種をひたすら食べる光景
中国人や台湾人はお茶菓子の代わりに「瓜子 : gua zi」を食べる。どこでも食べる。
バスや電車の中、マクドナルドなどファーストフード店でも食べる。若者からお年寄りまでみんな食べる。
最近では街の美化を促進しており、バスの電光掲示板に「種の食べかすを床にばら撒かないように。美化にご協力ください。」との表示がされるほどだ。
「瓜子 : gua zi」は、中国茶を飲みながらのお供として食べるのが一般的である。
スーパーに行くと様々な種を山盛りにして測り売りしている。 味は様々で、味のないノーマルのものから、バター味、ニンニク味、塩味など様々で ある。
中国の旧正月「春節」など人が集まる場面では、必ずと言っていいほど各種瓜子が準備される。
丸い区切りがいくつもある容器の中に色々な味の瓜子が入れられて、客間のテーブルの上に出される。テレビを見たりドラマを見る時に、瓜子がないと何かが足りない気持ちになるらしい。
食べ方もプロフェッショナルである。口に一旦入れてから、口の中で殻を剥いて実を食べるのである。殻を器用に吐き出す姿は見事なものだ。
筆者が中国に在住していた頃、種は小鳥や小動物が食べるイメージだったので少し抵抗があった。 だがどこの家に行っても出されるので試しに食べてみると、意外と素朴な味で美味しい。 乾燥した胡桃を食べている感じである。
瓜子を食べる習慣は、いつから始まった?
中国で瓜子を食べる習慣は、いつ頃から始まったのだろうか?
最も古い記録は北宋の時代だという。中国北部の歴史文献の中にその記録を見ることができる。
なぜ瓜子を食べるようになったかというと、北部の冬の寒さが関係していたようである。 中国北部は寒さが非常に厳しく冬が長い。その間、人々はほぼ家の中で過ごしていた。 そして退屈しのぎに一つ一つ殻を剥きながら瓜子を食べる習慣が生まれたという。
電気もなく、パソコンやテレビなどの娯楽がなかった時代、ちょっとゲーム感覚で殻を剥きながら食べるのが流行ったのである。 元の時代の記録によると、なんと50種類もの種を食べていたという。
現在では主に向日葵やカボチャの種などが食べられているが、これらは1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見した後に中国に入ってきたという。
それ以前は主にスイカの種を食べていた。 明朝の皇帝もスイカの種を食べるのが好きで「新鮮なスイカの種の塩を加えて炒めたもの好んだ」という記述がある。
袖の中に常備しており、いつでもどこでも食べられるようにしていたという。
瓜子を食べたことがある人はわかると思うが、本当に「やめられない止まらない」 カッパえびせん状態となる。これは反復行動が脳に及ぼす影響が関係しており、簡単な反復行動は人に習慣性を与えるのである。
では、瓜子が健康に与える影響はどうだろうか?
カボチャの種は胃や肺、腸に良い成分を含んでいて、向日葵の種は脂肪酸とビタミンEを多く含んでいる。そして瓜子を噛んだ時の香りは舌の上でほのかに香り、大脳まで届いて唾液の分泌を促し、食事後に食べる胃液の分泌を促して消化を助けるという。
こう聞くと「なんだかいいことばかりではないか」と思いがちだが、食べ過ぎは禁物だ。
瓜子には高めの塩分が含まれており、食べすぎると高血圧や腎臓疾患に繋がりかねない。 特に味つけしてあるものには注意した方が良い。
瓜子を購入する際は「原味」という、何も味付けのしてないノーマルなものを選ぶのがおすすめである。
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