そもそも地獄とは一体なにか?
迷信や言い伝えは、子供を怖がらせていたずらをさせないために使われたり、時には物事の道理を教えたりすることもある。
例えば、好き嫌いをする子供には「今、食べないなら、死んでから地獄で永遠に食べつづけることになる。」「嘘をついてはいけない。地獄に落ちて舌を抜かれる。」といった具合である。日
本でもお年寄りはこう言って子供を育ててきた。
この十八地獄の教えもそうであり、十八地獄とは主に中国圏で有名な地獄の概念である。
実は宗教によって地獄の教えは異なっている。
仏教
「地獄でも情状酌量の余地があり、そこでの苦痛は終わりを迎える。」
インド仏教
「唯一神との関係を断たれる場所であり、喜びはなく、永遠に苦痛を伴う。」
キリスト教
「魂と体が滅びる場所であり、墓に過ぎない。」
イスラム教
「人と石を燃料とし、永遠に燃え続ける火の中で苦しみ続ける。」
と、宗教によっても地獄の概念は様々異なっている。
道教における十八地獄とは?
台南市の麻豆區というところに「台南麻豆代天府」という施設がある。本来は寺なのだが、その中に儒教の教えである「十八地獄」を忠実に再現した施設がある。
ちなみに天国も隣接している。
中にはなんともナンセンスな描写がなされており、大人でもちょっと躊躇してしまう。
入り口には小さな子供が見学する事についての注意点が書かれている。衝撃が強すぎるためである。
十八地獄では、その人が生前犯した罪によって受ける罰が決まる。それぞれの地獄は一つ前の地獄に比べて苦痛は20倍増である。
「十八層」といってもその「層」は実際に空間として上下の区別があるわけではなく、時間と受ける罰の重さの違いである。
その中のいくつかを見てみよう。
舌抜き地獄
生前、誹謗中傷、嘘で人を騙した者が落ちる地獄である。
この地獄に落とされると小鬼がやってきて人の口を開き、鉄のペンチで舌を抜いたり伸ばしたりして、ゆっくり苦しみを味わわせる。
ハサミ地獄
生前、若い女性(夫に先立たれたやもめ)を騙して再婚させたり、女性を商売の道具に使った者が行く地獄である。
ハサミ地獄に落とされると手の指を全て切り落とされる。
鉄の針地獄
生前、血のつながった家族を唆して不仲にさせた者が落とされる地獄である。
沢山の尖った針の上に背中から落とされ、その後、舌抜き地獄と蒸し地獄にも落とされる。
䇂鏡(げつきょう)地獄
生前、罪を犯したのに真実を述べないで罪を逃れてそのまま死んだ者が落とされる。
「げつきょう」と呼ばれる善悪を見抜く鏡で真実を暴かれる。ここで言い逃れは決してできない。
その後、その罪を裁かれ様々な地獄で罰を受ける。
刀山地獄
神を信じない者は罪に問われないが、神を冒瀆したもの、加えて殺人を冒した者が落とされる。
その中には犬、猫、牛、馬などの動物も含まれる。なぜならどの動物も前世は人であった可能性があるからである。
それらの者は服を脱がされ、刀の山を登らせれる。
氷の山地獄
夫を殺害した者、姦淫を冒した者が落とされる地獄である。
故意に堕胎した者は、裸で氷の山を登らされる。
牛地獄
無闇矢鱈に家畜を殺した者が落とされる。
そのような者の快楽は家畜たちの苦しみの上にあり、死後、牛の穴地獄に落とされるのである。
そこでは、牛に突かれたり、踏まれたり、蹴られたりする。
岩地獄
幼児を虐待して死なせた者が落ちる地獄である。
子供の障害や男尊女卑を理由に、子供を故意に虐待し死なせた者が選ばれる。
佃打たれたあと、縄で岩をくくりつけられその後池に投げ込まれる。
枉死地獄
この地獄は手首を切ったり服毒して自殺した者、心中を図って死んだ者が落とされる。
この地獄では命を粗末にしないように戒めるのである。
言い伝えでは、自殺した者はこの地獄でもその同じ方法で自殺を繰り返すという。
責め苦を受ける時間
地獄の1日は人間の3750日に相当する。服役期間は地獄時間の一万年である。
つまり人間の135億年に相当するのである。
一応終わりはあるのだが、永遠といっても過言ではない。
十八地獄が実際に存在するかどうかは別として、細かくて恐ろしい描写は子供の心に教訓を与えるものになったであろう。
八大地獄の方がエグいし刑期も長い