城,神社寺巡り

『大阪随一の格式』住吉大社に行ってみた 〜初辰まいりと縁結びの末社を歩く

画像:住吉大社本宮 筆者撮影

大阪には数多くの神社がありますが、その中でもひときわ大きな規模と格式を誇るのが住吉大社です。

摂津国の一之宮として古くから崇敬を集め、全国に約2300社ある住吉神社の総本社でもあります。

今回は、実際に住吉大社を参拝したことを機に、訪れた際の印象や、あらためて調べた由緒や見どころについてご紹介いたします。

住吉大社の由来と四本宮のご祭神

画像:第十五代神功皇后 public domain

住吉大社は、第十四代仲哀天皇の皇后である神功皇后が、新羅遠征から無事に帰還した際、住吉大神の神託を受けて現在の地に創祀されたと伝えられています。

古代から国家祭祀とも深く関わり、航海の守護神として厚い信仰を集めてきました。

境内には四つの本宮があり、いずれも「住吉造」と呼ばれる古式の建築様式で建てられ、国宝に指定されています。

第一・第二・第三本宮が奥から手前へ縦に並び、その手前で第三本宮の南側に第四本宮が配される独特の並び方となっています。

画像 : 明和8年(1771年)住吉社細見絵図大阪歴史博物館展示 public domain

この整然とした配置は、海へ漕ぎ出す船団を思わせる景観として知られ、他の神社ではあまり見られない特徴です。

ご祭神は、第一本宮に底筒男命、第二本宮に中筒男命、第三本宮に表筒男命、そして第四本宮に神功皇后が祀られています。

三柱の筒男神は兄弟神で、総称して「住吉大神」と呼ばれています。
ご利益としては航海安全をはじめ、厄除け・商売繁盛・心願成就など広く信仰されています。

特に、住吉大神が「海から出現した神」と伝えられることから、古くから海上交通や漁業に携わる人々の篤い崇敬を受けてきました。

奈良時代には遣唐使が出発のたびに航海安全を祈願したとされ、江戸時代には海運の発達とともに全国の廻船業者が信仰し、現在も境内に残る600基もの石灯籠がその名残を伝えています。

