宇宙

SpaceX初、民間企業の月着陸機、数週間以内に打ち上げへ

インテュイティブ・マシーンズ社(Intuitive Machines)」の月着陸機「Nova-C」は、2024年2月中旬にフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から、スペースX社により開発された「Falcon 9ロケット」で打ち上げられる予定だ。

インテュイティブ・マシーンズ社(Intuitive Machines)とは、アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンに本社を置く航空宇宙企業で、月着陸機などの開発を行っている民間企業である。

画像: インテュイティブ・マシーンズが製造したNova-C 月着陸機のイラスト Credits: Intuitive Machines

イーロン・マスクが設立したSpaceXが、民間企業の月着陸機を、同社のロケットで打ち上げるのは初めてのこと。

SpaceXは今回のミッションで月着陸機を地球の軌道に運び、そこから月面に向かう軌道に乗せる。

しかし、まだ具体的な打ち上げ日程は発表されていない。

民間の月着陸機が打ち上げ準備完了

1月31日、民間のロボット型月面着陸機「Nova-C」は、スペースXのファルコン9ロケットのフェアリングカバーに納められ、間近に迫った打ち上げに向けて準備が進められた。

フェアリングとはロケットのペイロード(探査機、衛星、測定装置などの搭載物)を覆う筒状のカバーのことだ。

計画通りに進めば、2月中旬の3日間の発射期間中に、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられる。

スペースXとインチュイティブ・マシーンズはまだその日程を発表していないが、宇宙システム担当副社長・トレント・マーティン氏は、「Nova-Cの月面着陸試験は2月22日に行われる」とコメントしている。

2月中に打ち上げができない場合は、次の機会は3月となる。

ミッションの目的と搭載機器

画像: 月着陸機 Nova-C(愛称: オデッセウス) model CC BY 2.0

月着陸機の目的は、「月面南極域に着陸し、水氷の探査を行うこと」である。

IM-1」と名付けられた今回のミッションは、月南極にあるマラパートA(Malapert A)と呼ばれる衝突クレーター付近に、「Nova-C」を着陸させることを目的としている。

この地域は、月の南極から緯度10度以内に位置し、科学者らにとって非常に興味深い場所である。

なぜなら、この地域には「大量の水氷が存在する」と考えられているからだ。

「Nova-C」着陸機は、米航空宇宙局(NASA)の商業月面ペイロード輸送サービス(CLPS)を通じて、6つのNASAの科学機器を搭載している。

CLPS(Commercial Lunar Payload Services) とは、NASAが民間企業と契約を結び、月面での有人宇宙探査を支援するために、科学実験装置や商用の貨物を月面に運ぶサービスのことだ。

また、民間企業が開発した無人月着陸機を活用して、月や月周辺に恒久的な有人基地を建設する計画にも役立つ科学データを収集することを目的としている。

「IM-1」ミッションで、「Nova-C」に搭載されたNASAの6つの機器は以下である。

・レーザーリトロリフレクターアレイ (LRA)
地球からレーザーを反射することで、地球と月の距離を測定することができる。

・精密な速度と遠近判定のためのドップラーライダー (NDL)
月着陸の精度を向上させるためのドップラー・ライダー。

・ルナーノード1測位実証機 (LN-1)
周回衛星や着陸機に位置情報を提供する測位用のビーコン。

・月プルームと表面の研究用のステレオカメラ (SCALPSS)
Nova-Cの着陸時に舞い上がったダストを観測する。

・月表側表面での光電子シースの電波観測 (ROLSES)
月表面近くの光電子シースの密度を電波で観測する実験。

・無線周波数質量ゲージ (RFMG)
推進剤の残量を低重力環境で測定する装置。

推進剤の計測は、無重量状態という環境の中では難しい課題となる。

NASAによれば、液体水素などの極低温推進剤を使用する今後の宇宙飛行ミッションでは、この技術を用いることで、推進剤の残量を監視する際の推測の要素をなくし、燃料を節約できる可能性があるという。

失敗に終わった他の月面着陸ミッション

CLPSの支援を受けて打ち上げられた月着陸機は、今回の「Nova-C」が初ではない。

初めて打ち上げられたのは、アストロボティック(Astrobotic)社の「ペレグリン探査機」だ。

画像 : 打ち上げ前のペレグリン public domain

ペレグリンは、1月8日、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社の新型ロケット「バルカン・ケンタウルス」の、初打ち上げミッションによって打ち上げられた。

バルカン・ケンタウルスロケットの性能は良好だったが、ペレグリン号はロケットの上段からの分離直後に致命的な燃料漏れを起こした。

ペレグリンの運用チームは10日間宇宙空間で稼働させ続けたが、最終的には1月18日に、ペレグリンを大気圏に再突入させ、破壊処分した。

「Nova-C」は、民間企業による史上初の月面着陸を目指している。

もし成功すれば、月面探査の歴史に新たな1ページが刻まれることになる。

1月19日には、日本の月着陸実証機SLIMが月面着陸に成功し、日本は5番目の月面着陸国となった。

月面に探査機を着陸させた他の4か国は、ソ連、アメリカ、中国、インドである。

さいごに

民間宇宙企業の台頭により、月や火星での活動拡大が見込まれる中、SpaceXは月面インフラ構築も視野に入れている。

同社の存在感が宇宙分野でより高まることが予想される。

ペレグリンにも大きな期待がかけられていたが、着陸を開始することすらできなかった。

Nova-Cには期待したいところである。

参考 :
Elon Musk’s SpaceX could launch a private moon lander within weeks | livescience

 

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フィリピン在住の50代IoTエンジニア&ライター。
antiX Linuxを愛用中。頻繁に起こる日常のトラブルに奮闘中。二女の父だがフィリピン人妻とは別居中。趣味はプチDIYとAIや暗号資産、マイクロコントローラを含むIT業界ワッチング。

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