ここ最近オーディオ界を賑わせている「ハイレゾ」。オーディオマニアじゃなくても、聞き覚えがあるはずだ。
しかし、「ハイレゾがどういった意味なのか」「従来の音楽と何が違うのか」「どのくらい違うのか」など具体的なことを知らない方も多いと思う。
かくいう私も音楽は聴くが「オーディオ」という括りでいえば、初心者である。
今回はハイレゾを詳しく理解するために調べてみた。
ハイレゾ音源
※ハイレゾロゴ 撮影:gunny
「ハイレゾ」とは「Hi-Resolution(ハイレゾリューション)」の略で、高解像度のことである。一般的にはCDの約6.5倍もの情報量を意味する。CDでは収録できなかった情報も含まれており、より細部まで音の聞き分けができるということだ。
CDもハイレゾも原音をデジタル化した音源であるという点では同じ。だが、具体的には同じ一秒間でも、ハイレゾ音源のほうがCDよりも「より細かく情報を切り分けて」保存しているので、原音により近い音を再現することができる。
良い例えが思い浮かばないが、例えば同じ量のカップに数種類の野菜をカットして入れたとする。片方は1cm角、もう一方は5mm角にカットしてあれば、5mm角のほうがより多い種類が入れられることになる。それと同じことだ。
正確には、サンプリング周波数(Hz)や、量子化ビット数など専門的な用語が出て来るが、ここでは単純に「CDより綺麗な音」と考えればいいだろう。
なお、この項の冒頭にあるロゴマークは、日本オーディオ協会がハイレゾ音源に対応した各社の機器(ヘッドホン・イヤホン・スピーカーなど)に付けるよう推奨しているものだ。もともとはソニーが使用していたものだが、今では定義を満たした各社の製品に付けられている。ハイレゾロゴをアイテム購入時の参考にしよう。
ハイレゾ対応機器
では、ハイレゾ音源を楽しむには具体的にどうすればいいのか?
それにはまず、ハイレゾ対応機器を揃えなければならない。
そこで注意したいのが、オーディオ界ではヘッドホン・イヤホン・スピーカーのことを「アナログ」もしくは「アナログ分野」と呼ぶことがある。これはハイレゾ対応アイテムであってもそう呼ぶことがあるので「アナログって付いているからハイレゾには使えない」といった間違いがないようにロゴマークで確認したい。
まずは、肝心なプレーヤーだ。
これには携帯できるポータブルタイプから、据え置き型の高級プレーヤーまであるが、ここではポータブルタイプについて話をしたい。
こうしたポータブルオーディオは携帯プレーヤーとも呼ばれ、低価格で手軽なためにハイレゾ対応プレーヤーの主流となっている。また、ハイレゾ対応イヤホンもセットになったものもあり(SONYウォークマンなど)、プレーヤーとイヤホンを別々に買わなくていい。それでいて、しっかりとハイレゾの違いがわかるというから初心者にはおすすめである。
ソニー SONY ウォークマン Aシリーズ NW-A35 : 16GB ハイレゾ対応
価格は安いもので20,000円強からある(2017年5月現在・amazon調べ)が、さらにこだわるとなれば携帯プレーヤーでも価格はピンキリだ。
高価なプレーヤーほどより細かい音の聞き分けができたり、音の特性(メリハリがある、ボーカルが際立つなど)に違いがあるようだが、初心者には分からないレベルの話である。
イヤホン・ヘッドホン
イヤホンやヘッドホンが別売りのプレーヤーの場合には、別途ハイレゾ対応のイヤホンやヘッドホンが必要になる。最近のAndroid OS搭載のスマートフォンのなかには、最初からハイレゾ対応の音楽プレーヤーが内蔵されていることもあるが、よりハイレゾの違いを感じたいなら付属のイヤホンよりも別に買ったほうがいい。
イヤホンも安いもので3,000円くらいからある(2017年5月現在・amazon調べ)。しかし、個人的には最低でも5~6,000円くらいの価格帯のものをおすすめしたい。安いものはあくまでも「ハイレゾ対応の基準をクリアした」だけであって、それほどCD音源との違いがわからなかった。
ソニー SONY ヘッドホン h.ear on MDR-100A : ハイレゾ対応
もう少しこだわるならヘッドホンもいいだろう。ヘッドホンの良さは、より臨場感があり、音の聞き分けがはっきりする。まぁ、これはハイレゾに限ったことではないのだが。
