トランプ前大統領、銃撃されるも命に別状なし
2024年7月14日(現地時間13日)、トランプ前大統領に対する暗殺未遂事件が発生しました。日本時間では朝になりますが、演説中のトランプ氏が銃撃され、負傷したという情報が入ってきました。
トランプ氏の顔(右耳)には流血が見られましたが、負傷しながらもトランプ氏はガッツポーズを繰り返し、健在ぶりをアピールしました。
現場は混乱に包まれましたが、トランプ氏は護衛に守られながら安全な場所へと運ばれています。
現地の報道では、トランプ氏は命に別状はなく、暗殺犯はその場で射殺されたとのことです。
トランプ氏が再選する可能性は高まった
今回のトランプ氏が見せた力強いリーダーシップは、有権者の支持を一層強化したとみられています。
現職のバイデン大統領は、高齢に伴う健康問題への懸念、そして致命的な言い間違いが頻繁に繰り返され、民主党内でもバイデン大統領に対して、11月に行われる大統領選挙からの撤退を求める声が上がっていました。
そして今回の事件によって、トランプ氏が再選する可能性はより一層高くなったと言えるでしょう。
しかし、暗殺事件が再び起こる可能性は否定できません。
ジョン・F・ケネディ暗殺事件
大統領の暗殺と聞いて、真っ先に思い浮かべるのは、1963年に起こったジョン・F・ケネディ大統領の暗殺事件ではないでしょうか。
彼の暗殺に関しても、多くの疑惑が取り沙汰されています。
1963年11月22日午後、テキサス州ダラスでケネディ大統領は銃撃を受け、暗殺されました。
犯人とされるリー・ハーヴェイ・オズワルドは、現場近くにある倉庫の6階からライフルで狙撃したとされ、薬莢には彼の指紋が残されていました。
しかしオズワルドは逮捕から2日後、警察から拘置所に移送中にジャック・ルビーという男に射殺されました。
ルビーは「ジャクリーン夫人に同情して射殺した」と証言しましたが、その後の裁判で死刑判決を受け、再審理を要求する前に病死しています。
こうした経緯から、ケネディ大統領の暗殺事件には、大きな陰謀があるのではないかと疑われるようになったのです。
事件に影を落とす深い闇
ケネディ大統領の暗殺事件には、多くの謎が残されています。
観衆の中には暗殺の瞬間を目撃した人々が大勢いましたが、その多くは「大統領は右方向から撃たれた」と証言しているのです。
これは、オズワルドが狙撃したとされる倉庫とは異なる場所から、銃弾が飛んできたことを意味します。
オズワルドは3発の銃弾を発射し、そのうち2発がケネディ大統領に命中しましたが、そのうち1発はケネディ大統領の体を貫通し、車に同乗していたコナリー州知事にも命中しました。
しかし、この銃弾の軌道が不自然だとする説もあり、「魔法の銃弾(Magic Bullet)」と揶揄する陰謀論者も存在します。
また、ケネディが運び込まれた病院の医師たちの証言も、不可解とする意見があります。
正しい検死を行えば、銃弾がどの方向から、どの角度で当たったのかが分かるはずですが、医師たちは「わからない」と結論付けました。そのため「何者かによる口封じがあったのではないか」と疑われたのです。
さらに、オズワルドは逮捕直後の記者会見で「自分は責任を取らされただけだ」と語りました。
そしてジャック・ルビーによるオズワルドの射殺も不可解です。ルビーは「ジャクリーン夫人に同情して射殺した」と証言しましたが、そのあと病死したため、真相は一層不明瞭になりました。
結局のところ、ケネディ暗殺事件の多くの部分は現在も謎に包まれたままです。
犯人はCIA?
ケネディ暗殺後、副大統領のジョンソンが後継者となります。
ジョンソン新大統領は1963年、最高裁長官アール・ウォーレンを委員長とするウォーレン委員会を発足させ、ケネディ暗殺の徹底解明に乗り出しましたが、1年後に出た結論は「オズワルド単独犯」でした。
しかし、この報告には先述したような信憑性が低い点が多く含まれていました。
1970年代に入ると、下院特別委員会が再調査を行い、オズワルド以外の狙撃者がいた可能性が正式に提示されましたが、特定には至りませんでした。
そんな中、ニューオリンズの地方検事ジム・ギャリソンが新しい説を打ち出します。
彼は、「ケネディ暗殺の黒幕は、CIAである」としたのです。
ケネディ暗殺当時、米ソの対立が深刻化し、世界は一触即発の危機にありました。その中でもアメリカにとって、キューバで社会主義政権が誕生したことは大きな脅威でした。
CIAはベトナム戦争への武力介入を推し進めていましたが、当初は積極的だったケネディが次第に消極的になり、早期撤退を示唆するようになります。
そのためCIAにとってケネディは邪魔な存在となり、FBIや軍部の反共主義者たちと手を組んで暗殺を計画した、というのがギャリソンの説です。
しかし、この説も結論が出ないままです。ウォーレン委員会の調査結果は、ジョンソン大統領の命令で2039年まで非公開とされています。
暗殺事件の影響が国内外に及ぶことを考慮したためだと言われています。
トランプ氏は今後も要注意?
トランプ氏の暗殺未遂事件とケネディ暗殺事件には、「暗殺犯がすぐに殺された」という共通点があります。
トランプ氏は今後も引き続き、自身の安全に注意を払うべきでしょう。
まず、大統領への当選が有力視されることが一つの理由です。当選が確実視されると、暗殺の対象となる可能性が高まります。落選の可能性がないため、暗殺の危険が増すからです。
次に、政府内の対立が挙げられます。ケネディ暗殺の背景には政府(CIA)との対立が存在したという説があるように、トランプ前大統領も多くの官僚と対立し、否定してきた経緯があります。
そのため、結果として警備を疎かにされたり、警備関係者が情報を漏洩する可能性もゼロとは言い切れないでしょう。
一部の報道では、今回の演説に参加した有権者が「銃を持った人物が屋根に登っている」という情報を警察に伝えたにも関わらず、警察は何も対応しなかったとの情報があります。
11月の大統領選挙を前に、今後の動向を注視する重要性を歴史が教えているように感じます。
参考文献:小田桐一(2010)『歴史を震撼させた暗殺事件』彩図社
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