仕事中、ふとパソコンを見ると「intel」のロゴ。
うん、入ってますね。
「インテル、入ってる」のキャッチコピーは頭から離れませんし、英語にした場合の「intel inside」も秀逸だと思います。でも、考えたらintelってCPUのイメージしかありません。CPUだけでそこまで会社が大きくなるの?というのが正直な感想でした。
そこで、今回はインテルについて調べてみました。
世界初のマイクロプロセッサ誕生
インテルは、1968年に設立されました。最初の社員はたった3人。日本でパソコンブームの火付け役となったNECのPC-9800シリーズが発売されたのが1982年ですから、それだけで驚きです。
当時、コンピューター用のメモリは、磁気コアメモリという一度データを読み出すとデータが消えてしまうタイプが主流でした。そこで、インテルはそのシェアを半導体メモリに変えるべく開発を始めました。半導体メモリは今のCPUやフラッシュメモリなどに使用されている方式で、インテルの主力商品でもあります。
そして、1971年11月、世界初のマイクロプロセッサー「4004」が登場しました。この4004が最初に搭載されたのはコンピューターではなく、日本のビジコン株式会社が発売した電卓だったんです。ここから「パソコンの頭脳」と呼ばれるCPUの歴史が始まります。
結局、CPUってどんなもの?
インテルのCPUが有名なのは知っていても、「CPUって何?」という人も多いと思います。実は私もその一人でした(笑)
CPUは「Central Processing Unit」の略で、日本語では中央処理装置となりますが一般的には「プロセッサ」と呼ばれています。「CPUは人間に例えると脳にあたる」という例えも有名です。どういうことかというと、UPCの役割は「制御・演算」となっていますが、パソコンを作動させるために必要な演算部に指示を出したり、処理が必要なデータがどこにあるのかを記憶するところです。
といっても、ピンとこないですよね。なにせ目に見えない部分ですから。
人間に例えたままで話を進めると、「腕を動かそう」と考えたとします。でも、実際に腕を動かすには、最初に「どこまで動かすか」、「どのくらいの早さで動かすか」を決めます。それに腕を動かすためには、どこの筋肉をどれだけ使うのかを瞬時に判断(=演算)しないといけません。そして、必要な筋肉に神経を使って「指令」をするわけです。
なんとなく分かりましたか?
CPUがないということは、頭で腕を動かしたいと考えても、動かすことができない状態だということなんです。
パソコン市場の拡大に貢献!
※世界初のパソコン、Altair 8800
インテルはその後もCPUの改良を続け、1974年にはついに世界初のパソコンと言われる「Altair(アルテア)8800」に採用されました。といっても、当時のコンピューターは個人で所有するにはスペース的にも経済的にも難しかった時代です。そこに登場したAltair8800は、インテルの 「i8080 CPU」を搭載することで「ミニコンピューター」というカテゴリーを開拓しました。当時は組み立てキットという形で発売され、コンピューター好きのマニア向けにでしたが、大人気となりました。
さらに、8086はNECのPC-9800シリーズの初代に採用され、1981年にはIBM初のパソコンである「IBM PC」に8088というモデルが採用されます。このことがインテルにとっては大きなチャンスとなりました。8088は8066の廉価版ということもあり、色々なパソコンに搭載されることになったのです。その頃にはさらに高性能な80286が発売されて、発表から6年で1,500万台というセールスを記録しました。
ようやく、今のような本格的な「パーソナル・コンピューター」が個人で買えるようになったのです。
Pentiumは入ってる?
※Pentiumプロセッサ
1990年代になると、インテルの成長はさらに加速します。
最初にお話した「インテル、入ってる」のキャッチコピーと共に「intel inside」のロゴが生まれたのもこの頃です。でも、実はこの広告戦略は日本のインテル・マーケティング担当の方たちが、本社と協議の末に実施して、爆発的にインテルの知名度を広げたものだったんです。
しかも、パソコンメーカーではなく、CPUメーカーが世界規模で広告を展開したのですからインパクトも絶大です。
そして1993年、第五世代のプロセッサ「Pentium(ペンティアム)」がついに登場しました。
他社のCPUとの差別化を図るために、それまでは数字やアルファベットの組み合わせだけだった商品名をPentiumというブランドに変えたんです。このことでインテルのプロセッサ=Pentiumというイメージが完全に定着しました。
ちなみにPentiumというのは、ギリシア語の5を意味する「Penta」とラテン語の「要素」を表す「ium」を合わせた造語だそうです。
世界トップシェアへ
※インテル本社
2006年には、今でも多くのパソコンに内蔵されている「Core(コア)」シリーズを発表しました。コアとはまさにCPUの核とも言える心臓部で、このコアの数で性能が大きく変わります。Andriodスマートフォンなどでも「デュアルコア」とか「クアッドコア」なんて聞いたことありませんか?
コアは1つだけでも動きますが、1つより2つ、2つより4つの方がCPUの性能は高くなります。つまり、パソコンの動きが早くなるわけですね。そこでインテルでは、このCoreシリーズで初めて2つのコア(デュアルコア)を採用して、その後も「Core i」シリーズへと進化させていったのです。
今ではカリフォルニアの本社をはじめ、海外の50ヶ国以上に展開。製造や研究を行う施設は8ヶ国に17もある巨大企業となりました。もちろん、日本法人もありますよ。ちなみにインテルの2015年の年間売り上げは554億ドル。純利益は114億ドルだとか。純利益だけでも日本円に換算すると2017年8月のレートで・・・
1兆2460億円にもなります!
まだまだ半導体メーカー「世界シェアNo.1」の座は譲りそうにありません。
まとめ
「良い製品を開発すれば、それが売れてコストも安くなる」という見本のような会社でした。その原理は当然のことですが、ここまで成功したことを知って驚きました。しかも、半導体では25年連続で世界シェアNo.1だそうです。
この記事が書けるのもインテルのおかげかと思うと、「たかがCPU」なんて言えませんね!
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