現在の住吉大社は海岸線から離れていますが、古代にはすぐそばまで海が迫り、白砂青松が広がる風光明媚な海辺の聖地でした。

そのため、海の神を祀る社として自然に受け入れられ、今も変わらぬ信仰が続いています。

「商売繁盛」のご利益を求める初辰まいり

住吉大社の境内には多くの摂社・末社があり、その中でも商売繁盛のご利益を求めて巡拝する「初辰まいり」が広く親しまれています。

巡拝の順序は、種貸社(たねかししゃ)から始まり、楠珺社(なんくんしゃ)、浅澤社(あさざわしゃ)、大歳社(おおとししゃ)へと進むのが基本とされています。

この巡拝において中心的な存在となるのが楠珺社で、古くから「はったつさん」と呼ばれ、商売繁盛を願う多くの参拝者が訪れてきました。

画像:住吉大社楠珺社 筆者撮影

楠珺社では、参拝の際に「招福猫」を授かって祈願するのが習わしで、拝殿前や社殿内部には奉納された招福猫が所狭しと並べられています。

商売を営む方々にとっては、毎月の習慣として参拝するほど親しまれている末社です。

「縁結び」の神様を祀る侍者社

先に述べたように、住吉大社の本宮には海にゆかりのある住吉大神が祀られ、古くから航海安全の神として厚い信仰を集めてきました。

現在では厄除け・商売繁盛・心願成就など、幅広いご利益がある神社としても知られています。

一方で、若い女性にとって神社参拝で特に願いたいものといえば、やはり良縁や恋愛成就でしょう。

住吉大社は一見すると縁結びとは関係が薄いように思われがちですが、実は境内には縁結びのご利益がある侍者社(おもとしゃ)が末社として鎮座しています。

画像:住吉大社おもと社 筆者撮影

侍者社のご祭神は、市姫命と、住吉大社の初代神主と伝えられる田裳見宿禰(たもみのすくね)です。

良縁を願う参拝者が多く訪れ、とくに若い女性に親しまれている末社となっています。

住吉大社の象徴的な反り橋

住吉大社は大阪随一の格式と信仰を集める神社であり、初詣の時期には毎年200万人を超える参拝者が訪れます。

この人数は大阪府内でも最大規模です。

住吉大社を訪れた際、境内に入ってまず目に入るのが朱塗りの反橋です。

画像:住吉大社反り橋 筆者撮影

美しい弧を描くこの反橋は、住吉大社を象徴する存在として広く知られており、多くの参拝者が記念撮影を行う人気のスポットとなっています。

終わりに

住吉大社は大阪市南部の住吉区に位置し、大阪観光では中心部から少し離れているため、意外と足を運ぶ方が多くありません。

ですが、摂津国一之宮としての格式をもち、国宝に指定されている本宮を有するなど、見どころに富む歴史的な神社です。

アクセスは難波から南海電車を利用するのが便利ですが、あべの(天王寺)からは大阪で唯一のチンチン電車である阪堺線に揺られて向かうこともできます。

ゆったりとした車窓とともに訪れる住吉大社は、どこか懐かしい旅情を感じさせてくれます。

神社仏閣が好きな方はもちろん、大阪の下町らしい雰囲気を楽しみたい方にもおすすめできる場所です。

大阪を訪れた折には、ぜひ一度住吉大社へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

【住吉大社 基本情報】

■ 参拝時間(開門・閉門)
・開門
4月〜9月 午前6時00分
10月〜3月 午前6時30分
※毎月1日と初辰日は午前6時00分開門
・閉門
外周門 午後4時00分
御垣内 午後5時00分(通年)
※正月期間・住吉祭期間は特別時間となります
■ 主な施設の利用時間
・御守授与所 午前9時00分〜午後5時00分
・祈祷受付 午前9時00分〜午後3時50分
・五所御前(五大力) 開門〜午後4時00分
・楠珺社(初辰さん) 午前9時00分〜午後4時00分
・種貸社 午前9時00分〜午後4時00分
・おもかる石 開門〜午後4時00分
■ アクセス
・南海本線「住吉大社駅」から徒歩3分
・南海高野線「住吉東駅」から徒歩5分
・阪堺電気軌道 阪堺線「住吉鳥居前駅」からすぐ(路面電車)
■ 住所
〒558-0045
大阪府大阪市住吉区住吉2丁目9−89
■ 公式サイト
https://www.sumiyoshitaisha.net/

参考 : 『日本書紀』神功皇后紀『延喜式』住吉大社 公式サイト他
文 / 草の実堂編集部

  • Xをフォロー
  • Threadsをフォロー
好きなカテゴリーの記事の新着をメールでお届けします。下のボタンからフォローください。

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 吉田城へ行ってみた【続日本100名城】
  2. 「大和国一宮 大神神社」 三輪山を御神体に、原始の信仰を伝える日…
  3. 『奈良の不思議な神社』采女神社が背を向いている理由とは?悲恋の采…
  4. 新年は「福を引き寄せる」氏神さまへ初詣!知っておきたい参拝のお作…
  5. 「二十五菩薩が極楽から来迎する」大阪・大念仏寺の“万部お練り供養…
  6. 『腫れ物の神様からがん封じへ』東大阪のパワースポット”…
  7. 犬山城に行ってきた!【日本100名城】
  8. 「本能寺の変の原因?」信長と光秀の因縁の寺~ 法華寺 (諏訪市)…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

満洲国とはどのような国だったのか?【大日本帝国の傀儡国家】

日本が1932年に作った国である 満洲国。しかしその国は実際どんな国だったということは、あま…

小川洋子のオススメ小説「年間読書数100冊超えの筆者が選ぶ!」

この記事では、年間100冊以上の小説を読む本の虫・アオノハナが、作家別のおすすめ作品についてご紹介し…

【江戸の三大俳人】小林一茶はとんでもない性豪だった 「妻との営み日記〜13日で27回」

小林一茶は、松尾芭蕉、与謝蕪村と並ぶ江戸の三大俳人の1人である。庶民に親しみのある優しい表現…

【人魚を捕獲した!】 おもしろネタ満載だった江戸のメディア 「瓦版」

江戸で多くの人に読まれていた「瓦版」瓦版といえば「新聞のルーツ」といった印象を持つ方…

柿崎景家 ~常に先陣を切った最強の上杉四天王

上杉氏3代に仕えた 柿崎景家柿崎景家(かきざきかげいえ)は、武門の誉れ高き越後の上杉氏(…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP