注音とは?
注音をご存知だろうか? 「ㄅㄆㄇㄈ」 ボ、ポ、モ、フォと発音する。
中国語を学習したことがある人なら、もしかしたら聞いたことがあるかもしれない。
英語を学習するときも同じであるが、新しい言語を学ぶとき必ず発音記号なるものを学ぶ。そしてその発音記号を見て、どのように発音するかを知るのである。
中国語も同じで発音記号がある。中国語には4音の声調があり、声調は非常に大切である。声調がおかしいと全く通じないのである。そのため、外国人は読み方と声調をセットで覚えなければならないのだ。
日本人の多くの中国語学習者は、中国大陸で使われている「ローマピンイン」を使う。
ローマ字で書かれた「振り仮名」である。声調も合わせて表記する。
台湾では、ほとんどの人がローマ字ピンインを使えない。若い人から年寄りまでそうである。
台湾では「注音」という符号を使う。
それは37の記号からなっており、組み合わせて単語を作る。
日本語の50音のようなイメージである。一つの文字では意味をなさないが組み合わせることで単語を作り出す。日本語と違う点は、声調を書き足すという部分である。
その形は、カタカナに似ていたり、平仮名の一つに似ていたりする。
脈略のないように見える(実際には由来がある)その暗号達を覚え、使いこなすのは大変そうに思えるが、台湾人は小学校に上がると注音を習い始める。それから漢字を習い始める(台湾では繁体字)。注音は国語や、漢字を学ぶ手段である。
読み方と発音記号をセットで覚えるので、中国語の正しい発音を習得することができると言われている。
台湾の若者も「中国語の正確な発音には注音が不可欠だ。ローマピンインを見て発音すると正確な発音ができない」と言う。
注音は台湾の象徴であり、漢字と外国のアルファベットを組み合わせて使うことは「邪道」とまで言われている。
注音の由来
注音はどのような歴史を辿ってきたのだろうか?
元々は中国・清の末期に、漢字の発音を表記するために作られたという。
台湾では1918年に「國音字母」として交付され、最終的に「注音記号」となった。
台湾では今でも注音が使用されている。
台湾でパソコン購入すると、注音がキーボードに表記されている。
ところが中国大陸では、現在注音は使用されていない。
その理由はいくつかある。
清の初期から中国語の普通語、つまり標準語を統一することが重視されるようになった。
中国大陸はあまりにも広大で、各地方によって言語の体型や発音も違う。それは日本語の方言のレベルを遥かに超える。そのため標準語をしっかり成立させることが必要となった。標準語を使ってコミュニケーションをとることが、ひいていは国の統一につながるためである。
もう一つの理由は、アルファベットで表記すれば外国人にとっても学習が容易になるということだ。記録によると明朝の時代にイタリアの宣教師によって、ラテン語を使って漢字に振り仮名をつけるという案が提出された。その後も、フランス人やイギリス人宣教師によってラテン語振り仮名が改良されたという。
漢字を知らない国の人々にとって、中国語漢字の学習は大変困難である。それに加えて見慣れない注音を一から覚えるとなると容易ではない。
それはまるで私たちが、タイ語やヘブライ語のような字を学習するのと同じである。
そのような経緯で、中華人民共和国成立後まもなく、中国大陸では注音ではなくローマピンインを用いるという決定がなされたのである。
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