筆者が在住しているフィリピンではよくこんな会話を耳にします。
「今日はネット遅くね?」「雨だからだね〜」
でも、日本人だったら雨の日にインターネットが遅くなるのはどうしてなのか、不思議に思いますよね?
今回の記事では、その気になる謎について説明します。
ネットが遅くなるケースはいろいろありますが、今回は雨などの気候の影響により、なぜ遅くなるかに注目します。
早速ですが、実は雨によってインターネットが遅くなることは本当で、理由は次のように考えられています。
・電磁波(電波)の妨害
・水分が電波を吸収
・インターネット利用者が増える
・ケーブル関連のトラブル(電話回線など、海底ケーブル、光ケーブル)
・ケーブルの劣化
・海底ケーブルの揺れや断線
・光ファイバー線の揺れ
・その他
電磁波(電波)の妨害
理由の大きな1つは電磁波の妨害です。雨滴は水分を含んでおり、電磁波の伝播を妨げることがあります。 WiFiなどの電波は電磁波の一種であり、同様の現象が起きます。
ポケットWiFiなどの無線式のルーターなど、外部から電波を拾って端末に供給するタイプは電波の性質上、雨の日に影響を受けやすいといえます。
同様に室内に設置したWiFiルーターを使用している場合でも、通信状態が悪くなる場合がありますが、それは雨の日は室内の湿度が上がることに原因があると考えられています。空気中の水分量が増えれば、影響を受けるわけです。
水分が電波を吸収
電波は水分に吸収されやすく、周波数が高いほどそのその傾向が強いといわれています。その結果、ワイヤレス信号の減衰が起こり、インターネット接続の品質が低下する場合があります。
これらの現象はフィリピンに限ったことではなく、日本でも雨が降れば、電波を利用している通信に影響が出ます。
インターネット利用者が増える
雨が降ると外出せず屋内にいる人が増えるため、その分インターネットの利用者も増えます。
また突然の雨では、いつごろ止むかと天気予報を検索したり、予定変更などの連絡をする人が一時的に急増します。
そのため、回線能力や基地局、交換基地局の能力が逼迫するなどの原因で、インターネットに繋がりにくかったり、つながっても速度が遅いということが起きます。
ケーブル関連のトラブル(電話回線など、海底ケーブル、光ケーブル)
ケーブルの劣化
雨は通信ケーブルに悪影響を及ぼすことがあります。ケーブル全般に言えますが、水分の浸入によってさらに劣化するとノイズが入ったりして、信号の転送品質が低下してしまいます。
とくにADSLで利用される電話回線は構造上、劣化しやすいと言われています。
海底ケーブルの揺れや断線
フィリピンは7000以上の島からなる島国なので、多数の海底ケーブルが敷かれています。海底ケーブルは雨の影響を直接受けないと思われるかもしれませんが、強い雨が降れば海は荒れます。
そのためケーブルが揺れたり、断線することがあるので、その影響があると考えられます。
筆者の経験では、過去に台湾とフィリピン間の海底ケーブルが断裂し、約一週間インターネットが使えないことがありました。
迂回経路は生きていたようで、pingコマンドで接続は確認できたものの、遅延やパケットの損失が70%でまったく利用することはできませんでした。
光ファイバー回線の揺れ・断裂
光回線は天候の影響を受けにくいといわれますが、悪天候であれば断線したり、通信機器のトラブルが発生する可能性はあります。
原理が理解できてませんが、最寄りの電線から部屋まで引き込まれる光ファイバーが、強風などで揺れるだけでもデータ通信の乱れが生じることもあるそうです。
筆者の経験では、大雨の後に突然ネットに接続できなくなりました。原因の特定は簡単で、光ファイバー回線の断線でした。線が細くて繊細な構造なので慎重に配線しないといけないはずですが、工事を行った人の作業を見ていると、ぐっちゃぐちゃな配線がむき出しの電線に配置されたボックスから単純にケーブルを自宅まで引き込んでいるだけです。笑ってしまいました。
その他
・台風はもちろん、強い雨や雷雨による、ケーブル破損のリスク上昇。
・強風による衛星通信用アンテナなどの向きのズレや破損の発生。
・雷雲や落雷によるノイズによる影響。
・落雷による基地局などの設備に影響。
これらの要因により、インターネット接続速度が遅くなることがあります。
対策方法
天候によるインターネット接続の低下を抑えるために、以下のような対策が考えられます。
光サービスに変更する
これまでに説明してきたように、電波を使用するWiFi、電話回線を利用するADSL、光ファイバーを使用していないケーブルテレビによるインターネット接続を利用している場合は、天候の影響を受けやすいといえます。
天候の影響をあまり受けず、安定したインターネット接続が必要な方は、光ファイバー回線を利用できるサービスをご利用されたほうが良いかもしれません。
近年はフィリピンでも光ファイバー回線接続のサービスが提供されていますが、天候に関係なく突然接続できなくなるなどの技術的問題も未解決で、基地局が少ないのか、時間帯によっては混み合い、速度がかなり落ちます。また、料金も高いので乗り換えは慎重に。
ケーブルの保護
自宅やオフィスの通信ケーブルを適切に保護することは重要です。ケーブルが劣化したり、水分にさらされる可能性がある場所では、防水カバーやシールを使用することで、雨の影響を最小限に抑えることができます。
フィリピンの設置工事は、はっきり言って雑です。しかし作業者に注意などしてはいけません。施工が終わった後に自分でやりましょう!
