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ニシキヘビはどんな味? 「美味しく栄養価が高く、生産効率も高かった」

2024年3月14日付けの科学誌「Scientific Reports」に、2つのヘビ養殖場で行われた研究結果が掲載された。

この研究では、食肉用のニシキヘビの繁殖は、現在の家畜生産よりもエネルギーと資源の効率が高く、持続可能なタンパク質の代替品となることが判明した。

栄養価の高いヘビ肉は、食卓に新たなタンパク質源をもたらす可能性があるのだ。

ニシキヘビはどんな味?

画像 : ヘビ肉イメージ

ヘビ肉とは?

ヘビ肉は、高タンパク質・低脂肪、飽和脂肪酸が少ない栄養価の高い健康的な食材として、主に中国南部、メキシコ、米国、琉球、東南アジアで人気のある肉の一種だ。味は鶏肉に近いとも言われている。

第二次世界大戦中、日本軍はインドネシアのジャングルで激戦を繰り広げたが、日本軍兵士はヘビ肉を食べ、ヘビ酒を飲んだという。

中国は世界最大のヘビ肉消費国で、毎年1万匹以上を消費しているといわれる。

持続可能なタンパク質源としての可能性

ニシキヘビは長い間絶食でき、従来の家畜生産よりも飼育スペースや水もあまり必要としない。

廃棄物もほとんど出ないため、持続可能なタンパク質源として適しており、環境問題や食糧問題への解決策として期待されている。

また、ニシキヘビは体が大きく、成長も速く、無駄になる部分が少ないため、効率的に肉を得ることができる。

研究共著者の一人である英国オックスフォード大学の動物学者パトリック・オート氏は、ニシキヘビはわずかな餌から最大限の栄養を得ることに特化しており、特にタンパク質を非常に効率的に接種できるという。

ニシキヘビ養殖の現状と研究報告

ニシキヘビはどんな味?

画像: ボールパイソン by Squamata55 is licensed under CC BY 2.0.

報告書によると、ニシキヘビの養殖はアジアでは盛んに行われているが、他の地域ではまだ普及していない。

研究者たちは、タイのウッタラディット県にある養殖場と、ベトナムのホーチミン市にある養殖場の2カ所で、生まれたばかりのビルマニシキヘビとアミメニシキヘビの成長率をモニターした。

どちらの種も週に1回しか餌を与えられなかったが、12ヶ月間で1日あたり最大46グラムずつと急速に成長し、食用肉、皮、その他の製品にできるほど大きくなった。また、雌は雄よりも大きく成長する傾向にあった。

研究者たちは、ニシキヘビに解凍した冷凍鶏肉、野生のげっ歯類、魚粉、鶏のペレット、豚肉生産からの廃棄物など、さまざまな餌を与えた。

どの餌を与えたとしても、ヘビが摂取した餌の約4分の1が肉に換わり、実験終了時にはニシキヘビの体質量の82%が食用肉になったという。

比較すると、牛から得られる肉は通常、牛の体重の約63%に相当する。

ニシキヘビの生産効率は、これまで報告されている鶏肉、豚肉、牛肉、鮭、コオロギよりも高かったのだ。

ニシキヘビの長期絶食能力と成長率

ニシキヘビは最大127日間絶食しても、その柔軟な代謝のおかげで体重を維持することができる。

成体のビルマニシキヘビとアミメニシキヘビは体重が100キログラムを超えることが可能で、雌は1年に最大100個の卵を産むことができるため、「商業生産に適している」と今回の研究報告書で述べられている。

ニシキヘビ養殖がもたらす利点

ニシキヘビはどんな味?

研究者たちはヘビの養殖がもたらす「食肉以外の利点」も可能性として上げている。

1. ニシキヘビにネズミなどのげっ歯類を餌として与えることで、ネズミ被害の抑制に役立つ。

2. 他の肉産業や農畜産物供給チェーンから出る廃棄物を餌として活用することで、資源の有効活用と環境負荷の低減に貢献できる。

しかし、食卓にニシキヘビの肉を並べるためには、まだ克服しなければならない課題があるという。

それは、何千ものニシキヘビを飼育するための知識が限られていることと、人間がヘビに抱いている一般的な恐怖心だとしている。

さいごに

筆者もニシキヘビやマムシなどのヘビ類を食した経験があるが、美味しかったという記憶しかない。

コオロギのような虫を食すのはかなりの抵抗があるが、ヘビ肉だったら十分にその他の動物の肉の代替え品と成りえるのではないだろうか?

ニシキヘビをさらに美味しく食べられるレシピと、料理の見た目が気にならない調理方法が確立することを期待したい。

参考 :
Python farming as a flexible and efficient form of agricultural food security | Scientific Reports

 

lolonao

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フィリピン在住の50代IoTエンジニア&ライター。
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コメント

  1. アバター
    • 名無しさん
    • 2024年 3月 26日 5:28pm

    >ニシキヘビ養殖がもたらす3つの利点
    とあるのに上げられているのは2つだけ。
    その上
    >1. ニシキヘビにネズミなどのげっ歯類を餌として与えることで、ネズミ被害の抑制に役立つ。
    とあるがネズミ被害の抑制をするためには野生のネズミを餌にする必要があるが、養殖の蛇にどうやってネズミ被害の抑制をさせるのだろう?
    >2. 他の肉産業や農畜産物供給チェーンから出る廃棄物を餌として活用することで、資源の有効活用と環境負荷の低減に貢献できる。
    廃棄物を餌として活用するなら益々ネズミ被害の抑制に役立たせるのは難しいのでは無いだろうか?

    1
    1
    • アバター
      • 草の実堂編集部
      • 2024年 3月 26日 5:52pm

      素早いご指摘ありがとうございます。
      誤字は修正させていただきました。
      利点に関しては、まだ研究段階であくまで「可能性」を示唆しているということかと思います。
      そちらも表現を少し修正させていただきました。
      ご指摘まことにありがとうございます。

      2
      0
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