京都を代表する古社のひとつ、下鴨神社。
世界文化遺産「古都京都の文化財」に含まれ、優雅な行列で知られる葵祭でも有名な神社です。
今回は久しぶりに訪れ、その魅力を改めて感じてきました。
下鴨神社の基本情報に加え、女性におすすめの摂社・末社、そして境内を包み込む糺の森の魅力についてご紹介します。
さらに、上賀茂神社との関係についてもわかりやすく解説します。
下鴨神社の概要

画像:世界遺産の碑 筆者撮影
下鴨神社の正式名称は「賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)」です。
東西二つの本殿を持つのが特徴で、それぞれに異なる神が祀られています。
西殿には賀茂県主氏の祖神とされる賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)、東殿にはその子である玉依姫命(たまよりひめのみこと)が祀られています。
創建時期は正確には不明ですが、崇神天皇7年に神社の瑞垣が修造された記録が残されていることから、非常に古い起源を持つ神社と考えられています。
また、境内には国宝をはじめとする貴重な建造物が残されており、1994年には世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産として登録されました。
この「古都京都の文化財」は、京都市・宇治市・大津市に点在する17の構成資産から成り、平安京の成立以降、日本の政治・文化の中心として発展してきた京都の歴史的景観と文化的伝統を今に伝えるものとして、世界的に認められています。
下鴨神社はその中でも、古代の自然環境を色濃く残す糺の森と一体となった神社として、単なる建造物だけでなく、神社と自然が融合した文化的景観が保たれている点が重視されました。
こうした点から、建築・信仰・自然が一体となった貴重な遺産として、世界的にもその価値が広く認められています。
葵祭と境内の見どころ
下鴨神社と上賀茂神社の例祭である葵祭は、毎年5月15日に行われる京都を代表する祭礼で、祇園祭・時代祭と並ぶ「京都三大祭」の一つとして知られています。
その起源は古く、欽明天皇の時代(6世紀)に、凶作や疫病が続いたことから、賀茂の神々の祟りを鎮めるために始められたと伝えられています。

画像 : 路頭の儀。腰輿(およよ)に乗る斎王代 JO CC BY-SA 3.0
祭りの最大の見どころは、平安貴族の装束をまとった総勢500名以上による「路頭の儀(ろとうのぎ)」と呼ばれる行列です。
京都御所から下鴨神社、さらに上賀茂神社へと進むこの行列には、十二単をまとった斎王代(さいおうだい)をはじめ、勅使や牛車、騎馬武者などが加わり、まるで平安時代の王朝絵巻が現代によみがえったかのような優雅な光景が広がります。
また、行列に参加する人々や牛車にはフタバアオイ(葵の葉)が飾られることから、「葵祭」と呼ばれるようになりました。
現在では、歴史と伝統を色濃く残す祭りとして多くの見物客を集め、京都の初夏を彩る風物詩となっています。
その舞台となる下鴨神社は出町柳駅からほど近く、アクセスも良好。
大通りに面した朱塗りの鳥居をくぐると、北へと伸びる表参道が続きます。
参道を進むと、南口の朱塗りの鳥居、その先に楼門が現れます。

画像:下鴨神社の楼門 筆者撮影
楼門の内側には舞殿や橋殿があり、その奥の中門の先に本殿が鎮座しています。
東西の本殿は、檜皮葺の三間社流造という古式を今に伝える貴重な建築で、いずれも国宝に指定されています。

画像:下鴨神社の拝殿 筆者撮影
また、境内には、葵祭で斎王代が手を清めることで有名な御手洗池やいくつもの摂社・末社があり、ゆっくり巡ることで下鴨神社の魅力をより深く味わうことができるでしょう。
女性にお勧めの摂社や末社
下鴨神社の境内には多くの摂社・末社がありますが、その中でも特に女性に人気の社を二つご紹介します。
まず一つ目は、縁結びの神として信仰を集めている相生社(あいおいのやしろ)です。

