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スマートウォッチがなぜ人気になってきたのか調べてみた

スマートウォッチというワードが広く認識されたのは、2015年にAppleが初代「Apple Watch」を発売したときでした。

Appleがスマートウォッチ市場に参入したのは、Google OSを搭載したモデルが発売された後でしたが、市場全体から見れば、まだ始まったばかりの時期です。さすがのAppleも予想出荷台数を大きく割り込む結果となりました。

しかし、2017年からスマートウォッチの出荷台数が増え、今では端末も数え切れないほどになっています。一体何があったのでしょうか?

Apple Watch の躍進

Apple Watch

※初代Apple Watch wikiより引用

2017年、世界でのスマートウォッチ出荷台数は3,270万台と、2016年から60%も増加しました。もっとも出荷台数が多かったのはAppleで、前年比56%増の1,770万台という結果に。やっぱりAppleが市場を牽引する形となったのです。

確かに初代Apple Watchはデザインもスマートで驚きましたが、エルメスのレザーバンドを採用したモデルや、100万円を超えるモデルなどのバリエーションにも驚いたものです。

翌年の2016年には「Series 2」がFeliCaを搭載して登場、そして2017年の「Series 3」では、単体でLTE通信が可能となり、さらなる進化を見せました。単体での通話、地図アプリの使用、モバイルSuicaのチャージなど、ポイントは数多くあります。こうなると、もう単体でスマホとして使えるということになります。

もっとも、筐体のサイズに制限があるため、常時LTE通信を行うのは難しいでしょう。

時計に囲まれた時代がニーズを生む

こうしたApple Watch躍進の理由は本体の魅力もさることながら、市場の要求が増えてきたことがあります。発売当初こそ「なんのために買うの?」という感じでしたが、フィットネストラッカーが市場を成長させてきました。単体での通信機能はないものの、リストバンド型で健康管理ができるというコンセプトがニーズを引っ張り上げたことは間違いありません。もっとも、Appleはそうした非通信型の端末まで含めても首位を独走している状態ですが、健康ブーム+スマートウォッチの波は必然だったといえるでしょう。

私たちは普段、時計に囲まれて生活しています。腕時計がなくてもスマホで時刻が分かりますし、オフィスや自宅でもPCに時刻が表示されていて、便利な生活になりました。一方で運動する機会が減ったことから健康管理や体調管理に気をつけるようになって、フィットネスが「意識高い系」と見られることもなくなったわけです。

中華系メーカーが市場を広げた

もうひとつ、市場を賑わわせた理由が、中華系メーカーの出現です。

2017年のメーカー別出荷台数ランキングを見てみると、Appleを筆頭に上位5社中4社がアメリカのメーカーですが、唯一2位に中国のシャオミが食い込んでいます。しかも、シャオミは昨年の7~9月期には首位になっていたこともあります。Apple Watch Series 3の発売直前なので、当然市場は買い控えの時期でしたが、年間を通しても2位です。

シャミオはフィットネストラッカーなど単機能で安価なウェアラブル機器メーカーとして有名です。スマートウォッチ市場はこうした中国メーカーの参入で規模を拡大させることが出来たわけです。

Series 3がスマートウォッチを変えた

ただ、哀しいかな「中華系」というブランドは日本ではほとんど受け入れられていません。こうして、すでに地ならしが済んでいた日本市場に「Series 3」が投入されたことで、それまで興味があっても手を出さなかったユーザー層が「今こそ!」とばかりにスマートウォッチを買ったわけですね。

そして、「Series 3」が、他社のスマートウォッチがカバーできない機能まで持ち合わせたことで、今後のユーザーの要求はさらに高まっていくでしょう。現在は、活動量計、脈拍計測機能、消費カロリー表示機能などを搭載したフィットネストラッカー型と、通信端末(スマホとのBluetooth接続を含む)型に進化していますが、「Series 3」はそのどちらも搭載して成功したというわけです。

とはいえ、価格も価格ですし、「明確な目的はないけれどスマートウォッチを触ってみたい」という層には中華系メーカーの安価タイプという選択肢が残っています。

アジアブランドの本気

もちろん、中国以外のアジアブランドも負けてはいません。台湾のASUSは丸型フェイスで、よりTPOを選ばない「ZenWatch 3」を発売しました。このモデルでは、Android搭載スマホだけでなく、iPhoneと連携させることも可能です。腹筋や腕立て伏せの計測までトータルにフィットネス向きですが、中価格帯で2018年4月の時点での価格は約33,000円~となっています。

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韓国のメーカーで、Galaxyシリーズでおなじみのサムスンも、「Galaxy Gear S3 frontier」を発売しています。クロノグラフタイプの画面が特徴的なS3は、スポーティーな外観通り、米国防省のミル規格という耐久規格に準拠しています。キャンプやアウトドアなどに向いた作りといえますね。価格は2018年4月の時点で約39,800円~となっていて、やはり中価格帯モデルとしては十分な機能があります。

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まとめ

今回調べて分かったことは、一概には言えませんが、PCやスマホの操作時間が長くなり、きちんとした健康管理への意識が高まっている所でスマートウォッチに火が着いたことでした。

スマホの機能が成熟した現在、こうしたウェアラブルデバイスのニーズはもっと高くなっていくでしょう。

関連記事:ウェアラブル・デバイス
VR・ARはどのように進化するのか予測してみた

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