「流星、隕石、流星体、小惑星、彗星」など、宇宙に関する用語は多様だ。
ここに「流れ星」や「流星群」も混ざってくると、もう何が違うのか、よくわからなくなるのではないだろうか?
乱暴に言ってしまえば、これらはほぼ全て「岩石」だ。
しかし、これらは一見似ているように見えて、実は違うのである。
専門家の間では、特定の用語を使い分け、それぞれ異なる意味をもたせている。
本稿では、「流星・隕石・流星体、小惑星、彗星」の違いと類似点について、わかりやすく説明する。
流星体、流星、隕石の関係
流星体とは
まず、「流星体」とは「太陽の周りを公転する、小さな岩石または金属質の物体」のことである。
流星体はかなり小ぶりで、砂粒ほどの大きさから、大きな岩塊ほどの大きさまである。
つまり、流星体は「小惑星よりも小さな宇宙の岩石」のことなのだ。
最初に流星体から説明するのは、流星体は流星や隕石になる可能性があるからだ。
流星とは
「流星」とは「地球の大気に突入した流星体」のことである。
流星は基本的に、かつて宇宙空間を飛び回っていた小さな岩石や金属の塊が、地球の重力に引き寄せられ、大気との摩擦で熱くなり、燃えながら光を放ち、空を横切る現象のことをいう。
地球から見られるのは、この明るく燃える光の筋であり、その筋自体を流星と呼んでいるのだ。
特に明るい流星は、爆発する場合もあり、「火球」と呼ばれる。
隕石とは
「隕石」とは「宇宙から地球に到達した石や金属の塊(流星体)」のことだ。
つまり、隕石は地球の大気に突入した流星体だが、燃え尽きずに地表に衝突して残ったものである。
一般的に、隕石は燃え尽きてしまう流星よりも大きい。
これは、大きいほど燃える時間が長いため、小さくて脆いものは燃え尽きてしまうからだ。
隕石は地表に衝突する際、火球のように見えるが、最終的には冷える。
そして隕石の衝突は、かなり激しいものになる可能性がある。
多くの隕石は、地球の表面に大きな凹み、いわゆる「衝突クレーター」または「隕石クレーター」を残している。
メキシコの巨大なシクシュルブクレーターは、恐竜の大量絶滅を引き起こした隕石衝突によるものと考えられている。
地球上で最も大きい衝突クレーターは、南アフリカにあるフレデフォートクレーターで、元々は直径約300kmもあった。
一般的には、隕石は流星体と同義語として使われることも少なくない。
しかし、厳密に言うと、地面に到達する宇宙の岩石は、通常、隕石と呼ぶ。
つまり整理すると、
・宇宙空間を浮遊しているものが「流星体」
・地球の大気に突入して燃え尽きるものが「流星」
・燃え尽きずに地表に衝突するものが「隕石」
となる。
流星はどのように生まれるのか?
「流星」は、前述したように「地球の大気に突入した流星体」のことだ。
多くの流星体は、彗星や小惑星の破片であり、特に火星と木星の間にある小惑星帯の小惑星から来ている。
木星の強い重力場は、小惑星帯からいくつかの物体を引き寄せ、宇宙空間に漂わせ、時には地球に向かって放出することもある。
また、流星体の中には、火星や月などの他の天体から、小惑星が衝突した際に飛び散った破片もある。
流星群とは?
「流星群」とは、比較的短期間に多くの流星が大気圏に突入する現象である。
多くの人が流星群を楽しみにしているのは、一度にたくさんの流星を見ることができるからだ。
これは平行に移動する多数の流星体の軌道を、地球が通過することが原因の場合もある。
また、彗星が移動した後の軌道を、地球が通過する時に発生することもある。
これらの流星群の流星は、彗星から脱落して地球の重力に引き寄せられた破片だ。
地球の軌道の規則性により、毎年同じ時期(地球がこれらの彗星の軌道を通過する時期)に、流星群が発生する場合もある。
特に有名な流星群には、ペルセウス座流星群 (8月中旬)、レオニド流星群 (11月中旬)、そしてハレー彗星に関連するアクアリッド流星群 (5月初旬) などがある。
小惑星とは?
