ミリタリー

空母として設計され完成した世界初の軍艦・鳳翔

世界初の新造航空母艦

空母として設計され完成した世界初の軍艦・鳳翔

※全力公試中の鳳翔。(1922年11月30日)

鳳翔(ほうしょう)」は大日本帝国海軍に属した軍艦で、設計の段階から航空母艦として建造され完成した世界で初の艦でした。

航空母艦を始めて就役させたイギリス海軍がこの「鳳翔」の約1年前に航空母艦「ハ—ミーズ」を起工しており、本来であればこちらが世界初の称号を得る予定てした。

しかし第一次世界大戦の主要参戦国であったイギリスは、その戦争への投入を目指して「ハ—ミーズ」を建造していたこともあり、戦争の終結を受けて完成を急ぐ必要がなくなったことから、「鳳翔」が
その座を得ることになったという経緯がありました。

イギリスの技術協力

「鳳翔」は1922年12月27日に完成しましたが、この当時の日本の技術水準はまだ低く、当時世界一の海軍国であり且つ、日英同盟を結んでいたイギリスからの協力・支援を受けてのことでした。

このあたり、立ち位置の違いはありますが、旧ソ連の未完成艦であった空母を譲り受け「遼寧」として就役させた現在の中国海軍にも通じるものを感じさせられます。

「鳳翔」においては、航空母艦の要と言えるデッキ建造に関わる技術的供与や、航空母艦への艦載機の着艦の技術の搭乗員への指導を含め、イギリスからの協力を得ながら進められました。

鳳翔のスペック

※鳳翔艦型図(1939年)wikiより

「鳳翔」はその設計時には、また艦載機が軽量の布を使用した複葉機であったことから、第二次世界大戦開始時には既に主力となっていた金属製で大型化・重量を増した艦載機と異なり、発艦にそこまでの飛行甲板の長さ・距離を必要としない時代に設計された航空母艦でした。

従って後の航空母艦と比べると非常に小型な軍艦でした。第二次世界大戦時にも使用はされましたが、最終時点でのスペックでも以下の通りです。

・全長 :179.5m
・全幅 :18.90m
・排水量:10,797t
・搭載機:19機

これは例えばミッドウェー海戦に参加した主力航空母艦・赤城であれば全長が260.67m、排水量が41,300トン、搭載機が66機など、その小ささがよくわかります。

カタパルトの有無

※空母加賀所属の九六式艦攻

「鳳翔」は第二次世界大戦時にはすでに旧式艦ではありましたが、複葉機で発着艦が可能な九六式艦上攻撃機を艦載機として、一時は対潜哨戒の任にあたりました。

しかし、ここで日本の当時の技術の壁が寧ろ「鳳翔」を戦後まで残すことになったと言えました。

イギリスやアメリカでは、短い歩行甲板からでも艦載機を発艦させることが出来るカタパルト(射出機)を実用化していました。

これにより、小型で飛行甲板が短い艦からも、艦載機を発艦させることができ、殊にアメリカは、このカタパルトを装備した小型の護衛空母を多数建造し、イギリスへ供給し大西洋においてはドイツの潜水艦Uボートの対潜哨戒任務に従事させるとともに、太平洋においても正規空母を補完する貴重な航空戦力として運用し、航空兵力でも日本を圧倒しました。

鳳翔の最期

「鳳翔」は就役後、第一次上海事変日中戦争に出撃しました。また太平洋戦争では、ミッドウェー海戦に戦艦部隊と随行しましたが、敵を干戈を交える事はありませんでした。

以後は訓練用の航空母艦として用いられ、更に燃料の不足が顕著になった戦争終盤には、呉軍港において防空用の砲台として運用されると、そのまま無事に戦争期間を終えました。

「鳳翔」は戦後には飛行甲板を撤去し、復員のための輸送船として再利用され、昭和22年(1947)に解体されてその使命を終えることになりました。

復員船としての「鳳翔」は、日本と南方を9度往復して、復員兵約4万人と民間人と帰還させる役割を果たしました。

 

  • Xをフォロー
好きなカテゴリーの記事の新着をメールでお届けします。下のボタンからフォローください。

swm459

投稿者の記事一覧

学生時代まではモデルガン蒐集に勤しんでいた、元ガンマニアです。
社会人になって「信長の野望」に嵌まり、すっかり戦国時代好きに。
野球はヤクルトを応援し、判官贔屓?を自称しています。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

草の実堂Audio で聴く

コメント

    • 匿名
    • 2018年 12月 16日 10:08am

    ヴァリャーグを「譲り受け」ただって?www
    興味深い。中国ではああいう行為を譲り受けると表現するのか。

    0 0
    50%
    50%
  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 【武蔵陵墓地】 大正・昭和天皇と皇后たちの眠る場所
  2. 【魔術の女王】美人奇術師・松旭斉天勝 ~客を狂わせた「流し目」の…
  3. パナソニックに生きる「幸之助イズム」
  4. インパール作戦【史上最悪の作戦と呼ばれるもインド独立のきっかけと…
  5. 『82歳で歌手デビュー』不慮の火傷事故で最期を迎えた昭和の名女優…
  6. 世界の特殊部隊 について調べてみた「SAS、スペツナズ、フランス…
  7. 米軍の制式採用拳銃について調べてみた
  8. やなせたかし氏に「ずるくなれ」と説いた母・柳瀬登喜子 〜史実でも…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

『豊臣兄弟!』秀吉と前田利家の特別な関係 〜長屋時代から育んだ無二の友情

太閤・豊臣秀吉は、天下人の地位を手に入れた数少ない人物ではあるが、家臣や配下の大名からは嫌わ…

熊本城 について調べてみた【類を見ない規模の石垣】

2016年4月14日、熊本を震度7の地震が襲った。熊本城 では、建物が倒壊し、強固な石垣が崩…

【京都歴史観光】 幕末の京都。松平容保と会津藩士たちの足跡を追ってみた 「新選組の誕生」

時は幕末。文久年間(1861年)に入ると、尊王攘夷運動は最高潮の盛り上がりをみせるようになる…

中国の人身売買が無くならない理由 「8人の子供の母親事件」

前編では中国の児童誘拐や人身売買の概要について解説した。今回は、人身売買が今もなくならない理…

「一匹の猫が偶然通ったことで皇帝になった」 南宋の第2代皇帝・孝宗

歴史と偶然歴史には「偶然」の要素が多くある。偶然に起きた事が重なって、ある人物が頭角を現…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP