海外

中国人の「どこでもトイレ」文化 【股の部分が空いている子供用ズボン、開襠褲(カイタンクー)】

中国人の「どこでもトイレ」文化

画像 : 赤ん坊用の股割れズボン(開襠褲) wiki c

皆さんは中国の子供が履く、開襠褲(カイタンクー)というズボンをご存知だろうか?

開襠褲(カイタンクー)とは、よちよち歩きの子供から幼稚園児くらいまでの子供が履く「股の部分が空いているズボン」のことである。 もちろん中のパンツも空いている。

空き具合も上記画像のように、基本的には隠されているようなレベルではない。後ろからみるとトンネルのような形で空いている。 ひっくり返して着たら首をいい感じに出せるのではないかといった感じである。

中国では、夏の暑い時も冬のマイナス気温の時も子供にこのズボンを履かせる。

中国人曰く「お尻が鍛えられる」かららしい。

しかしそれだけのためにこの変なズボンを履かせるのかと 筆者も最初は謎だったが、中国に在住してしばらく経った頃に意味がわかった。

それは「どこでもトイレ」ができるようにするためであった。

中国人の「どこでもトイレ」文化

※イメージ画像 股穴あきズボン

公園などでは当たり前、スーパーの中でも、カフェのソファーの上でも「どこでもトイレ」なのである。
トイレの中でもなぜか、手洗いの場所で子供におしっこをさせたりする。トイレの扉の前でしている子供もいた。筆者は「もう一歩中に進めば便器があるのに、なぜそこに?」と驚きが隠せなかった。

中国の子供はいつでもどこでもトイレができるため、ギリギリになってというか「もうダメ」といった状況になってからようやく大人にトイレを申告する。
もう何秒か後にトイレといった緊張感のある申告なのである。

日本の子供はどこでもトイレができないことを知っているため、比較的早めに申告する事を覚える。大人がトイレを探す時間を多少計算しての「トイレ」であるはずだ。

以前、筆者が住んでいた街に韓国発信のオシャレなカフェができて足を運んだことがある。コーヒーは美味しいし、ワッフルもふわふわだった。

隣に子供とおばあさんが座っていて、子供は例のズボンを履いていた。そこで事件は起きたのである。

そう、筆者のすぐ隣のソファーの上で用を足し始めてしまったのである。おばあさんは悪気もなく「子供のはキレイなんだから大丈夫」と言って去っていった。

しかもソファーは布張りのものだった。当時の筆者にとってはカルチャーショックだった。

今では時代遅れ?

中国人の「どこでもトイレ」文化

画像 : お尻丸出しの子供

股開きズボンの良いところもいくつかある。 通常、母親は常にオムツを気にしなければならない。しかし股開きズボンなら、子供がトイレに行きたい時にすぐに対応できる。ズボンやパンツを汚さなくて済むし、なんならオムツもいらない。とても経済的なのである。

とは言え、やはり悪いところの方が多そうである。子供はどこでも寝そべったり座ったりする。男児も女児も局部が丸出しなので、細菌に感染したり遊具などで怪我をしたりする可能性がある。 女児の場合は、尿道炎や膀胱炎なども引き起こしやすい。暑い夏には感染症が心配だし寒い冬には凍傷が心配だ。

中国では田舎に行けば行くほど昔の習慣が残っている。股開きズボンもその一つであろう。

中国の各省では毎年ランクアップキャンペーンがある。これはいかに文化的な場所であるか各省が競うものとなっている。

ランクが上がると観光費や補助金が貰えたりするので、住民一人一人の意識を高めるために、道端で物を売るのを規制したり、道を整備したり、物乞いの人たちを退去させたりという活動が行われる。

股開きズボンも、その対象になっていくであろう。

ちなみに股開きズボンは、今もネットなどで購入できる。興味のある方は購入してみるのも一興であろう。

 

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. ダライ・ラマ 14世の亡命政権の活動【名言、思想】
  2. 昔強かった国を調べてみた【モンゴル,スペイン,オーストリア,アル…
  3. 「スーパーマンの呪い」とは ~はした金しか貰えなかった2人の原作…
  4. ジェームズ・ボンドの魅力と歴代のボンド 【世界最高のスパイ】
  5. 日本人が間違いやすいネイティブ英語④【食べ物 スープ 小麦 ナッ…
  6. 象への虐待について調べてみた 「タイやインドの観光の陰」
  7. イスラエルとイランは、かつて「仲間」だった?〜1979年イラン革…
  8. 『歴史上最も大きな生物』 シロナガスクジラが来たぞ! ~屏東県国…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

『都心から一番近い蒸気機関車』秩父鉄道「SLパレオエクスプレス」乗車&撮影してみた

「都心から一番近い蒸気機関車」として知られる、秩父鉄道の「SLパレオエクスプレス」。熊谷駅か…

『三国志』 魏のエリートから蜀の将軍へ~ 夏侯覇の禁断の移籍

夏侯一族の禁断の移籍スポーツの世界において「禁断の移籍」という言葉が存在する。その禁断の…

世界の森林面積は陸地に対して何割なのか?

森林は地球や人にとって非常に重要な空間である。森は酸素を作り大気を浄化し、野生生物の…

加藤嘉明【最後は40万石を領した賤ヶ岳の七本槍】

用兵に秀でた武将 加藤嘉明加藤嘉明(かとうよしあき)は豊臣秀吉に長浜時代から従った古参の…

江戸時代の侍がニューヨークでアイドルになっていた 【万延元年遣米使節団】 ③ ~アメリカ10代女子からモテモテ

幕末、長年鎖国を続けていた江戸幕府は外国からの圧力の影響で、不平等条約として有名な日米修好通商条約を…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP