肩こりや首こりなど、「こり」に悩まされている人はとても多いのではないだろうか?
筆者もその1人で、主にPCやスマホなどで仕事をしているせいか、肩こり、首こりに悩まされ続ける日々である。
そこで今回は、石川県の「かなざわ鍼灸院」にて、日々肩こり患者さんの治療をしている竹田太郎先生に、「こり」の原因や治療法など様々なことを聞いてみた。
「こり」の原因
編集部 「肩や首がこる主な原因を、いくつか教えていただけるでしょうか?」
竹田先生 「肩や首がこる原因を大きく分類すれば、筋肉量・運動不足・姿勢の3つと言えるでしょう。重力に逆らって頭を支えているのは首の筋肉であり、同じく腕を支えているのは肩の筋肉です。体を動かす時に筋肉が働くのはイメージしやすいと思いますが、実は同じ姿勢を維持するためにも筋肉は働いています。そして筋肉が伸びたり縮んだりするよりも、一定の力を維持し続ける方が筋肉は疲労します。」
編集部 「体を動かすよりも、同じ姿勢を保つ方が筋肉は疲労するのですね。これは意外でした。」
竹田先生 「筋肉量が多い人よりも少ない人の方が早く筋肉が疲れますし、動きが少なく同一姿勢を続けている方が筋肉は疲れます。また、背筋が伸びていると頭の重みは背骨で支えることができますが、猫背では頭の位置を維持し続けるために、首の筋肉が働き続けることになります。」
編集部 「私、かなり猫背なんですよね。どおりで首がこると思いました。今後は姿勢に気をつけようと思います。」
「こり」の原因は筋肉?
編集部 「こっている部分は筋肉が張っている気がするのですが、やはり筋肉が原因なのでしょうか?」
竹田先生 「(肩がこる)と表現される時、筋肉が硬くなっている感じと筋肉が張っている感じがあると思います。前者は疲労を起こした筋肉が硬くなっている状態であり、後者は筋膜の柔軟性が損なわれ、正に突っ張っている状態であると考えられます。」
編集部 「言われてみれば硬くなっているのと、張っているのと両方ありますね。そもそも違いを認識していませんでした。つまり同じコリでも例えば職種によって違いが出たりするということですね。」
「こり」に効くマッサージ
編集部 「肩こり、首こりに効く、自分でできるマッサージ方法はありますでしょうか?」
竹田先生 「肩や首を自分で揉んだり擦ったりすることは効果的です。特に撫でるように擦ると「幸せホルモン」とも呼ばれるオキシトシンが分泌されますので、心地よさを感じることでこり感が軽減されます。」
編集部 「撫でるように擦ると(幸せホルモン)が出て効果的というのは知りませんでした!私はついつい強めに揉んでしまっていました。」
竹田先生 「そうですね、例えば無理な姿勢(例えば右手を左肩に回し、手を握るように左肩を揉む)で揉み続けると別の筋肉が疲労する可能性もありますので、その点は注意してください。その観点に立てば、無理なく刺激できるツボ押しも良いですね。」
編集部 「まさに(右手を左肩に回して握るように揉む)というのをよくやっていました。やりすぎると他の筋肉が疲れるのですね。今後はやりすぎず撫でていく感じでやろうと思います。」
「こり」の予防法
編集部 「肩こり、首こりの予防方法はありますか?」
竹田先生 「ほどよく筋肉を動かすことです。デスクワーク中心の人なら、50分経過したら10分は休憩として廊下を歩いたり腕をグルグル回したりしてください。特に肩甲骨の動きを意識していただくと、肩こりの予防として効果的です。」
編集部 「私はまさにデスクワーク中心ですが、1時間中10分は席を立って動いた方が良いということですね。肩甲骨を意識してストレッチしてみようと思います。」
竹田先生 「肉体労働中心の人なら、筋肉の疲労を残さないようにしてください。お仕事の始めと終わりにストレッチしておくと疲労しにくくなります。また、40〜41℃くらいの入浴でじっくりで温めるのが良いです。」
編集部 「こちらは主に筋肉疲労によるコリですね。肉体労働中心の方はマメなストレッチと入浴がオススメですね。」
どこで治療すれば良いのか
編集部 「整形外科、接骨院や整体、マッサージ、針灸院など様々ありますが、正直どこに行けば良いのかよくわからないんですよね。鍼灸院の良さや特徴などありましたら教えていただきたいです。」
竹田先生 「首や肩のこりを感じているだけなら良いのですが、手に痺れを感じるようなら医療機関を受診してください。骨や関節、神経に異状ないことを確認しておくことは重要です。首肩こりのケアとして市中の施術所へ行く場合、違いを認識しておいた方が良いですね。
接骨院(整骨院)とマッサージ院と鍼灸院は、国家資格を有する者が施術に当たります。
整体・カイロプラクティック・もみほぐし・リラクゼーションなどは任意団体による資格を認定された者が施術に当たります。このことを認識した上で、施術者の人柄や技術、施術所の立地や雰囲気などを総合的に判断してください。
竹田先生 「また、整体やもみほぐし等は身体の表面からアプローチすることになります。鍼灸も身体の表面からアプローチするのですが、鍼を身体の内へ刺入することが大きく異なります。鍼灸で身体を刺激することにより、様々なホルモン(神経伝達物質)が分泌されます。そのホルモンの作用で末梢血管が拡張して血流が増加したり、抗炎症作用が生じたり、鎮痛作用が起こったりします。」
編集部 「鍼灸でホルモンが分泌されるといのは知りませんでした。そこは大きな違いですね!」
竹田先生 「さらに鍼灸で刺激した部分だけでなく、遠隔部でも身体反応が起こります。例えば、四肢のツボ(経穴)を刺激することで腸の動きが活発になったり、脳の血流が増加することも研究によって明らかになってきました。」
竹田先生 「肩こりがヒドい時には痛みとして感じることもありますが、局所(その部分)で筋肉を和らげたり血流を増加させるだけでなく、遠隔部である脳での痛みの認識を和らげる作用も働きます。」
編集部 「この辺の違いがよくわからなかったので大変勉強になりました。まず痺れなどあったら医療機関が良いのですね。それと国家資格があれば必ずしも良いとも言い切れないでしょうし、施術者によって違いもありますよね。自分に合いそうなところを総合的に判断してみようと思います。」
竹田先生 「私は鍼灸師なので鍼灸院に関して述べますと、インターネットの口コミよりは親族や知人の紹介の方が信憑性があると思います。ホームページにスタッフの履歴やプロフィールがしっかりと掲載されていることも好ましいです。学会や団体に所属していて、定期的に研修会に参加されているようだと知識と技術の研鑽を続けている人だと判断できます。」
編集部 「口コミはその気になれば自演も可能ですしね。確かに実際に行った知人であれば忖度なしの感想が聞けそうです。ホームページも一つの指標になりますね。日々研究を続けている先生の方が施術を受ける側としても嬉しいです。大変参考になりました。ありがとうございました!」
竹田 太郎先生
石川県鍼灸マッサージ師会理事 明治国際医療大学 大学院了(博士)
鍼灸・東洋医学の諸領域にわたる専門的・総合的な研究活動を広く学術・文化の発展と向上に貢献することを目的として、竹田太郎鍼灸研究所を開設Twitter : https://twitter.com/Professor_Taro
かなざわ鍼灸院 (石川県で最初のBattlefieldAcupuncure受療可能な鍼灸院)
https://transparence.jp/kanazawain/
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