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最後までドラマの連続だったNFLドラフト2021 最終日 「イーグルスの3日目」

いよいよ始まるドラフト最終日

一ヶ月前に起きた大型トレードから各チーム壮絶な駆け引きを繰り広げ、世界中のNFLファンが盛り上がった2021年のNFLドラフトも、あっという間に最終日を迎えた。

この2日間、数年先を見据えた将来性重視のドラフトを行って来たフィラデルフィア・イーグルスはどのように動いたのだろうか。

今回は、フィラデルフィア・イーグルスのドラフト3日目を振り返る。

ドラフト3日目の意味

3日目は4巡から7巡までの指名が行われる長丁場だが、即戦力となる選手はほとんど残っておらず、会場の様子を見ても盛り上がるとは言い難い。

しかも、6巡以降に指名された選手は開幕前に解雇されるか、53人枠の確保のためケガでシーズン絶望になった事にして、故障者リストに該当するIR(Injured Reserve)でシーズンを過ごす事もザラである。

戦力になる可能性が低い選手を指名する意味だが、前提条件として、下位は外れて元々という気持ちで臨むものであり、ルーキーとして結ぶ4年契約を全う出来れば御の字という選手が大半である。

当然ながら契約金も安く、保証額も僅かであるためチームの財布に与える影響はほとんどない。

スター発掘のチャンスは高くないが、当たった場合のリターンは大きいため、ローリスクハイリターンの「価値あるギャンブル」として重要になる訳だ。

ここから先はカレッジファンの目線になるが、例え下位でも自分の好きな大学の選手がNFLでも応援しているチームに来てくれたら嬉しいものである。

そういう意味で、3日目は大々的に盛り上がる事こそないが、一部のファンと掘り出し物を狙うチームにとって重要なイベントだった。

イーグルスの3日目

最初に書いた通り、ドラフトが始まってからの2日間、フィラデルフィア・イーグルスは数年後の世代交代を見据えた将来性を重視したドラフトを行って来た。

チームの弱点であるCBを狙える位置にありながらスルーした事に対して不満がない訳ではないが、これまで即戦力クラスのDBを上位で指名しながら総じて戦力にならなかった(セカンダリーの育成能力がない)ので、指名権の無駄遣いを避ける意味では賢明な判断だったと思う。

3日目に何を期待するかだが、8つあるドラフト権のうち4巡でCBを指名してくれればOK。
後はRBの育成枠としてOSU(オレゴン州立大学)のジャマール・ジェファーソン(ファンだから)が来たら最高という、ほぼ個人的な願望だった。

OSUファン以外の知名度は高くないが、ジェファーソンが入学した2018年に彼のプレーを一目見てから「こいつはNFLに行く」と思っていた逸材なので、個人的に最も注目している選手だった。(年に一人ドラフトされるかどうかという弱小大学のファンからすると、3日目は応援している選手がいつ呼ばれるかが最大の楽しみである

Jermar Jeffersonの名前が画面に表示される瞬間を心待ちにしながら、ドラフト3日目が始まる。

4巡123位 ゼカリア・マクファーソン

DBを育てる自信がないとはいえ、リーグ最悪のCB陣を放置する事も出来ないから4巡はさすがにCBを指名するだろうと思っていたが、ドラフト前にマイアミ・ドルフィンズとのトレードで手に入れた4巡123位でテキサス工科のCB、ゼカリア・マクファーソンを指名して全世界のイーグルスファンを安堵させてくれた。

8人兄弟の7番目で、両親含めた家族10人全員がプロのアスリートになるか、最低でも大学までスポーツに打ち込んでいた超アスリート一家という、アメリカでも多くはないであろう家族構成が目を引くが、最初に入学したペンシルベニア州立を3年で卒業してからテキサス工科に転校するなど学業面でもかなり優秀なようで、フットボールに必要な頭脳面は期待出来る。

但し、NFLのCBとして必要なスピードがある訳でもなく、長身のレシーバーと競り合うだけの高さもないため、決して即戦力と評価されている選手ではない。

結論から述べると突出したものがないから4巡まで落ちた訳だが、戦力になるかどうかはコーチの育成と本人の努力次第なので、是非とも低評価を覆して欲しい。

5巡150位 ケネス・ゲインウェル

CBを指名したので後はBPAでOK、5巡以降はOSUの選手は指名されるのかという個人的な興味にシフトする。

5巡150位で指名したケネス・ゲインウェル(メンフィス RB)は、大学でプレーしたのは2019年までの2年のみ(理由は後述)だが、2019年はランで1459ヤード13TD、レシーブで610ヤード3TDという驚異的な数字を残しており、RBにランパス双方での貢献を求めるイーグルス向きの選手として歓迎する声が多かった。

ゲインウェルが2020年にプレーしなかった理由だが、親類がコロナで亡くなったからオプトアウトを選択したという責められない事情があった。

1年のブランクに加え、決して強豪とは言えないカンファレンスでプレーしていた事など不安要素も多く、あくまで大学レベルのスターという声もあるが、ミシシッピ州出身ながら子供の頃からイーグルスファンだったという応援したくなる存在なので、夢が叶ったと満足せず、更なる努力と成長を重ねてイーグルスの主力選手として活躍する姿に期待する。

