亜鉛 とは?
亜鉛は重金属の一種で、金属としてはメッキなどに用いられている。人体にも重要なミネラルとして、生命維持にかかわるさまざまな働きがある。体内で亜鉛はイオン化合物として存在し、血球や骨、歯などに酵素の成分として広く分布している。亜鉛の成人男性の1日の推奨量は10㎎とされている。
栄養素としての亜鉛は、このように人体にとって生命維持のためには非常に重要な役割を果たしており、不足すると健康を維持することが難しくなる場合もある。
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亜鉛が多く含まれる食べ物
亜鉛が多く含まれる食べ物にはどのようなものがあるのだろうか。
亜鉛は、おもに魚介類や肉類、卵など、動物性食品に多く含まれている。とくに多いのは貝類で、なかでも牡蠣は100gあたりの含有量は13.2㎎存在している。成人男性の場合、牡蠣を5個食べるだけで一日に必要な亜鉛を満たせるだけの量である。この他、ワタリガニや毛ガニなどにも100gあたり3~4mg程度、含まれている。
魚介類の加工食品にも亜鉛は多く含まれている。煮干しやするめ、たらこには、亜鉛が100gあたりそれぞれ7.2㎎、5.4㎎、3.1㎎含まれている。これらは、お酒のおつまみ等で口にする人も多く、手軽に亜鉛を取ることができる。魚介類以外では、牛肉やパルメザンチーズ、卵黄にも亜鉛は多く含まれている。
植物性食品では、ごまなどの種実類や豆類に多く含まれるものがあるが、単体で1度に多くの量を食べるのは難しく、植物性食品だけで一日の必要亜鉛量を摂るのは難しいとされている。
亜鉛の効能
①新陳代謝を良くする
亜鉛の主な効能に、新陳代謝を良くするというものがある。亜鉛は生体内で、生命維持に欠かせない約300もの酵素の生成や活性化に寄与している。また、亜鉛を含むたんぱく質は、DNAやRNAの合成にも深く関わる。これらの働きにより、細胞の生成、分裂がスムーズに行われ、新陳代謝が良くなるといわれている。
亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持にも重要である。新陳代謝活性化の働きによるものの一つである。「風邪の予防や治療」には、ビタミンCと共に、亜鉛の摂取も重要になる。
②味覚を正常に保つ
亜鉛の有名な効能の一つが「味覚を正常に保つ」というものである。亜鉛が不足すると、味覚細胞の新陳代謝が正常に行われず味覚障害が起こってしまうことに関係している。前項にも関係するが、味覚細胞は人体の中でも特に新陳代謝が激しく、約30日で新しい細胞に切り替わる。
もし、味覚に異常が出ることが多くなった場合、亜鉛不足を疑ってみるのも良いかもしれない。もちろん、味覚障害の原因がすべて亜鉛不足とは限らないので、一日の推奨量をしっかり摂取しても症状が変わらない場合は、医師の診断を受ける必要がある。
③免疫機能や抗酸化作用の強化
亜鉛は、免疫機能の強化にも重要なミネラルである。風邪などの免疫は主に免疫細胞によって作用する。これらの免疫細胞の活性化にも一役買っており、外部からのウイルスから身体を守る機能を強化する際に必須となる。
亜鉛を含む酵素には強力な抗酸化作用もあり、体内で疲労や老化の原因となる活性酸素を除去する働きもある。これによって、体内の老化を防ぎ健康で若々しい体を保つことが可能となる。
④ホルモンの調整
亜鉛は、ホルモンの調整にも大きな役割を果たし、生殖機能を司る器官にとって非常に重要である。さらに、精力に関係するテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの合成を促進する働きもある。これによって正常な生殖機能の維持を図ることが可能となる。
血糖値の調整にも大きな影響があり、インスリンの合成や分泌には亜鉛を含む酵素の働きが必須になる。したがって亜鉛が不足すると血糖値の調整がうまくいかなくなり、糖尿病などの重病を引き起こしてしまう可能性も示唆されている。
亜鉛を効率よく摂る方法
代表的な例としてビタミンCやクエン酸と共に摂取する方法がある。ビタミンCやクエン酸には亜鉛の吸収を促進する働きがあり、同時に摂ることによって亜鉛の吸収率を高められるからである。たとえば、生牡蠣にレモンを加える調理法は一般的な食べ方とされているが、単純においしいという理由だけでなく、レモンに含まれるビタミンCやクエン酸が牡蠣に含まれる亜鉛を効率よく吸収できるという点でも理にかなっている。
一方、亜鉛を多く含むものを食べても吸収を阻害するものと一緒に食べると、効率が悪くなってしまう。たとえば、カップラーメンなどにはポリリン酸やフィチン酸といった、亜鉛の吸収を阻害する物質が含まれており、食べ合わせによっては亜鉛を充分に吸収できなくなってしまうこともある。
そのため亜鉛を食べ物からしっかり取りたい場合は、食べ合わせに充分注意する必要がある。
まとめ
亜鉛は、人体にとって生命維持のため欠かせないミネラルである。美容や健康を考えている方や、風邪などを予防したい方は亜鉛を含むものをしっかり摂るように心がけるとよいだろう。
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