日本史

おやつ(お菓子)の歴史について調べてみた

おやつ(お菓子)の歴史について調べてみた

おやつの語源は1日2食の江戸時代の食生活に小腹を満たすために午後2時から4時頃を示す、「八つ刻(やつどき)」に、食事以外の軽食を食べたことが由来となります。
八つ刻のちょうど真ん中3時が今のおやつの時間として定着したのは、

「かすてら1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂♪」

という全国版のCMで日本国民の耳に馴染んだからと言われています。

それ以前にもおやつは食べられていました。では八つ刻に限らず、食事以外のおやつ、お菓子という概念はいったいつごろ生まれたのでしょうか?

おやつ(お菓子)の歴史について調べてみた

※田道間守

古くは古事記の時代、田道間守(たじまもり)が常世の国より持ち帰った不老不死の妙薬、非時香果(トキジクノカグノミ)、現在の橘の実とされるものが、果物、お菓子の最初とされています。田道間守は果物や菓子の祖神とされ、菓子業界で信仰されています。

お菓子の歴史

お菓子の歴史を調べてみました

奈良・平安時代

おやつ(お菓子)の歴史について調べてみた

※遣唐使の航路

遣唐使、遣隋使が唐からお菓子の技法を持ち帰り、これまで潰したり、蒸したりしたものよりも高度な菓子技術が培われました。
正倉院文書の淡路国正税帳の中に大豆餅、小豆餅、煎餅、浮餡餅の記述があります。

鎌倉・南北朝時代

砂糖の輸入が拡大し、この頃発展した茶の湯の文化と相まって和菓子の技術が確立していきます

室町・安土桃山時代、江戸時代初期

ポルトガルやスペインから、砂糖や卵を用いたお菓子が伝来します。

カステラ、金平糖(ポルトガルの宣教師ルイス・フロイスがギヤマンの壺入りの金平糖を織田信長に送る)など砂糖をふんだんに使ったお菓子以外には、素朴な餡餅、羊羹、落雁の他は柿、栗、柘榴などの木の実が茶会でも用いられました。

江戸時代中期

おやつ(お菓子)の歴史について調べてみた

※嘉祥の儀 出典

平安時代から厄除け・健康招福を祈って神様に菓子を捧げて祈る、嘉祥(かじょう)の儀式は江戸中期、元禄の時代には最も盛んになります。

江戸城大広間には京都由来の上菓子が2万個並べられ、将軍より大名は旗本にその菓子が下される嘉祥の儀が大々的にとりおこなわれました。
嘉祥は明治以降廃れましたが、昭和54年より6月16日は全国和菓子組合により「和菓子の日」として制定されました。

今も残る向島長命寺の桜餅も1741年、徳川吉宗の時代に発売され人気をはくしました。

明治・大正時代

明治維新以降、ドロップ、キャンディ、チョコレート、ビスケットなどが海外から輸入され、菓子界に大きな革命をもたらします。
チョコレート国産第1号の森永をはじめ、多くの製菓会社が設立されました

昭和時代

第2次大戦後、昭和27年に砂糖の統制が撤廃となり、菓子業界は一斉に盛況となります。

昭和30年代に入り機械化により本格的な大量生産のお菓子が作られるようになります。
昭和46年からチューインガム、キャンデー、チョコレートなどすべての菓子が自由化されお菓子の国際化時代が進みます。

平成から現代

平成7年食品衛生法が改正され表示制度が発足、賞味期限健康志向が高まり、お菓子の多様化が進みます。

現代お菓子事情

2018年の総務省による家計調査では、2人以上の世帯の1世帯あたりの1か月の平均として

消費支出は287,315円
食費   73,977円 消費支出の25.7%
菓子類  5,664円  食費の7.7%

とあります。
この数字を超えないよう、家計を圧迫しないおやつの質と量を考えたいものです。

こどものおやつ、あげる時の注意点は?

