ブラジル在住の女性、メイリヴォーネ・ロシャ・モラエス(Meirivone Rocha Moraes)が語る結婚生活は、私たちの常識から大きく外れている。
というのも、彼女の夫は人間ではないのだ。
母親が手作りした布人形「マルセロ」なのである。
この風変わりな結婚は、2022年頃から世界各国のメディアで少しずつ取り上げられるようになった。
当初は奇抜な話題として消費されていたが、報道が重なるにつれ、そこに語られる出来事は次第に複雑さを帯びていく。
そして結婚からおよそ1年が過ぎた頃、メイリヴォーネは自身のSNSを通じて、夫との日常や家族の様子を積極的に発信するようになった。
出会いは「ダンスの相手がいない」という孤独から
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物語の始まりは2021年にさかのぼる。
当時30代後半だったダンサーのメイリヴォーネは、ブラジルの伝統舞踊フォホーを踊るパートナーが見つからず、強い孤独を感じていたという。
その悩みを打ち明けられた手芸好きの母親は、娘を元気づけようと、一体の布人形を手作りした。
それが、のちに彼女の夫となる「マルセロ」であった。
メイリヴォーネは「初めて見た瞬間に恋に落ちた」と語り、やがてその人形との関係を「恋愛」として、公にするようになっていったのである。
250人が出席した結婚式と“子ども”の誕生

画像 : 250人が参列する結婚式を挙げた2人 イメージ 草の実堂作成(AI)
2021年12月、メイリヴォーネはマルセロとの結婚式を挙げた。
式にはおよそ250人が出席し、彼女は後に「人生で最高の日だった」と振り返っている。
その後、2人のあいだには人形の息子「マルセリーニョ」が誕生したと彼女は語っており、その様子はSNSでライブ配信された。
この一連の出来事はTikTokやInstagramで瞬く間に拡散され、彼女の投稿は数十万規模のフォロワーに共有されるまでになった。
結婚1周年目前に発覚した「浮気疑惑」
結婚からおよそ1年後、メイリヴォーネはウイルス感染のため、息子とともに3泊4日の入院を余儀なくされていた。
その間に、夫のマルセロが別の女性とモーテルに入るところを目撃した人物がいたという。
その話を友人から知らされた彼女は、後に投稿した動画の中で、次のように語った。
「友人から、マルセロが別の女性とモーテルに入るのを見たという連絡をもらって、初めて知りました。
最初は、友人が嘘をついているのだと思ったんです。
でも、彼の携帯を見てみたら、そのやり取りを目にして確信しました。
彼が浮気しているって。」
メイリヴォーネによれば、夫のマルセロは疑惑についてすべてを否定し、「まだ君を愛している」と訴え、許しを請うてきたという。
この時、メイリヴォーネは2人の関係について「糸一本でつながっているような状態。この結婚は理解しがたいと思うけど愛はたくさんある。」と発言し、TikTok上で約160万回再生されている。
怒りの果てに下した「処罰」
激怒したメイリヴォーネは、マルセロを寝室から追い出し、以後はソファで寝かせるようになった。
彼女は怒りの感情を隠すことなく、次のように語った。
「本当に腹が立って、彼のゴム製の陰部を取り上げました。
他の女性が触ってしまうのが怖かったからです。
バーやショーに出かけるときは、それを引き出しに入れて鍵をかけています。
前にも同じことをしましたし、またやるつもりです。」
この処置は一度きりではなく、過去にも同様の対応をした経験があるという。
双子の誕生へ

画像 : 家族でバカンス イメージ 草の実堂作成(AI)
2023年4月、メイリヴォーネは妊娠検査で陽性反応が出たことと、超音波写真を自身のSNSに投稿し、妊娠を公表した。
夫妻はその後、リオデジャネイロのビーチハウスで1週間のハネムーンを過ごし、その間、生まれてくる子どもの誕生を心待ちにしていたという。
また、妊娠期間中に体重が6.5キロ増加したことも明かしている。
出産当日には、約35分にわたって出産の様子をSNSでライブ配信。
そして12月23日、彼女は自身のSNSを通じて、双子の女の子を自然分娩で出産したと発表した。
この一連の出来事について、メイリヴォーネは、次のように語っている。
「双子だなんて、本当に驚きました。
幸いにも出産はとても楽で、陣痛も痛みも感じなかったんです。
自分が本当に出産しているなんて、信じられない気持ちでした。
この特別な出来事を祝うために、友人たちにも見てもらえるよう、Facebookでライブ配信しました。
双子は最高のクリスマスプレゼントですし、家族として、もっと絆が深まっていくといいなと思っています。
これから忙しくなるでしょうけれど、今がこれまでで一番幸せです。」
双子には、「マルセラ」と「エミリア」という名前が付けられた。
その一方で、彼女の妊娠をめぐっては、当然真偽を疑う声も少なからず上がった。
しかしそうした声に対し、メイリヴォーネは次のように強く主張している。
「もちろん、これはマルセロの子です。
避妊具は使っていませんでしたから。
私たちの関係を偽物だと言う人たちがいるのは、とても悲しいことです。
両親は、私を正直で誠実な人間として育ててくれましたから。」
その後も、家族の日常はSNSを通じて発信され続けており、現在では約67万6千人のフォロワーに共有されている。
奇妙な結婚が映し出す現代社会

画像 : 仲睦まじい夫婦 イメージ 草の実堂作成(AI)
現在、メイリヴォーネは清掃の仕事に就き、家計を一手に支えているという。
布人形との結婚や、SNSで切り取られた日常だけを見ると、彼女の行動は極めて奇異なものに映る。
しかしそれは孤独や不安、誰かと生きたいという切実な感情が、彼女なりの形で表れた結果だったのかもしれない。
私生活を発信し、それがSNSやメディアを通じて増幅されていく。その循環の中で、彼女は今も家族とともに日々を生きている。
参考 :
Instagram @meirivone_santinha
Woman Who Married Rag Doll Says Relationship “Hanging By A Thread”
Woman Claims Her Marriage With Rag Doll Is ‘Hanging On A Thread’ As He ‘Cheated’ 他
文 / 藤城奈々 校正 / 草の実堂編集部
























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