イベント

ハロウィンの歴史 「日本とアメリカの過ごし方の違い」

ハロウィンというと日本では、最近になってお祭りとして定着しました。

だから「パリピたちがクラブで騒いだり、渋谷をコスプレして歩く」といった貧相なイメージしか私にはありません(笑)

でも、元々は海外のお祭りで、宗教も関係していますよね?

そこで、ハロウィンの歴史と本場での楽しみ方を調べてみました。

ハロウィン は西洋のお盆!

ハロウィンの歴史

ハロウィンは、元々ヨーロッパに住むケルト人のお祭りでした。

ケルト人は、1年の終わりを10月30日と決めていて、その日の夜は夏の終わりも意味しています。同時に11月1日は冬の始まりでもあり、この日に行われた「サウィン祭」が起源といわれています。

アイルランドやイギリスに住むケルト人の祭司「ドルイド」たちが始めたようです。この時期には、死者の霊が家族の元を訪ねてくるのと同時に、悪霊や精霊、魔女といった「悪い者」が出てくるとも考えられていたため、仮面を被る習慣が広まりました。さらに収穫祭の意味もあったようです。

10月31日の夜に、ドルイドたちがかがり火の周りで一晩中踊って、11月1日の朝になるとその火を各家庭で持ち帰ることで、悪霊などが入らないようにしていたそうです。

日本のお盆に「悪霊まで出てきちゃった!」という感じでしょうか。

アメリカに定着したのは最近?

やがてハロウィンの習慣は、19世紀にアメリカに渡ります。

アイルランドやスコットランドから多くの移民たちがやってきて、アメリカにハロウィンを伝えました。それでも、19世紀のなかば頃までは移民全体で行われていたわけではなく、20世紀の初めになって社会的に受け入れられるようになったそうです。さらに東海岸から西海岸へと広まっていき、1950年代には「トリック・オア・トリート」という合言葉も知られるようになります。

ハロウィンの歴史
※ハロウィンを記念するカード(1904年、アメリカ)

アメリカでハロウィンが普及したのも案外と最近なんですね。

でも、問題もありました。ハロウィンとカトリック教会の聖人の日が重なっていたため、キリスト教のお祭りと混同されてしまったのです。そのため「カトリックがケルトという異教のお祭りを取り入れた」とか「カトリックが異教のお祭りを潰したくて聖人の日をぶつけてきた」といった考察がされるようになります。

カトリックvsハロウィン!

キリスト教では「教会歴」という暦を使用しています。カトリックでは、キリストの誕生日であるクリスマスを準備する期間「待降節(たいたんせつ)」を一年の初めとして、色々な行事があります。教会歴では、一日の始まりは日没となっています。そして、翌日の日没までが一日となるのですが、この暦によると10月31日の夜は、11月1日が始まる夜となります。

カトリックでは、その11月1日を「諸聖人の日」という「すべての聖人と殉教者を記念する日」に定めて、祭日となりました。ハロウィンと同じ10月31日の日没から始まるわけですね。しかも、かつては自然を崇拝していたケルト人が、カトリックへ改宗するときに、ケルト人の収穫祭だった時期に合わせて「諸聖人の日」を11月1日にしたともいわれています。

ハロウィンの歴史
※カトリック教会の諸聖人の日と、ハロウィンの日の関係

でも、ハロウィンはキリスト教のお祭りではありません。それでも「ハロウィンはハロウィン!」と割り切ってパーティーを行う教会もあるそうです。こうした事情がハロウィンとキリスト教徒の関係をややこしくしていたんですね。

現代のハロウィン

現代のハロウィンは、英語圏を中心にアイルランド、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどに広まっています。特にもともとがケルト人の国だったアイルランドでは、10月の最後の月曜日は祝日となっていて、さらにその一週間は「ハロウィン休み」ということで、すべての学校がお休みになるそうです!