画像 : 下鴨神社 相生社 草の実堂編集部撮影

画像 :下鴨神社 相生社看板 草の実堂編集部撮影
ご祭神は産霊神(むすひのかみ)で、『古事記』にも見える神とされ、あらゆる「縁」を結ぶ神として古くから崇敬されてきました。
恋愛成就はもちろん、人と人とのつながりや仕事、人生のご縁を願う多くの参拝者が訪れます。
相生社の象徴となっているのが、「連理の賢木(れんりのさかき)」と呼ばれる御神木です。これは2本の木が途中で結ばれて1本になったもので、固く結ばれた縁の象徴とされています。
この御神木の周りを、願いを込めながら3周すると良縁に恵まれると伝えられており、境内でも特に人気の高いスポットとなっています。
もう一つは河合神社です。
こちらは女性守護としての信仰を集め、美麗祈願で知られる神社です
ご祭神は玉依媛命(たまよりひめのみこと)で、古くから女性の守り神とされてきました。安産や育児の守護に加え、近年では美しさや健康、心身の調和を願う参拝者が多く訪れます。
河合神社で特に人気なのが、「鏡絵馬」です。
手鏡の形をした絵馬に描かれた顔に、自分の化粧品でメイクを施し、裏面に願い事を書くことで、外見だけでなく内面も美しくなると伝えられています。
このユニークな祈願方法から若い女性を中心に高い人気を集めており、下鴨神社の中でも印象的な摂社の一つとなっています。
奇跡ともいえる糺の森
下鴨神社の大きな魅力の一つが、境内を取り囲む糺(ただす)の森です。
その広さは約3万6千坪にも及び、太古の植生を今に伝える貴重な森林として知られています。
樹齢200年から600年の樹木が約600本あるとされ、京都市中心部にこれほどの自然が残されているのは非常に貴重です。
森の中には瀬見の小川や奈良の小川が流れ、古くから和歌にも詠まれており、歴史と自然が融合した空間といえるでしょう。
新緑の季節にはシャガの花が咲き、カルガモの姿も見られます。
散策するだけでも心が落ち着く、癒やしの場所です。

画像:糺の森に流れる小川 筆者撮影
また、糺の森は森林生態学や環境学の観点からも重要な存在とされており、学術的価値も高い森です。
参拝後は、表参道西側の未舗装の道を歩いて帰ると、この森の静かな魅力をより感じることができます。
上賀茂神社との関係性
上賀茂神社は、正式名称を「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)」といい、下鴨神社と並び称される由緒ある古社です。

画像 : 賀茂別雷神社(上賀茂神社) 楼門, 京都府京都市北区 663highland CC BY 2.5
ご祭神の賀茂別雷大神は、厄除けや開運の神として広く信仰されてきました。下鴨神社と同様に、世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産にも含まれています。
さらに、境内の北側には神職が代々暮らしてきた屋敷が立ち並ぶ「社家町」が広がり、今もなお落ち着いた町並みの中に、往時の面影を感じることができます。
こうした背景から、両神社は祭神の系譜においても深く結びついているのです。
下鴨神社に祀られる玉依媛命は、賀茂別雷大神の母にあたり、賀茂建角身命はその祖父とされています。
つまり、三代にわたる神々が、それぞれの神社に祀られているのです。
このような関係から、上賀茂神社は「上社」、下鴨神社は「下社」とも呼ばれ、古くから「賀茂両社」として密接な関係を築いてきました。
現在では、それぞれ上賀茂神社、下鴨神社の通称で広く親しまれています。
両神社を参拝する際、どちらからお参りするのがよいかと迷う方もいるかもしれません。
しかし特に決まった順番はなく、真心を込めて参拝すれば順序にこだわる必要はないでしょう。
参考 :『下鴨神社公式サイト』『加茂別雷神社公式サイト』他
文 : 撮影 / 草の実堂編集部

























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