国際情勢

中国とロシアは共闘パートナー、だが本質的には“対立相手”であるワケとは

中露関係は、近年、「無制限」の友好関係や戦略的協力パートナーシップと称され、欧米諸国への対抗軸として強く連携しているように見える。

しかし、その根底には、二国間の根本的な利害の対立、特に中央アジアの覇権をめぐる地政学的な競争が存在する。

この二面性が、中露関係を理解する鍵となる。

地政学的野心と中央アジアの覇権

画像 : 2022年2月、北京冬季五輪開幕直前に会談したプーチン大統領と習近平国家主席。
出典:Presidential Executive Office of Russia/CC BY 4.0

ロシアと中国は、国際社会において、反米・反西側という共通の政治的立場を有している。

これは、両国が既存の国際秩序の変更を望んでいるという点で一致するからである。
この共通の敵に対する共闘が、現在のパートナーシップの基盤となっている。

しかし、その協力関係の裏側には、広大な中央アジアをめぐる抜き差しならない競争がある。

ロシアにとって、この地域は旧ソ連の「裏庭」であり、歴史的・戦略的に勢力圏として確保しておきたい地域である。

ロシアは、集団安全保障条約機構(CSTO)やユーラシア経済連合(EAEU)といった枠組みを通じて、中央アジア諸国に対する影響力を維持しようとしている。

一方、中国は、「一帯一路」構想を通じて、この地域への経済的・インフラ的な浸透を急速に進めている。

中国の経済力は圧倒的であり、中央アジア諸国にとって最大の貿易相手国および投資国となっている。
この経済的影響力の拡大は、ロシアの伝統的な政治・安全保障面での影響力を徐々に侵食しつつある。

ロシアは、中国の経済進出が、自国の地域覇権を脅かすことを認識しているが、ウクライナ侵攻後の西側からの孤立により、経済的に中国に依存せざるを得ない状況にある。

この非対称な依存関係が、中露間の潜在的な緊張を高めている。

経済的な利害と資源をめぐる競争

両国の間には、明確な利害の対立が存在する。

ロシアは、中国にとって依然として最大級の資源供給国であり、2024年には、中国のロシア産原油輸入量が約1億トンに達し、一時的にサウジアラビアを上回って主要な供給国となったと報じられた。

画像 : シベリア横断ガスパイプライン「Power of Siberia」(赤)Khu’hamgaba Kitap CC BY-SA 4.0

さらに天然ガスについても、シベリア経由のパイプライン「Power of Siberia」を通じて年間およそ220億立方メートルを供給しており、今後は「Power of Siberia 2」の建設をめぐって交渉が続いている。

しかし、その商業条件である価格や供給量、期間などは2025年現在も合意に至っておらず、交渉の主導権は中国側が握っていると見られている。

この非対称的な構図は、ロシア経済の脆弱さを象徴している。

西側諸国の制裁によって輸出市場を失ったロシアは、エネルギー販売先を中国とインドに大きく依存しており、中国市場に対しては国際市場価格より2〜3割安い水準で原油を提供しているとの推計もある。

ロシア側から見れば、自国の天然資源を割安で買い叩かれている状況であり、国家財政の持続性にも影を落としている。

一方で、中国はこの状況を巧みに利用している。

長期契約によって安定供給を確保する一方、人民元建て決済の拡大を進め、エネルギー取引におけるドル依存の低減を図っている。

このように、ロシアは中国の経済力を利用しつつも、自国の主権と安全保障が侵食されることへの不安を拭い切れない。

経済的依存の拡大が、やがて政治的従属へと転化しかねないというジレンマを、ロシアは抱えているのである。

自由への渇望と政府の統制

画像 : プーチン大統領 public domain

政治体制の類似性、すなわち権威主義体制であることも、中露が手を結ぶ一因ではある。

両国は、国内の自由な言論や民主的活動を厳しく統制し、国民生活の隅々まで政府の統制を及ぼしている。
この点では、西側の自由民主主義とは明確に対峙する立場にある。

しかし、これはあくまで政府間の協力であり、両国の国民感情は異なる。

ロシアの国民は、歴史的にヨーロッパ文化の影響を強く受けており、西側への志向性を持つ層も少なくない。
一方、中国は、国内のナショナリズムを経済的な成功と結びつけて統制を強めている。

両国の指導部は、自国の体制の正当性を主張するために、外部の脅威、特に欧米からの干渉を強調することで、国民の支持を得ようとする点では共通している。

しかし、その統制の「様式」や「歴史的背景」は異なり、永続的なイデオロギー的連帯を意味するものではない。

結論として、中露関係は、反西側という戦術的な共通点に基づく「共闘パートナー」としての側面と、中央アジアの覇権や経済的な利害に基づく「基本的な対立相手」としての側面を併せ持っている。

現在は、前者が優勢に見えるが、中国の国力増大とロシアの相対的な地位低下が進むにつれ、後者の対立軸が将来的に顕在化する可能性が高いだろう。

文 / エックスレバン 校正 / 草の実堂編集部

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