学校が休みな上にハロウィンを楽しめるなんて羨ましい(笑)

ハロウィンの歴史

でも、先ほど書いたようにカトリックの影響が強い国や地域、東方教会の影響が強い東欧や中欧などではハロウィンの習慣はないそうです。しかも、ロシアでは教育省が「ハロウィンは子供にとって有害」とまで言っちゃっているとか。ロシアも東方教会の流れなので仕方ないのかもしれません。もちろん、日本や東南アジアの一部など、宗教的に寛容な国では「純粋にアメリカのイベント」として楽しまれています。

アメリカでのハロウィンの過ごし方

アメリカでは日本のお正月のように事前の準備に時間を掛けます。これはクリスマスも同じですが、大体一ヶ月ほど前から準備を始めるのが一般的だとか。

家のデコレーションをしたり、仮装用の衣装やお菓子の準備期間です。しかも、さらにその一ヶ月前、つまり、ハロウィンの二ヶ月前には各お店に色々なハロウィンに関連した商品が並びます。そして、早い場合は10月の上旬から、派手にハロウィンの飾り付けをした家が見られるそうです。さらにカボチャをくり抜いて「ジャック・オー・ランタン」の準備もあるから大変ですね。

ハロウィンの歴史

とにかくアメリカのハロウィンは「こだわり方」が日本とは違います。日本ではせいぜい「衣装代が数万円」というところでしょうが、あちらでは家のデコレーションだけで10万円、なんていうのもざらにあるとか。子供たちが貰って帰るお菓子も、リビングのテーブルに山盛りになるといいますから、当然、あげる方もそれなりの数を用意しないとダメです。

でも、そんな出費や手間なんて忘れるほど、大人も子供も思い切り楽しむのがアメリカのハロウィンなんですね!

まとめ

アメリカと日本の一番の違いは「コミュニティの結束力」だと思います。日本では、SNSで知り合った人たちでハロウィンを祝うのも当たり前になっていますが、アメリカでは地域で協力して、安全に楽しめるイベントにしているわけです。だとすると、日本の町内会のお祭りみたいな感覚なんでしょう。

みなさんも、友達や家族と一緒にハロウィンを楽しんじゃいましょう!

さぁ、トリック・オア・トリート!

関連記事:キリスト教
キリスト教を分かりやすく調べてみた【カトリック,プロテスタント,正教会】
キリスト教の聖書と祈りについて調べてみた

関連記事:祭り
祭りと神輿の歴史について調べてみた

 

アバター

クロワ

投稿者の記事一覧

フリーライターのクロワです。主に生活のなかで役立つ記事やトレンド記事などを書いています。よろしくお願いします

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. キリストは日本で死んでいた? 「不思議な伝承が残るキリスト、モー…
  2. 「善人より悪人の方が救われる?」仏教界の異端児・親鸞の教えとは
  3. ブッシュドノエル 「日本でも定番になったフランスのクリスマスケー…
  4. 【神社の創建チャレンジ】 登記申請に初挑戦!地目変更(山林→境内…
  5. 端午の節句にちまきを食べるのはなぜ? 「春秋時代の詩人 屈原の死…
  6. 世界と日本の「バレンタインデー」の違い 【バレンタインの起源】
  7. 優駿牝馬(オークス)の歴史を調べてみた
  8. 【サンタの起源となった聖人】 聖ニコラウスの伝説 ~塩漬けにされ…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

大貫弁護士イメージ 【虎に翼】実父から15年間性加害を受けて出産「尊属殺人事件」~弁護士親子の奮闘

NHK朝ドラ『虎に翼』では、最高裁判所で尊属殺人事件の判決が下されました。黒い法服を身にまと…

鉄甲船を率いて毛利水軍を破った武将・九鬼嘉隆

海賊大名の異名九鬼嘉隆(くきよしたか)は、戦国時代から安土桃山時代に織田信長・豊臣秀吉に…

優駿牝馬(オークス)の歴史を調べてみた

優駿牝馬(3歳オープン 牝馬限定 国際・指定 定量 2400m芝・左)は、日本中央競馬会(J…

織田信長を裏切った家臣たち 「明智光秀、松永久秀、織田信勝、荒木村重 ~他」

織田信長の家臣団といえば、羽柴(豊臣)秀吉をはじめとする有名な武将が多数名を連ねている。…

家に住みついて幸運を呼ぶ、世界の不思議な『座敷童子』系の妖精伝承

座敷童子(ざしきわらし)という妖怪の話を聞いたことがある人は多いだろう。この妖怪は東…

アーカイブ

PAGE TOP