多チェンネル化と通信販売
今やテレビは多チャンネル化の時代に入って久しく、地上波はもとよりCS、BSなどの衛星放送やケーブルテレビなど、膨大な数の番組が放送されています。
そのような中で商品を販売するための通信販売も、今や目にしない日はないと言ってよいほど放送されています。
その長さもCMとして30秒というものから、5分程度のもの、15分程度から30分、一時間以上ものや、果ては一日中、次々と商品を紹介していく通販専門放送に至るまであらゆる長さのものが放送されています。
そこで扱われる商品も、調理用品、家庭用品、運動用品、ダイエット用品、家電、化粧品などの物販から保険などのサービスまでこれまた多岐に渡っています。
通信販売番組の増加理由
通常民放のテレビ番組はスポンサーから広告収入を徴収し、その中からテレビ局が番組制作の費用を捻出する代わりにスポンサーのCMを放送するという構造になっています。
このため一概に、視聴率の高い番組が多数の人が視聴する番組であり、多数の人が視聴するということは、広告効果が高い、だから人気番組を制作するというビジネスモデルでした。
これに対して番組形式の通信販売は、スポンサーそのものが番組内容をも用意する上で、更に放映権料を支払うことから、テレビ局側はその放送の枠を販売するだけでよいと言う、極めて効率の良い商売であったことも普及した要因と考えられます。
この放送枠の放映権料は、視聴者数が多いほど高額となるため、一般的には地上波の放送局が最も高く、逆に視聴者が少ないCS放送などは比較的に安価なことから、多チャンネル化と同時に通販番組の数も増加して行きました。
薬事法で禁止された効果・効能
そうした通信販売の中でも多い商品ジャンルの一つが、美容や健康を謳い文句とした健康食品です。
近年では名の知れた大手企業もこの分野へと参入してきており、1兆円を超える市場となっています。
しかしあくまで健康食品は「食品」であり、医薬品ではありません。薬事法という法律によって効果や効能を公告することが禁じられているため「効く」という事を謳えないと同時に、逆に「効かなくても問題にされない」という代物と言えます。
そのため健康食品は、利用者の声などを用いて「体に良さそう」と見る側に思いこませる手法を採っています。
言い回しの妙
またあくまで「食品」であるため医薬品を想起させるような言い回しの「錠」なども巧妙にトーク上から避けられており、「粒」などの表現が用いられています。
そもそも医薬品は用量・用法が定められておりそれを守って服用することが必要ですが、これまた「食品」なので健康食品にはそうした制限はなく、何時でも・どれだけでもOKというアバウトなものとなっています。
そもそも、「飲む」という表現すら医薬品との錯誤を生じかねないとして、「召し上がる」という表現が多くの事業者において用いられています。
定期購入の罠
健康食品が厄介なのは、毒にも薬にもならないからこそ「食品」であるにも関わらず、不安を煽ることで継続使用を進める点もあります。
これは商売上のマーケティングとして当然と言えばそれまでですが、新たな顧客を捕まえることより、既存客を繋ぎとめる方がはるかにコストがかからないという業者の思惑に突きます。
そのためCMでは無料サンプルと謳いつつ、いざ視聴者が電話をしてみると定期購入が安い、ある程度継続しないと良さが実感できない、などといったセールスに切り替えられてしまいます。
また一旦契約すると、中々解約に応じないといった悪質な業者も多々存在しています。本来「食品」の取り方を他人に指図されること自体がおかしなことと言わざるを得ません。
健康食品は数え切れないほど多くの種類がありますが、本当に効果や作用があるのかは実証例に乏しいものが多く、もし体調を崩すようなことがあったらすぐに摂取をやめて、あくまで気休め程度で購入するのが良いのかもしれません。
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