「小惑星」とは、
・太陽の周りを回る無数の小さな天体
・形状が不規則
・大きさの範囲が広い
という条件を満たす天体である。
小惑星は、「準惑星」または「微惑星」と呼ばれることもある。
小惑星は主に岩石や金属で構成されている。
流星体よりも大きく、直径6フィートから600マイル以上 (惑星よりもはるかに小さいが、それでもかなり大きい) のものまである。
映画などで、地球全体を破壊する可能性のある巨大な宇宙の岩石は通常、小惑星だ。
小惑星はどこから来るのか?
驚くことに、小惑星は太陽系形成時に残った宇宙の残骸である。
「小惑星」という言葉は、ギリシャ語の「星のような」に由来する。
小惑星は星を周回するため、小さな惑星のようなものといえる。
現在、太陽系には100万個以上の既知の小惑星があるといわれており、私たちが知っている小惑星のほとんどは、火星と木星の間にある「小惑星帯」と呼ばれる、いわば小惑星の墓場に存在している。
彗星とは?
「彗星」は、
・太陽の周りを回る天体
・通常は非常に大きい楕円形の軌道を持つ
・中心核が塵やガスの包膜に囲まれている
・太陽から遠ざかるにつれて尾を形成する
という条件を満たす天体である。
彗星は主に氷、塵、そして少量の岩石で構成されており、そのことから「汚れた雪玉」と呼ばれることもある。
これが、主に岩石や金属で構成される小惑星とは異なる点だ。
しかし、小惑星と同様に、彗星も太陽の周りを回る。
彗星が太陽に近づくと、氷の核が熱せられ、塵とガスのハロー (コマ) が形成される。
彗星は、太陽風や熱によって吹き飛ばされるガス状の塵の雲である尾を持つことで知られている。
この尾は、まるで彗星の髪の毛のように見える。そして「彗星」という言葉は、ギリシャ語の「長い髪を持つ」に由来する。
彗星はどこから来るのか?
ほとんどの彗星は、太陽系の外側または縁からやってくる。
多くの彗星は、数十億個もの彗星が存在する太陽系のはるか外側にあるオールト雲や、カイパーベルトと呼ばれる領域からやってくる。
太陽の周りを回る彗星もあれば、太陽系外に飛び出す軌道をもつ彗星もある。
太陽の周りを回る彗星は、定期的に太陽系内に戻ってくる。
そのため、みなさんもご存知かもしれない、有名な彗星もいくつかある。
ハレー彗星は、約76年ごとに地球に接近することで知られている。(前回は1986年、次回は2061年に観測できる)。
多くの彗星は、非常に長い軌道周期を持っているが、エンケ彗星のように短い周期を持つものもある。エンケ彗星は約3.3年ごとに地球に接近する。
流れ星とは?
「流れ星」は、流星の一種で、夜空を横切る明るい光の筋のように見えるものだ。
非常に速く移動するため、流れ星を見つけるには、かなりの幸運が必要だ。
ただし、流星群が接近している場合は、多くの流れ星を見ることができる場合もある。
さいごに
最後に簡単にまとめてみよう。
・流星体:宇宙空間を移動する小さな岩石。砂埃ほどの大きさから小惑星ほどの大きさまである。
・流星:地球の大気に突入し、燃え尽きる流星体。
・隕石:地球の表面に到達した流星体 (特に大きなもの)。
・小惑星:太陽の周りを回る岩石質の物体。流星体と惑星の中間の大きさ。
・彗星:主に氷と塵でできた物体。ガス状の輪と尾を持ち、太陽の周りを回る。
今後、天体関連のニュースを見聞きしたときに、本稿の内容がお役に立てれば幸いである。
参考 :
Meteors and Meteorites – NASA Science
ARES | Meteorite Falls | What are Meteorites?
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