中秋節とは?
中秋節とは、東アジアの伝統的な行事のひとつで。日本でいうところのお月見である。
日本では、ススキを飾ってお団子を食べるというイメージである。
中秋節は、中国・唐の初めから始まった。
当初は月を祭り、土地の神様に秋の収穫を願うというものだった。その後、中秋節には唐代の公務員に休暇をとらせるという習慣が始まった。それが清の時代まで受け継がれ、今では四大伝統祝日となり、家族が集まり団欒を楽しむひと時となっている。
筆者が住む台湾でもつい最近、中秋節の連休があったばかりだ。
台湾では中秋節に「焼肉」をする習慣がある。
日本人はキャンプやバーベキューができる施設で肉を焼くイメージがあるが、台湾は家の前や、道のそばで焼肉をする。
バイクで走ると、煙で視界が悪くなったりする。
中秋節には色々な習慣があるので、そのいくつかを紹介する。
タレ業界のもくろみ?
前述したように台湾人は中秋節に焼肉をする。その習慣は古代からあったわけではなく、宗教的な意味もない。
遡ること1976年、「萬家香」という食品会社が、焼肉のタレのテレビCMを大々的に始めた。
そして「一家䈽肉,萬家香~♪」と繰り返し流したのである。
筆者がCMで思い出すのは、バンサンカンのCMである。「焼肉焼いても家焼くな~」と、牛が焼肉のタレを持ってぎこちなく動くあのCMは、何年経っても忘れられない。
まさしく、台湾人も萬家香のCMに洗脳されたのだ。
その後も萬家香は新しいタレを開発し続ける。そのもくろみに乗じて、スーパーや量販店も中秋節に焼肉コーナーの売り場を作り、さらに焼肉を推奨していった。
そうして、台湾人は自然に中秋節に焼肉をするようになったのである。
ちなみに台湾人は普段から焼肉が大好きだ。何かにつけて肉を焼き、たわいもないお喋りを夜遅くまで続ける。
台湾の風物詩といったところか。
月餅
台湾でも中国でも中秋節には「月餅」というお菓子を食べる。
この時期になると、各店が様々な味の月餅を販売し競い合う。
主に、贈り物にするのでその包装や化粧箱はとても美しい。
月餅はパイのような饅頭で、中には様々な餡子が入っている。少しパサパサした印象だ。
台湾では、「蛋黃」といって塩漬けした卵の黄身が入っているものもある。塩辛さと餡子の甘さが絶妙なおいしさである。
柚子
柚子とは、日本語では「ゆず」であるが、あの鍋のタレに使う酸味の強いゆずではない。
日本のゆずはそのまま食べることはできないが、台湾や中国の柚子は非常においしい。
日本でいうところの「文旦」である。子供の頭ほどの大きな柑橘系の果物だ。
分厚い皮の中にしっかりとしまった実が入っており、ジューシーですっきりとしたあじわいである。
白い実と赤い実があり、赤い実は少し値段が高い。
この時期には縁起物として贈り物にされる。柚子の中国語の発音から縁起が良いとされ、神様の御加護と平安を願う食べ物として親しまれている。
こんな言葉を見かけた。
「在月圓人團圓的時刻」
直訳すると「月が丸いときはみんなが集まるとき」という意味である。
月も丸く、家族も円満といったところか。
人間関係が疎遠になりつつある現代であるが、中秋節は家族が集まり、お互いに関心を示し合う一つの良い機会になっているのではないかと思う。
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