WEBサービスの会員登録画面や各種手続きの書類。こういった入力・記入時には氏名・年齢・住所、そして 性別 を選択する欄がある。
性別欄には(男・女)という項目があり、ここでどちらかに丸をつけるのが通常だ。
しかし現在、性別は男と女のみであるという「性別二元論」が覆ってきている。
タイには18の性別
微笑みの国、タイは日本よりもおおらかな国民性と性転換手術で有名だ。
この国において、性別は男女だけでなくLGBTが存在するのが当たり前とされている。
法的にも、「第三の性」をどのように扱うか検討中だ。
さて、驚くべきは、このタイ、男女とLGBTだけでなく、他の”性別”を含めると18種類もあるということだ。
どんなものがあるのか、見ていこう。
1 プシャーイ:ストレート男性
2 プーイン:ストレート女性
3 ゲイクイーン:受け身のゲイ「ネコ・受け」
4 ゲイキング:積極的ゲイ(タチ・攻め)
5 ボート:ゲイ寄りバイセクシュアル男性
6 レズビアン
7 トム:ボーイッシュレズビアン/FTMトランスヴェスタイト
8 ディー:トムを好きなレズビアン
9 トムゲイ:トム、ディー、プーインを好きになるレズビアン
10 サムヤーン:トムゲイの恋愛対象に加え、レズビアンも好きになる女性
11 トムゲイキング:トムが好きでタチのトム タチのボーイッシュレズビアン/FTMゲイ
12 トムゲイクイーン:ネコのボーイッシュレズビアン/FTMゲイ
13 トムゲイツーウェイ:リバーシブルのボーイッシュレズビアン/FTMゲイ
14 トムクイーン:トムが好きな女性(FTMと女性のカップル)。
15 アダム:トムを好きな男性
16 アンジー:トムを好きなレディボーイ(トランスヴェスタイト)
17 チェリー:ゲイとレディボーイが好きな女の子
18 レディーボーイ:MTFトランスヴェスタイト(各性別の説明は、日本語で一番しっくり表現できるものに言い換えているため本来のニュアンスとは異なる可能性あり)
タイの場合、法律で性別を変えることができない。
しかし体を望む形に変更する性転換手術は盛んであり、また、上記のように多彩な性別概念に親しみを持っている人が多い。
生物学的な性、性自認、性的嗜好が一緒くたにされている感は否めないが、「男・女」しかない日本よりもはるかに、多様性に開けている文化といえるだろう。
Facebookにおける性別は58個!?
さて、ところ変わってアメリカ版Facebook。
性別の選択肢にCustomというものがあり、それを含めると合計58もの性別が選べる。
58項目のうち、文字上の微妙な違いを除けば実質的にはもう少し少なくなる。それがこちらだ。
<性別に違和感を抱かない系>
Male:男性
Female:女性
Cisgender:身体の性別と外見が一致している人
Cisgender Female:体の性別と自己認識が女性である人
Cisgender Male:体の性別と自己認識が男性である人<どちらでもない自己認識・自己表現をする系>
Androgynous:両性的・中性的。性別にとらわれない人
Bigender:性の自己認識が男・女の両方であり、切り替えて生きる人
Gender Fluid:性自認が男女の間で揺れ動いており、生活にそれが表れている人
Gender Nonconforming:LGBTといった既存の性のあり方に当てはまらない人
Genderqueer:型にはまらない性の自己認識をもつ人
Pangender:性別にとらわれない自由な人<性別がない系>
Androgyne:両性。身体的にどちらともいえない人
Intersex:インターセクシュアル、半陰陽。遺伝子、染色体、性腺、内性器、外性器等が典型的男女のものではない人
Neutrois:性別がないと自認している人。身体的無性になりたいと考える人
Agender:無性別者
Gender Questioning:自分の性認識が未確定の人<性別に違和感がある系>
Trans:生まれ持った性と自認している性が一致しない人
Transgender Female:性自認が女性のトランスジェンダー
Transgender Male:性自認が男性のトランスジェンダー
Transfeminine:どちらかと言えば女性寄りの性自認を持つトランスジェンダー
Transmasculine:どちらかと言えば男性寄りの性自認を持つトランスジェンダー
Transsexual:性同一性障害で性別適合手術などにより身体の性転換を望む人
Transsexual Female:性別適合手術などによって女性になった人
Transsexual Male:性別適合手術などによって男性になった人
Two-spirit:ネイティブアメリカンの伝統的に存在してきた性役割を担う人
このようになる。
これらは、ゲイやレズビアンといった性的嗜好を含まず、本人の身体的・精神的・文化的性のみを示している。Facebookには別項目として「恋愛対象」があるからだ。
25個までまとめることができたが、性の自己認識と身体的性別は決して男女だけではない、そしてLGBTだけでもないということが突き付けられる。
「性別」は最低でも6つ
このように見てくると、この世に存在する性別の種類は大きく分けて
性別に違和感のないシスジェンダー男性
性別に違和感のないシスジェンダー女性
性別に違和感のあるトランスジェンダー男性
性別に違和感のあるトランスジェンダー女性
自分の性別はないと感じる人
自分の性別は男女どちらともいえないと感じる人
この6種類存在すると言える。
そしてその性別の上に、ストレートやLGBという性指向が合わさり、個人のセクシュアリティを形成している。
そして、それらを自己申告・正しく表現するための言葉は60以上にも及ぶ、ということになる。だから
「今すぐ法整備を!」と叫んだり
「男女以外の性別はわがままで間違いだ」と抑圧するのは現実的でない。
人それぞれのありようとして、実際にこういう複雑さがある。
自分も数あるジェンダー/セクシュアリティの一つなのだ、面白いという認識でフレキシブルに生きられればやさしい世界になるだろう。
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