宗教

神仏習合について調べてみた【仏教の伝来】

日本は八百万の神を信仰する国である。

しかし、インドで誕生した仏教がチベット、中国を経て「大乗仏教」として日本に伝来すると、日本の神々と融合して独自の発展を遂げた。こうした「神道」と「仏教」が混じりあった信仰体系が「神仏習合」という思想であった。

神道

【※神道におけるイザナギとイザナミ】

神道とは日本古来の宗教で特定の神だけを信仰するものではなかった。

自然や、それが起す現象、万物に神が宿り、あらゆるものに神の姿を重ねてきた。それを系統化したものが神道である。他の宗教と違って教祖や創始者、預言者といった存在がいないのは、民俗信仰などを基盤としているためだ。

また、キリスト教の聖書、コーランのような正典もないが、『古事記』などの書物に神々の系譜を知ることができる。

平安時代に占いや祈祷を行う陰陽師は、中国の陰陽五行説に影響を受けており、神道的な要素も取り入れているが、神道には含まれない。道教に由来する呪術を使うこともあり、陰陽道そのものは仏教に近いものがある。

とはいえ、仏教が伝来してすぐに日本土着の神と仏は同一のものとされ、信仰されてきた経緯があることから、はっきりとした線引きができるのは天照大御神などの日本神話に登場する神々くらいのものとなった。

大乗仏教

【※円成寺大日如来像(金剛界大日、運慶作、国宝)】

インドで仏陀が開いた仏教の教えは『神にすがるのではなく、現世における執着を捨てて解脱する』ことを説いていたが、東方に伝わる際に大きくふたつに分かれた。

一方は、東南アジア方面へ広まった『南伝仏教』で、仏陀の教えをそのままに近い状態で伝えている。もう一方が、インドの民族宗教であるところのヒンドゥー教に組み込まれ、仏陀も神の一人として中国方面へ伝わり『大乗仏教』となった。日本における仏教も大乗仏教の教えを取り入れている。

大乗仏教では、『自分の解脱よりも他者を救済するために修行をする』という点で南伝仏教とは異なり、仏陀(悟りを開いた者)は釈迦だけではなく、過去、未来などの時間、次元の壁すら超えた違う世界にもいるという考えだ。

日本では大日如来を本尊とした仏教が一般的である。如来は仏陀のことを示しており、宇宙をも超越した万能の神として、あらゆる世界において説法をしている。

空の教え

日本における仏教の伝来は飛鳥時代を始まりとするが、様々な宗派があるために簡単に系統化するのは難しい。有名なものでは、弘法大師・空海が唐から伝えた真言宗がある。

密教は「(くう)」という教えにより成り立っている。まさに「なにもないうつろな状態」のことだが、そこから悟りを開くことで万物の根源が見えてくるという教えだ。「世の中にはすべて因果関係があり、どのようなささいなことであっても、変化が起きると世の中は変化してしまう」ものとして「絶対的なものなどあり得ない」と考えた。

そして、大日如来は万物を司っているのだから、大日如来を感じ、空の教えによって悟りを開く道こそ仏教の本質であるとの結論に至る。そして、そのためには厳しい荒行をすることが必要だと考えたのだ。

真言

【※不動明王】

密教における真言は、宇宙(この場合はすべての世界を指す)の隠された秘密を明らかにするための言葉で、この言葉を発すれば神仏の加護を得ることができると考えられている。

仏教用語の多くはサンスクリット語を音訳したもので、真言とて例外ではない。大日如来の化身である不動明王は、ヒンドゥー教のシヴァ神(最高神)と同一の神だとする説が有力だが、密教では大日如来の眷属という扱いになっている。

不動明王の真言は「ノウマク サマンダ バザラダン カン」というのだが、この真言の「」を口にすることこそ大事なのだという。上杉謙信が信仰した毘沙門天の真言は「ノウマク サマンダ ボダナン オン ベイシラ マンダヤ ソワカ」といい、唱えることで戦勝を祈願した。

オン」は色々な真言に登場する聖なる音のひとつで、祈りの前の言葉であり「ソワカ」も「成就あれ(叶いますように)」という結びの言葉となっている。

神仏習合

神仏習合

【※毘沙門天(鎌倉時代、ボストン美術館所蔵)】

密教における大日如来は万物を司るが、神道では万物に神が宿ると考える。

そこで、神道と仏教を合わせ、信仰体系として習合させたものが日本独自の「神仏習合」という現象であった。天皇の祖先である日本の神々を信仰しつつ、仏教の教えによって鎮護国家の思想を取り入れたためだ。

平安時代には、天災だけでなく「怨霊」「悪霊」といった概念が人々を怯えさせ、それを祓うために仏教や陰陽道が用いられるようになる。

さらに戦国時代には、「天命」というものがあり、自らの行いや信仰心によって戦に勝ったり、運勢を良い方向に導くという考え、「天道思想」が広まった。上杉謙信が毘沙門天に帰依したのも天道思想といえる。

このように、神道と仏教は互いの思想を取り入れながら、さらに土地土地の風土に合わせて日本に溶け込んでいったのだ。

最後に

明治になり、新政府は天皇中心の国作りのために、神道と仏教を切り離す「神仏分離令」を発した。

神道と仏教が混じってから1,000年以上の時を経て、再び両者は別れたのである。しかし、民間に根付いた神仏習合の信仰は消えることなく、形を変えて日本という土地で生き続けている。

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