フランス領に属する白い砂浜と透明感のある海の美しさが魅力の「ニューカレドニア」は、日本から約9時間の直行便で向かうことができる楽園の島だ。
特に日本では、『天国にいちばん近い島』として知名度が高いリゾート地でもある。
南半球に位置する環境から、オーストラリア同様に日本とは真逆の季節を送っている。
ニッケル鉱業が盛んな土地でもある「ニューカレドニア」へ働きに出る日本人も多く、1892年を皮切りに日本からの移住者たちを受け入れ、ニッケル鉱山での仕事を提供していた。
そのため現在も、日本人の血縁を持つ子孫たちは、日本の姓を代々引き継いでいるケースも多い。
「ニューカレドニア」の首都『ヌメア』には、ニッケル鉱業に貢献した日本人の功績を讃えるように墓地と記念碑が建てられている。
目次
一冊の旅行記が生んだ「ニューカレドニア」という天国の島
「ニューカレドニア」を象徴するキャッチフレーズとして知られる『天国にいちばん近い島』は、1966年に出版された森村 桂(もりむら かつら)さんの旅行記のタイトル『天国にいちばん近い島』に由来している。
森村さんの実体験を基に綴られたこの旅行記は、実父が生前語っていた『天国にいちばん近い島が地球の遥か南にあるという。』という言葉から、その場所を「ニューカレドニア」と推測し、実際に「ニューカレドニア」へ向かう所から始まる。父の言葉に導かれるように訪れた「ニューカレドニア」での体験や想いが一心に詰まった一冊だ。
発売当初から注目を浴びた本作がドラマ化そして映画化されたことで、日本人に馴染みのなかった「ニューカレドニア」が日本中に知れ渡った。
映画の撮影地として使用された「ニューカレドニア」の『ウベア島』は、映画の反響と共に、一気に日本人観光客が押し寄せたことでも有名な観光地である。
絵画のような自然の美しさと、真っ白な浜辺が広がる景色を目にすれば、まさに「ニューカレドニア」が『天国』と表現される理由が分かる。
自分にとってその景色や空間は、心が安まるものなのか、日常を忘れて楽しめるものなのか、それとも自分らしく過ごせる快適なものなのか。
各々が感じる気持ちに合わせて、様々な『天国』を見つけられる島である。
愛情溢れる島と謳われる「ニューカレドニア」の真意
「ニューカレドニア」には、絶滅危惧種に指定された『カグー(カンムリサギモドキ)』が生息している。
飛ばない鳥として有名になった『カグー』だが、飛ぶことを知らないのは大敵の少ない豊かな環境で育つためという諸説もある。
互いに好意を抱き、番い(つがい)になると一生添い遂げる性質に加え、雌が1年に1度しか産まない卵を夫婦で守り、協力して育てる『カグー』の姿から、永遠の愛を誓う“愛の鳥”、“幸福を運ぶ鳥”ともいわれている。
「ニューカレドニア」で結婚式を挙げたり、ハネムーンの旅行先として人気があるのも、『カグー』のように互いを想い合う将来を約束しようという意味合いが大きく関係しているようだ。
また、マングローブ地帯が広がる「ニューカレドニア」のグランドテール島にある『ヴォー』という街にあるハート型のマングローブ地帯も“愛情”を象徴する場所として有名である。
『ヴォーのハート』と呼ばれるこの場所は、ヘリコプターで島に近づき、上空から眺める観光が必須となっているため、上空でのプロポーズが行われるスポットとしてもお馴染みだ。
書籍の表紙や切手、手帳などのモチーフに使用されたことから、人々にもその存在が認知され始めた。
「ニューカレドニア」の水中環境を支える“ラグーン”の存在
「ニューカレドニア」の海には、“ラグーン”と呼ばれるサンゴ礁によって形成された世界最大の面積を誇る浅瀬がある。
2008年に世界自然遺産にも登録されており、濁りのない透明度の高い海の環境を支える重要な役割を果たしている。
そんな豊かで清潔な「ニューカレドニア」の水中環境は、世界的に保護されながら生息する海洋生物たちの楽園でもある。
貴重な海洋哺乳類生物として知られる『ジュゴン』との出会いも実現できるなど、海で生活する生き物たちとの距離が近い「ニューカレドニア」の特色は、『海の宝石箱』との呼び名も高い。
神聖な美しい自然への配慮は心に留めておきたい
日本を始め、東南アジアやヨーロッパからの移民も多く受け入れてきた歴史を持ち、多様な人種と個性的な文化を継承している離島、それが「ニューカレドニア」だ。
治安の面でも大きなトラブルはない安全なリゾート地とされているが、1枚でも多く「ニューカレドニア」の美しい景色を写真に残したいという無我夢中さから、住民たちの生活空間に過剰に足を運ぶことがトラブルの原因となることも多い。
「ニューカレドニア」では森や洞穴の特定の場所を神聖視する文化があるため、許可なく足を踏み入れることが禁止されている場所も多い。
現地での思わぬトラブルを防ぐためにも事前に訪れる土地の情報を収集し、住民たちの許可を得ながら、心地良い観光を心掛ける意識が重要だ。
これらの配慮は「ニューカレドニア」に限らず、世界中の観光地に当てはまることでもある。
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