番外編 トレード

6巡に入り、次の出番である189位が見えて来たが、直前になってワシントン・フットボールチームとトレードを行ったという情報が流れる。

225位と240位を差し出す代わりに2022年の5巡を手に入れた。

開幕53人枠に残れるか分からない選手を2人指名するよりも来年の5巡指名権を増やした方がいいという判断を尊重したい。(正直なところ、6巡以下で指名した2名のうちどちらかと5巡で指名した選手が戦力になる可能性になる可能性はトントンなので、このトレードはどちらが勝つか、それとも共倒れになるか、数年先の結果を見守りたい

6巡189位 マーロン・トゥイプロトゥ

6巡の指名が進むにつれて、日本のファンは寝落ちしたのか大分静かになる。

メモのような形で指名された選手をTwitterに載せていた筆者の集中力も切れつつあったが、189位で指名した名前の読めない選手を見て我に帰る。

Tuipulotuといういかにもポリネシア系の名前(ルーツはトンガらしい)だが、出身はオレゴン州らしい。(地元ならOSUに来て欲しかったが、USCの方が格上だから行きたがるのは仕方ない

名門USCのDTとして強豪犇めくPac12の1stチームに選ばれるなど実績は十分であり、優秀なランストッパーとして高く評価されていた。

実力のある選手が各チームの事情によって下位に落ちる事はよくある話であり、使い方次第では十分戦力になる選手を上手く拾ったイーグルスの動きを評価する声は多い。

6巡191位 タロン・ジャクソン

シンシナティ・ベンガルズが190位でトレイ・ヒルを指名すると、191位は再びイーグルスの番になる。(カロライナ・パンサーズとトレードを行っていた

ここで指名したタロン・ジャクソンは2020年に11勝1敗の大躍進を遂げたコースタルカロライナのサックリーダーであり、過去2年で18サックを決める活躍を見せている。

イーグルスの看板であるDE陣に割って入るのは簡単ではないが、宝くじと思えば価値のある投資である。

6巡224位 ジャコビー・スティーブンス

ドラフトも終盤に入り、各チーム最後の指名が見えて来た。

224位で指名したジャコビー・スティーブンスはLSUのSとして2019年の全米制覇を経験している。

入学直後の2017年はWRとしてほとんど戦力になっていなかったが、Sに転向した2018年から試合でも活躍するようになり、全米制覇に貢献した2019年は15試合で92タックルという立派な数字を残している。(2020年は10試合63タックル

40ヤード4.62とDBとして遅いためサイトによってはLBという紹介もあるが、大学2年からSとしてプレーして来た事もあって212ポンド(96キロ)とLBとして軽いのが気になる。

Sとしてはスピード不足、LBとしてはパワー不足という何とも惜しい選手だが、体重を増やしてLBにコンバートするのであればカレッジでタックル数の多いLBに外れはないというジンクスを信じたい。

7巡234位 パトリック・ジョンソン

7巡以降も複数の指名権があったが、ワシントンとのトレードによって234位が出番としては最後になる。

最後の指名はテューレンのDEであるパトリック・ジョンソンだった。

サイズとしてはOLBに近く、DEとしてはサイズ不足が否めない。

一応、大学では2桁サックを2シーズン決めているからパスラッシュ能力は高いと思うが、プレシーズンでかなりの活躍を見せなければ53人枠は勿論、PSに入れるかも怪しいと思う。(ドラフト指名されたという事実に変わりはないが、7巡はそれだけ厳しい世界である)

ドラフトを振り返って

3回に渡ってフィラデルフィア・イーグルスのドラフトを振り返ったが、初日のスミス以外に即戦力の指名はなく、徹頭徹尾将来を見据えたドラフトになった。(チームカラーに合うという理由でスミスの次に嬉しかったのが5巡のゲインウェルだったが、勿論他の7人にも期待している

弱点でありながら結局スミスだけだったWRは大量指名した2020年の失敗を認めたくないのか、取り敢えずもう一年様子見というのは分かるが、CBはマクファーソン一人で本当に良かったのかという点に関しては賛否両論だった。

もっとも、CBを育てられないと諦めているのであれば下手な鉄砲に期待するより他のポジションに使った方がマシという考えも理解出来るし、それなら財布に余裕が出来てから有力な選手を獲得する方が話が早いので、CBに消極的だった事は現時点では必要以上に気にしなくていい。

2021年シーズンに何勝出来るか分からないが、2度目のスーパーボウル制覇を目指す第一歩としてサラリーキャップに空きが出来て、世代交代が本格化する2022年の春を待ちたい。

ちなみに、ある意味一番注目していたジャマール・ジェファーソンはMr. Irrelevant手前の258位でデトロイト・ライオンズに指名されたが、筆者にとってジェファーソン指名がドラフト3日目で一番興奮した瞬間だった。

 

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浦和レッズ、フィラデルフィア・イーグルス&フィリーズ、オレゴン州立大学、シラキュース大学を応援しているスポーツ好きな関羽ファンです。

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