海外

台湾の社会問題とは 「高齢者社会と飢餓問題」

世界はどこへ向かうのか

台湾の社会問題とは

画像 : 世界中で飢えている子供たち イメージ

第3次世界大戦の脅威が現実味を帯びる中、世界の状況は悪化しているようにも見える。戦争のニュースが絶え間なく続いているが、人類はなかなか過去から教訓を学べないものである。

筆者が最近旅したアジアのある国でも、貧富の差が顕著に見られた。物乞いをする人々と、注文しすぎた料理を平気で大量に残す観光客たちの姿は、なんとも不公平に感じられた。

世界の統計によると、2022年には世界中で7億人以上が飢餓で苦しんでいるという。

2019年の新型コロナウイルスの流行以来、経済打撃や家庭の働き手の死などが原因で、飢餓人口は1億人以上増加した。アジアの飢餓人口は4億人以上に達し、世界中の飢餓人口の55%を占める。非常に深刻な状態となっている。

台湾の現状

筆者の住む台湾も例外ではない。駅の周りには多くのホームレスが段ボールなどを使って寝泊まりしている。
高齢者だけでなく、若者や体の不自由な人、精神的疾患を抱える人々も見られる。

台湾ではボランティアが弁当を配るなどの支援を行っているが、政府としても仕事の斡旋や施設への入居支援を行っている。しかし、それを受け入れるかどうかは本人次第である。

最近の調査では、台湾には家を持たず場所を転々としている「遊民」が5,336人おり、男性が4,535人、女性が801人であるとされている。しかし、実情はもっと多いと推測される。

台湾ではリサイクル活動が盛んであり、プラスチックや鉄などを少額ではあるが買い取ってもらえる。遊民の中には、自転車に大量の段ボールやプラスチック容器を載せて売りに行く人もいる。

高齢者問題

また、台湾では医療や福祉の充実と共に、高齢化社会が進行している。

デイサービスやショートステイサービスなども始まっているが、多くは在宅での介護である。外国人労働者が住み込みで高齢者を介護することも多い。しかし、外国人労働者を雇うには条件があり、その費用を賄えるかどうかが問題となる。外国人労働者を雇えない家庭は、自分たちで介護するしかないのだ。

1人暮らしで生活苦を抱える高齢者は、2020年の統計で4万1983人にのぼる。その内訳は男性が1万7225人、女性が2万4758人である。

政府やNPOの助けを受け入れているのは1万6171人に過ぎず、その大半は非常に苦しい状態なのである。

飢餓問題

画像 : 「2020台灣飢餓地圖」by eFOOOD

筆者の家の近くでも、いつも物乞いをしている人々を見かける。
彼らはお金をもらうために街中に座っており、その箱の中には結構な額のお金が入っている。

台湾では1年間に529,567トンもの食べ残しが出されている。平均すると毎日1,450トンも食べ残しているのだ。台湾は食料資源が豊富で、自国での食料供給も十分に可能である。

しかし、食べ残しが多い一方で、依然として飢えている人々がいる。需要と供給のバランスが取れていないのだ。
この貧富の差は、世界各地で近年さらに顕著に見られる現象である。

台湾では最近、独立派の頼清徳(らい せいとく)氏が第8代総統となった。人々はどんな未来を期待しているのだろうか。

参考 : “Food Waste in Taiwan: A Growing Concern” – Environmental Protection Administration,

 

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

    • ジョエル福澤
    • 2024年 6月 25日 5:22pm

    台湾の飢餓問題に関心を持っていただき、誠にありがとうございます。いくつか修正していただきたい点がございます。このような社会問題を議論する際に、AI画像の使用は適切でしょうか?また、台湾の飢餓問題についてですが、約100人に1.3人が飢餓という状況ですが、貴社の表現は不親切に感じられるものであり、その点についてもご理解いただければと思います。

    この翻訳でいかがでしょうか?

    0 0
    50%
    50%
      • 草の実堂編集部
      • 2024年 6月 25日 9:06pm

      AIはイメージに合ったものにしたつもりだったのですが、背景の文字などが謎文字のようでしたので削除しました。ご指摘ありがとうございました。

      0 0
      50%
      50%
  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 【ナチズムに反旗を翻した芸術家】 ハンス・ベルメールとは
  2. 近年の中国・オーストラリア関係を振り返る 〜悪化した中豪関係
  3. 【自分の運命が書かれている】 アガスティアの葉とは
  4. 『中国の狙いはこれ?』戦わずに台湾を制圧する“海上封鎖”戦略とは…
  5. トランプ政権のイラン空爆が「台湾有事」にも波及? 〜緊迫する2つ…
  6. 非日常が味わえる 「マレーシアのランカウイ島」
  7. 日本が核武装をするべきではない理由とは?「安全保障のジレンマ」か…
  8. ナチスを裁いたニュルンベルク裁判 「人道に対する罪」とは何か?

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

ロシア内戦について調べてみた【赤軍対白軍 ボリシェヴィキの台頭】

第一次世界大戦終結の前年である1917年、ロシア帝国内で労働者や農民を中心としたロシア革命が…

タンネンベルクの戦いの名コンビ【ヒンデンブルグとルーデンドルフ】

ヨーロッパの火薬庫と呼ばれたバルカン半島でのセルビアとオーストリアの対立は、オーストリア皇太子がセル…

【三国志】なぜ「黄巾の乱」は起こったのか?「人口が1/4に大激減」

黄巾の乱とは、中国の後漢末期に勃発した大規模な農民反乱である。その背景には複雑な社会…

猫の祖先・歴史について調べてみた

猫の起源猫の祖先は約6,500万年前~4,800万年前に生息した小型捕食動物のミキアスです体…

自転車好きが多いのはなぜ!?オランダの自転車社会について調べてみた

人々の安全に考慮した交通整備の対策のひとつに『自転車専用通行帯(自転車専用レーン)』の設置が…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP