言えました。
ハーバーは、祖国ドイツの勝利のため、敵より強力な兵器(毒ガス)を使用して勝利することが早期の戦争終結に繋がり、結果として多くの命を救うことになるという大量破壊兵器の抑止力としての大義を名目に、その開発を推進しました。

塩素ガスの実用化

先ずハーバーの研究は、兵器としての「毒ガス」として「塩素ガス」を使用することを決めました。「塩素ガス」は空気よりも比重が重く、第一次世界大戦で戦線を膠着させていた塹壕の中の兵に対する効果が期待できた為でした。

加えてボンベに充填することで備蓄・搬送も容易で且つ、原料となる食塩がドイツ国内の岩塩を使用することで簡単に調達できることが挙げられました。

その上で、毒性が極めて高く殺傷能力に優れていましたが、欠点は、黄緑色をしており、強い匂いを発することでした。
ハーバーは、当初は「塩素ガス」を砲弾に入れ敵陣へ撃ち込むことを想定していましが、これはうまくいかず、結局自軍が風上にいる際に「塩素ガス」を直接ボンベから放出する運用方法を考案・実施しました。

毒ガスの実戦使用

こうして兵器として完成された「塩素ガス」は、1915年4月22日に西部戦線におけるイープルの戦いで初めて実戦に投入されました。

この時「塩素ガス」を浴びた連合軍では約5,000名の兵士が死亡し、約15,000人が負傷したと伝えられています。

「塩素ガス」の攻撃を受けたイギリス軍はすぐにその正体に気づき、防毒マスクを戦線に配布しました。結果以後は西部戦線では「毒ガス」の損害は低下し、主に東部戦線で用いられるようになりました。

しかし「毒ガス」は以後も「イペリット」や「ホスゲン」などの毒性を強化したものが生産され、フランス軍側も使用するようになり、最終的には第一次世界大戦を通して約100万人もの犠牲者を生んだと伝えられています。

妻の抗議と敗戦

※クララ・イマーヴァール

ハーバーの妻であったクララは、当時として稀有な、自身も化学の博士号を持つ女性でした。

クララはハーバーの毒ガス研究を知ると、止めるように進言したと伝えられています。しかしその言も空しく、先のイープルの戦いで実用化されて多くの犠牲者が発生したことから、クララは1915年5月2日、抗議の自殺を遂げまいした。
それでもハーバーは祖国ドイツのためと研究を続け、更に戦争の前線において毒ガス兵器の使用の指揮を直接行い、新設されたドイツ陸軍省化学部長の役職にも就任しました。

しかし、1918年にドイツの敗戦で第一次世界大戦は終結しました。ハーバーは戦争への積極的な協力者として裁かれるかと思いきや、同年のノーベル化学賞を受賞しました。

ナチス政権での排斥

ハーバーのノーベル賞受賞には、戦争責任の観点から反対の声も大きかったとされていますが、戦争後の復興にハーバーの研究が有為だった事もあり、世界的に著名な科学者となりました。
しかしその後ドイツはヒトラーのナチスが政権を掌握する事になります。

このことでハーバーはその立場を一気に失うことになりました。ハーバーがユダヤ人であったため排斥の対象とされたのでした。

 

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学生時代まではモデルガン蒐集に勤しんでいた、元ガンマニアです。
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