音源のダウンロード
現在、ハイレゾ音源の主な入手先は、インターネットにいくつもある音楽配信サイトだ。
聴きたい楽曲があるサイトに登録をして、クレジットカードなどで決済をしたらパソコンにダウンロードすればいい。それをプレーヤーに転送すれば、ハイレゾ音源の音楽が楽しめる。
また、先に述べたようにAndroid OS搭載のスマートフォンを取り扱うキャリアには、直営の配信サイトもあるので、スマートフォンの月額利用料金と合算して支払いも出来て便利だ。
これまでに配信されていた通常のデジタル音源の曲でも、ハイレゾ対応にされて配信されているものも多い。そもそもCDにする際に、原音から音のデータを削ってしまっただけなのだから、原音があればレコード会社がハイレゾ対応にすることもできる。
金額は1曲あたり300~500円ほどで、通常のデジタル音源よりは割高だが、アルバムごとまとめて、もしくはその中の一曲だけでの購入もできる。すべてをハイレゾ音源で購入しなくても、「これはハイレゾで聴きたい!」という曲だけ購入するのもいい。
主なハイレゾ音源配信サイト
音の違い
これはあくまで私の感想になる。
初めてハイレゾ音源の音楽を聴いたときの第一印象は「音がクリア」だったことだ。
ボーカル、各楽器の音がそれぞれ独立したように聞こえ、さらに全体的に音の輪郭がハッキリした印象だった。それに比べると通常のデジタル音源は「全体がややぼやけた」感じがする。オーディオに疎い私でもそこまでの違いが感じられたのだ。
それからはヘッドホンも揃えたが、そうなるとより音がハッキリする。特にクラシックの場合は違いがより鮮明だった。ホールの反響まで聞こえる感じ、とでも言えばいいのか。管楽器の音が強調されたように思えたのは、そのとき使っていたヘッドホンの特性かもしれない。
弦楽器ならラフマニノフの「交響曲第1番」などがいいだろう。しかし、プレーヤー、イヤホン、ヘッドホンの組み合わせの違いで音の聞こえ方まで変わるのは面白い。
iPhoneでもハイレゾ!
さて、ここまでで疑問に思った方もいるだろう。
『iPhoneじゃハイレゾ音源は聴けないの?』と。
残念ながら、そのままではハイレゾは楽しむことができない。しかし、必要なモノさえ揃えばiPhoneでもハイレゾ音源を楽しむことができるのだ。
それにはまず、ハイレゾ再生アプリをダウンロードする。
次にiPhone自体がハイレゾ音源の出力に対応していないため、これをどうにかしないといけない。そのまま聞いても音のクォリティが低下してしまうことになるわけだ。そこで、本体とハイレゾ対応イヤホン(ヘッドホン)の間にハイレゾ対応ヘッドホンアンプ(通称ポタアン)を接続してやればいい。中にはiOS専用のものもある。
ONKYO ポータブルヘッドホンアンプ USB-DAC搭載/ハイレゾ音源対応
このポータブルヘッドホンアンプだが、主流は20,000円くらいのものからになる。しかし、中には数千円のものもあり、そういったものはすでにハイレゾ環境があっても、間に噛ませることでBASS(低音)が強調されたり、音にパワーが出るので周りの騒音に負けずに聞こえるなどのメリットがあった。
あとは、配信サイトから楽曲をダウンロードすればいいが、ここで気をつけないといけないのは、 ハイレゾ音源は一つ一つの容量が凄く大きいためにiPhone内蔵の容量では少し心もとないということだ。そんな時はiOS用外部ストレージに保存すればいいだろう。
詳細を知りたければ、家電量販店などで実際に教えてくれるので参考にしてもらいたい。
最後に
私も実際に聞いてみるまではハイレゾの必要性に疑問を感じていた。
しかし、たまたまハイレゾ音源を再生できる環境が整ったので試してみたら、かなりの音の違いに驚いた。さらに今回、より理解するために再度調べてみたが、結論としては「興味があって金額的に無理がなければ」おすすめしたい。音楽を楽しめるのはどんな環境でも同じだが、余裕があるのならぜひ一度揃えても損はない。
まずは、近くの家電量販店などで試聴させてもらうのがいいだろう。きっと、音の違いがわかるはずだ。
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