最初は成都から
『三國志14』レビュー、前回の異民族編に引き続き今回は戦闘編を紹介する。
前作から導入された顔グラツールを使って「オリジナル武将」を作ることも、オススメの楽しみ方である。
筆者が『三國志』を始める時は、システムに慣れる意味でも空白地が最も多く簡単に勢力を拡大出来る『黄巾の乱』から始める事にしている。
これまでは中国各地に領土を広められる地の利を優先して襄陽を選んでいたが、今回は成都から始める事にした。
成都を選んだ理由として、蜀(益州)は地の利が悪く、攻める立場になったらかなりの苦労を強いられる事が目に見えていたからだ。
最大勢力になって数の暴力で解決出来るようになればその心配もないのだが、今作は長期戦になった時の兵糧の管理が特に重要であり、戦力で勝っていてもうっかりミスで兵糧切れで強制敗北になりかねない。(特に、益州で兵糧の輸送を行うと時間が掛かる。悪路であるためこれもリアルではあるが、気が付いたら兵糧切れ寸前で「補給部隊早く来い」と祈る蜀の苦労を存分に味わった)
魏が蜀の攻略に苦戦したように益州の攻略は『三國志14』でも難しくなっており、他勢力に取られる前に自分が抑えてしまおうと考え、益州最大都市である成都は拠点として最適だった。(既に益州を抑えられたシナリオでプレーする時は頑張って滅ぼすしかない)
塗り絵と兵站
益州の最大都市である成都を拠点に勢力を拡大するのは容易であり、あっという間に荊州を狙えるようになる。(しつこいが、兵糧の管理をお忘れなく)
『三國志14』ではシミュレーションゲームとしての原点というべきHEX戦が復活しており、中国全土をマスにしたマップを部隊が進む度にマスが自分の勢力の色で埋まるシステムになっている。
マウス操作で細かいルート設定が出来るようになり、相手の色である領地を自軍の色に変えるのは塗り絵をしているようで楽しい。(最終的には異民族の拠点を除いた0.1%を除く99.9%が自分の領地になる)
ちなみに、進軍とともに広がる塗り絵は兵站を表しており、敵に背後を取られて兵站が切られると、一気に軍が弱体化してあっさり壊滅してしまう。
それは相手にも言える事で、隙を見せれば相手もこちらの兵站を切ろうと背後を狙って来る。
油断禁物なのは言うまでもないが、戦力が整っていない序盤は兵站を守るために相手の動向に注視したり孤立しないよう集団行動したりするなど、集中する必要がある。
戦闘はシンプル?それとも味気ない?
今作の戦闘だが、専門マップで戦えた13に比べるとかなりシンプルである。
中国全土で戦うのは13と同じだが、主人公が関わる戦闘は自分で戦闘を指揮出来た(采配戦闘)のに対して、14は進軍ルートとターゲットを決めたら後は見守るだけである。(ついでに、10日おきに強制ストップが入るためテンポが悪い)
前述した通り細かい進軍ルートを設定出来る事の延長で敵軍と当たるルートも決められるのだが、いざ戦闘になるとマップで武将の数字が減るのを見ているだけというのは味気ない。(本来ならルート設定で最適なマスに障害物、兵器の配置をする采配の妙があると思うが、自分にはそこまでの腕がないのでご容赦いただきない)
バフ、デバフやダメージ、更には兵力回復が出来る戦法を自分のタイミングで使える采配は最大5人まで行えるが、低難易度の場合は自動にして勝手に戦法を発動して貰った方が早い。(なお、極級では采配が使えないためAIに委ねる事になる)
見守るだけの一騎討ち
また、ゲームの華である「一騎討ち」が起きるのは完全ランダムで、13のようにお互いにコマンドを選んで有利不利の駆け引きをするジャンケンバトルでもなくなっている。
一騎討ちの勝敗は部隊の士気に影響するため重要な要素ではあるが、13のように自分から仕掛ける事は出来ず、更にジャンケンも廃止されているため、こちらも武器を振り回した2人の武将の体力ゲージ増減を見ているだけであまり爽快感はない。(もっとも、人間が操作した上に自ら何度も一騎討ちを仕掛ける事が出来たら簡単に勝ててゲームが壊れしまうので、そこは理解したい)
だが、一騎討ちを期待して武力100で一騎討ち補正の入った個性である「豪傑、一騎持ち」を与え、更に武力を上げる武器も装備しまくった主人公(チート君主)を出陣させて一度も一騎討ちを仕掛けられなかったのは少し淋しかった。
強制ストップの善し悪し
君主プレイとなった『三國志14』は、10日で1ターン経過する度に配下への指示を求められる。
最大9人までだった13に比べると最大40人以上と細かい指示が出来て、正に国を運営している感覚を味わえるのだが、システムの都合上10日経つ度に強制的に進軍や戦闘をストップさせられるのはテンポが悪くなるため割とストレスである。(そもそもゲームの7割は戦闘であるため想像以上に時間が長くなる)
『三國志13』では都市を攻略した後にまた次の都市へと向かう連戦が出来たが、今作では制圧した部隊が城に入るため強制的に1回休みとなり、次のターンに1から出陣の準備をしなければならない。
10日の差が戦況に及ぶ事はほとんどないものの、都市に寄って兵器の補充をすればすぐに出陣出来た13の仕様が便利すぎたので、どうしても不便に感じてしまった。(兵が少ない序盤は、兵数の調整をするため複数の部隊を入城させると更に時間を使う事になる)
本当に毎ターン40回以上もクリックする必要はないし、毎度毎度詳細に指示を出しているユーザーもいないと思うが、配下一人一人に細かく命令して、仕事を与えるのは13以上に君主(というより管理職?)の気分を味わえる一方、戦争以外にやる事がない終盤は指示を出さずそのまま進行させる事も増えて命令書を持て余すのが惜しいと感じた。(勿体ないと思って命令書全てを探索に使わせたら大した成果はなく、無駄足ばかりで少し申し訳なかった)
上手くなればもっと面白くなるはず
今回は『三國志14』の戦闘面を振り返ってみた。
原点回帰というべきHEX戦に塗り絵といった13から一新された要素は懐かしさや新鮮さもあって楽しめたが、長引く戦闘を繰り返さなければならないシリーズ恒例の課題もあった。
本来なら外交で降伏させる道もあるのだろうが、前回も書いた通り殲滅あるのみのスタイルを貫く筆者にとっては、出陣から従属まで無駄に長い異民族との戦闘を眺めてはクリックを何度も30分も繰り返すのは、作業を通り越してプレー時間を水増しさせられているように感じた。(主人公にこだわらず軍勢を整えて5ルートから同時進行で異民族を攻めていれば30分で終わっていたのだが、主人公で全ての城を攻める面倒な縛りを課した自分が悪いので悪い攻略法方として反面教師にしていただきたい)
プレーヤーを悩ませる連合に関しては、砦などを築いて待っていれば簡単に撃退出来るためほぼ意味なし(但し毎度お馴染み強制ストップが邪魔)というご愛敬はさておき、今作はプレーヤーの腕と外交の使い方次第では更に奥の深い戦い方が出来る作品だが、専用マップに一騎討ちやり放題の13の方が自分の好みに合っていた。
本当にプレイングが上手くなって極級でも勝てるようになれば更にゲームが楽しくなると思うのだが、ガチ勢ではない自分の実力不足故に『三國志14』の本当の面白さを味わえず、結果的に評価が低くなってしまった事は残念に思う。
次回は感想編である。
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