3度の食事でとり切れない栄養の補給として、こどもにはおやつが必要です。
甘いものである必要もないので、糖質、食物繊維などがとれる、ふかし芋、おにぎり、野菜スティックなどが理想のおやつと言えます。

虫歯、偏食、肥満、を防いで上手に栄養バランスを整えて親子で楽しい時間を共有しましょう。

以下のような親子で作る
揚げないもっちりお豆腐アメリカンドッグ
などは理想のおやつです

https://www.recipe-blog.jp/profile/15096/blog/15947628 (レシピブログより)

大人のおやつはどんなものがよい?

生活習慣からおやつとして食べるものを決めるがよいと思います。

デスクワークでクーラーがんがんのオフィスで働く人は、脳が必要とするぶどう糖を補うために、軽くつまめる甘いものや体を温める飲み物などが最適です。
汗をかいて体を動かす職種の人は、塩分と水分、そのほかにカロリーも補う必要があります。

おやつのメリットデメリット

メリット
適度な栄養を摂ることで夕食時の血糖値の急上昇を防ぎ肥満の防止になる。
リフレッシュができる
疲れが取れる

デメリット
肥満を助長する
生活習慣病を招く

ダイエット中でも安心な大人のおやつ

ナッツ類
脂肪燃焼のビタミンB2
抗酸化作用のビタミンE
むくみ解消のオレイン酸、カリウム
腸活の食物繊維

ドライフルーツ
血糖値を上昇させて空腹感を抑える
ビタミンB群とミネラルで脂肪の代謝アップ
食物繊維豊富

サツマイモ
食物繊維豊富
ビタミンB1で脂肪燃焼
ビタミンEで抗酸化作用
カリウムでむくみ解消、塩分の排出

他にも、ゆで卵、豆腐、チーズ、豆乳、ヨーグルトなどでタンパク質やカルシウムの補給、
煮干しや昆布、するめなどの噛み応えのあるもので、空腹感を紛らわすなど工夫ができそうです。

ストレス解消、栄養不足解消、家族団らん、友人知人とのコミュニケーションツールなどと目的は様々なおやつですが、家計を圧迫しない程度に、そして肥満にならないよう健康に留意して楽しみたいものですね。

関連記事:
明治・大正時代の洋菓子について調べてみた
駄菓子人気ランキング「しぶこの“タラタラしてんじゃねえよ”バカ売れ」
桜もちについて調べてみた
マリーアントワネットとお菓子の関係について調べてみた

アバター

猫田茶々丸

投稿者の記事一覧

食に関して調べることが大好き、没頭すると時を忘れます(食べることは忘れません)

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 仁丹について調べてみた
  2. 紅茶はどのように日本に広がっていったのか?【紅茶の日本の歴史】
  3. 吉野家・松屋・すき家 「三大チェーンの牛丼を食べ比べてみた」
  4. 卵の殻の再利用術 5選「捨てるだけではもったいない」
  5. 吉野家の歴史について調べてみた【牛丼】
  6. 忍者はどのような存在だったのか? 「忍術と流派 ~現代の忍者 川…
  7. お茶(緑茶・紅茶・烏龍茶)の歴史【世界史の裏側にはお茶があった】…
  8. つけ麺の歴史と「東京のつけ麺」10選

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

上杉景虎について調べてみた

上杉謙信ではなく、長尾景虎でもない上杉景虎という武将の話である。長尾景虎との混同を避…

「戦争を乗り越えた歴史が築き上げた観光の国」 クロアチアと『ドゥブロヴニク』

神秘的な自然と美しい街並みが混在することから、ヨーロッパ有数の『観光の国』というイメージが強い「クロ…

風船爆弾について調べてみた【実はアメリカ本土に着弾していた】

第二次世界大戦での最長距離到達兵器「風船爆弾」は、太平洋戦争の中期から後期にかけて日本軍…

驚きの連続【漫画~キヒロの青春】84

いつもご愛読ありがとうございます。漫画の仕事が入ったので、2~3週ほどお休みになると…

武器や戦いが身近にあった 「日本の武家の女性たち」 〜女性の武芸指南役とは

戦国時代の時代劇や映画では、女性が武器を手にして戦う場面が描かれることが多い。実際に…

アーカイブ

PAGE TOP