ワイヤレスルーターの配置
ワイヤレスルーターの配置も重要です。離れた場所にあるデバイスとの間で信号の減衰が起こりやすい場合には、ルーターをできるだけ中央に配置することで、ある程度は信号の強度を保つことができます。
しかし正直なところ、設置場所は自由に選べないことが多いと思いますので、リピーター(信号中継器)を追加して安定した電波が届きやすくしましょう。リピーターはフィリピンでも比較的容易に手に入ります。
インターネットプロバイダーの選択
天候の影響を最小限に抑えるために、信頼性の高いインターネットプロバイダーやキャリアを選ぶことが重要です。信号の強化やインフラの適切な保守を行っているプロバイダーを選ぶことで、雨の日でも影響を最小限に抑えることができるかもしれません。
しかしながら、フィリピンではGlobeかPLDTのほぼ2択だと思います。筆者の経験上では若干Globeの方が良い気がします。どちらにしても、プロバイダーやキャリアに多くを期待してはいけません。
その他
・WiFiルーターを物陰に隠れる場所に置いたり、周りに物を置かない。
・高性能なアンテナを搭載したルータを使用する。少し高価ですが、メッシュ対応のルーターをお勧めします。
・室内の湿度を下げる=水分を減らすことで、電波の吸収を下げることが可能かもしれません。
・WiFiルーターの設定で、同時接続台数を減らしてみる。
今回の記事では触れませんが、近年の技術進歩により、より耐候性のある通信インフラストラクチャの開発や、信号の強化、ワイヤレス通信の改善などが進められています。
これにより、雨の日でもより安定したインターネット接続が期待されています。
インターネット速度テストで計測してみましょう。
あまり神経質になる必要はないと思いますが、実際にどの程度遅くなっているのか確認する方法はいくつかあります。
ただし、普段から通常はどのくらいのスピードが出ているのかを把握していないと、意味がありません。
この記事では詳しい説明をしませんが、ブラウザで簡単に計測できるサービスがいくつかありますので、その中から1つだけご紹介します。ご自分で探す場合は、
「インターネット回線の速度テスト」
というキーワードで検索すると良いでしょう。
注意点としては、計測サービスはいろいろあり、それぞれ計測方法が異なるので、同じ数値にはなりません。そのため、複数の計測サービスを使っているとわけがわからなくなります。そのため、どれか1つを選んで使い続けてください。
重要なことは、「いつもよりどのくらい遅いの?」を把握することだけです。
インターネット回線の速度テスト | Fast.com
https://fast.com/ja/
この計測サービスは映画配信で有名な「NETFLIX」が提供しています。
PCやスマホで上記サイトにアクセスすると、いきなり計測が始まります(最初は驚きます)。
しばらくすると、計測結果が表示されますので、メモしておくと良いでしょう。
あまり神経質になって速度計測をしていると、逆にストレスになるかもしれないので程々にしておきましょう。
最後に
フィリピンで雨が降ると、なぜインターネットの接続速度が遅くなるのか、その理由と対策などをお伝えしました。フィリピンだけではなく、日本でも同様の現象が起きていることもご理解いただけたのではないかと思います。
おさらいすると、
・インターネットへの接続は、天候など自然環境の影響を大きく受ける。
・とくに雨が降るとさまざま理由や原因により、インターネットへの接続速度が遅くなる場合がある。
・影響を受ける度合いを減らすために、対策を講じておくことが重要。
・料金は高いが光ファイバー回線がもっとも影響を受けにくい。
・回線速度を日常的に把握しておくと役に立つことがあるかもしれない。
・フィリピンでは、天候関係なしに突然インターネット接続が遅くなることが多い。
雨などの天候が悪い日でも、対策を講じておくことで、ある程度快適なインターネット体験を維持できます。
どんな天候でも、楽しいインターネットライフをお楽しみください!
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