ひと際目立つ白と青で統一された奇跡の島「サントリーニ島」。
エーゲ海のキクラデス諸島の南部にあるギリシャ領の「サントリーニ島」は、一度は見たい世界の絶景として常に上位を占めるほど、美しい街並みに心を奪われる人も多い。
この「サントリーニ島」は、レストランやショップが立ち並ぶ島の中心街『フィラ』と、夕陽が美しい島の絶景スポットである『イア』の2つの街に分かれている。
青いドーム型の屋根と白い壁で可愛いイメージが強い「サントリーニ島」だが、4つ星以上のホテルが集まるエリアでもあり、ホテルは常に満室状態である。昼間は白く輝く街並みが、夕陽の色でピンクやオレンジに染まる幻想的な街を一目見ようと世界各国から足を運ぶ観光客で賑わいを見せているためだ。
「サントリーニ島」が織りなす白い世界の秘密
見渡す限り、「サントリーニ島」は白い外壁の世界で広がっている。
「サントリーニ島」の象徴ともいえる白い外壁は石灰で塗装されたもので、夏の暑い日差しで室内が高温になることを防ぐ役割をしている。
雨水を生活用水として利用している島の人々は、雨水の殺菌にも石灰を使用している。また、歴史的病『ペスト』が流行した時代に、「白は衛生的である」と考えられていた概念を現在も強く持つ人々が多いギリシャでは、建物に白を使用する傾向がある。
一部の地域では、建物の塗装は必ず白で行うことを規則としている。
ギリシャでは比較的、石灰は安く手に入る素材だ。
白の他にドアや窓、屋根などを青で塗装している理由については、とても面白い理由が隠されていた。白以外にアクセントとなる色なら本来は何色でも良かったのだが、最も安く手に入った色が青だったという理由で、今の青いドーム型の屋根や鮮やかな青いドアが誕生した。
経済的にも優しい「サントリーニ島」の街が白い世界の理由には、ギリシャの人々の国民性も関係しているようだ。
世界遺産になるまでの道のりは長い「サントリーニ島」
雑誌や映画の撮影でも頻度に使用され、一度は訪れたい旅行先では絶大な人気を誇る「サントリーニ島」だが、世界遺産には登録されていない。
意外だと感じる人も多いだろう。そこには、「サントリーニ島」が経験してきた過去に原因がある。
1959年、火山の噴火により街全体が破壊状態の災害に陥る。それ以降に造られた現在の「サントリーニ島」の街並みは、歴史としては浅く比較的新しいものと判断されてしまう。
国の文化財として保護されている建造物でもないため、世界遺産の基準を満たす条件に届かないのだ。
歴史的に見ても「サントリーニ島」は火山の噴火の被害に堪えない島だった。
紀元前1500年頃には島の中央部分の火山が大爆発を起こし、中心部は海底へ沈没。その際に火山灰で埋もれてしまった街『アクロティリ遺跡』は、「サントリーニ島」の有名な観光地だ。
火山灰に埋もれていたことで当時の壁画や、出土品は比較的きれいな状態で残されている。
「サントリーニ島」で作られる神話の蜜、白ワイン
『ソムリエ』という職業の発祥地であるギリシャは、歴史あるワインの特産地だ。
高い品質にこだわったギリシャ産のワインは、「サントリーニ島」でも多く作られている。火山灰で埋もれてしまった街『アクロティリ遺跡』から発見された出土品の中にはワインの搾りかすも存在していたことから、「サントリーニ島」で作られるのワインの歴史はとても古いものだと分かる。
「サントリーニ島」で栽培されるブドウは95%が『アシルティコ』という品種の白ブドウだ。
火山性の砂地である環境からブドウの樹の成長を妨げるフィロキセラの被害もなく、ブドウ栽培の環境にとても向いている。ただ、「サントリーニ島」の地形の関係で、機械による収穫は難しいため、栽培から収穫までの全ての作業を手作業で丁寧に行っている。そして強風の影響を強く受けやすい「サントリーニ島」では、ブドウの樹を鳥の巣のようなリース型にし、その中でブドウを育てる『クールラ』という伝統技法を活用している。
酸味と塩味、そしてわずかに感じる苦味が特徴の極上白ワインは「サントリーニ島」のホテルやレストランで楽しむことができる。
人々と共に生きる猫の楽園「サントリーニ島」
地中海の温暖な地域の「サントリーニ島」は、島でのんびりと毎日を過ごす猫たちに出会える癒しの場所だ。
「サントリーニ島」で暮らす猫たちは、人懐っこい性格で写真撮影にも参加するサービス精神の持ち主でも知られている。雑誌の表紙や、カレンダーに「サントリーニ島」の街を背景に撮影された猫の写真が使用されることがある。島の観光地の至る所で猫と遭遇することから、『猫の楽園』と呼ぶ人もいる。
年々ギリシャでは、育児放棄をする飼い主の増加が問題となり、ボランティアによる猫や犬の保護活動が進められている。里親が見つからない猫たちはやがて、豊かな自然の中で暮らせる「サントリーニ島」の街へ移る。そこでは島の地域猫としてボランティア団体と島の住民たちが協力し合い、猫たちの世話を続けている。
島全体が一丸となって「サントリーニ島」の美しさを築き上げている姿勢は、人間と共に生きる猫たちにも向けられている。
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