海外

プリンス・エドワード島の魅力 「カナダで一番美しい島 赤毛のアンの舞台」

プリンス・エドワード島の魅力

画像:プリンス・エドワード島

カナダの東海岸、セントローレンス湾に浮かぶ「プリンス・エドワード島」は、赤土の大地と、四季折々の花が草原に広がる『童話の世界』を体感できるカナダでいちばん美しい島である。イギリス王室の御用達でも知られ、緑豊かな田園風景と、島の人々の穏やかな性格が島の良さを物語っている。

自然や栄養豊富な海産物にも恵まれているため、旅先であるにも関わらず健康的な毎日を送れる癒しの宝庫である。その住みやすい環境から移住者の数も年々増加し、日本からの移住者も多い。冬が長く夏が短い「プリンス・エドワード島」は、秋の肌寒さが感じる10月下旬頃から静寂な雰囲気に包まれ、3月まで島が雪で覆われる。

観光で訪れるには、晴天日が続く5月から涼しい風が心地よい9月の間が適当である。

「プリンス・エドワード島」の生活の中心部シャーロットタウン

「プリンス・エドワード島」は、東部のキングス郡、中部のクイーンズ郡そして、西部のプリンス郡の3つの郡に分かれている。

プリンス・エドワード島の魅力

画像:シャーロットタウンに立つ市庁舎(シャーロット シティ ホール)

観光業で最も人気を博しているのがクイーンズ郡に位置する『シャーロットタウン』だ。

築100年を超える古き良き時代を連想させる建物や、中世ヨーロッパの面影を残す石造りの建物は、一瞬で魅了されるほどの迫力がある。夏には、アーティストの音楽演奏や食事を楽しむ人々の憩いの場として賑わいを見せ、島でいちばんの活気が溢れる時期でもある。

宿泊施設に多くの土産店、劇場からレストランまで全てが集結した観光業一色の街『シャーロットタウン』が、観光業の成功を納めている裏で、素朴な島の良さを守りたい島の人々と、経済を優先した観光業に力を入れていきたい島の人々の間で意見が分かれている現状もある。スーパーマーケットやレストラン街が立ち並ぶ側で、馬車が行き交う長閑な光景や、ゆっくりと買い物を楽しむ日常が最大の魅力でもある『シャーロットタウン』だが、観光客に向けた島の街づくりが進められてきたのも事実だ。

島の都市化ではなく、恵まれた自然と歴史ある建造物を生かした観光業を維持していくことが、今後の課題となる。

「プリンス・エドワード島」は名作『赤毛のアン』のふるさと

「プリンス・エドワード島」のもうひとつの顔、それは名作『赤毛のアン』の舞台になった島ということだ。

プリンス・エドワード島の魅力

画像:『赤毛のアン』初版本の表紙

『赤毛のアン』とは、幼い頃に両親を亡くした少女アンが、「プリンス・エドワード島」で成長する過程を描いた物語である。どんな時も挫けず、前向きなアンの強い姿が話題と共感を呼び、日本でもアニメ化され人気を得た。物語の作者であるルーシー・モード・モンゴメリ(以下ルーシー)が少女時代に過ごした「プリンス・エドワード島」での経験を、主人公アンを通して描いたことでも有名である。

ルーシーは祖父母の元で育ち、一度は再婚した父親と一緒に暮らし始めるが、継母との人間関係に悩み1年程で祖父母の家に戻るなど家族関係で苦労した過去を持つ。そんな中でも「プリンス・エドワード島」の自然を愛し、挫けることなく少女時代を過ごしたルーシーの姿は、見る人を勇気づける前向きな主人公アンそのものだ。

「プリンス・エドワード島」には、観光名所の『グリーンゲーブルズハウス』、通称『赤毛のアンの家』がある。この『赤毛のアンの家』は、ルーシーの叔父の家であり、室内も物語と同じ1870年代の家具で統一され、当時の島の人々の暮らしを再現している。アンが語る台詞には「プリンス・エドワード島」の自然の魅力が多く登場し、その全てが実在する場所だ。

アンの言葉に耳を傾けながら、島を巡ることでより深く物語の世界に浸ることができる。

プリンス・エドワード島の魅力

アンの家のモデルになったモンゴメリーのいとこの家(プリンスエドワード島)(グリーンゲーブルズ ハウス)

世界で愛される「プリンス・エドワード島」の高級食材ロブスター

5月の母の日にロブスターを食べる島の伝統があるほど、海に囲まれた「プリンス・エドワード島」は、ロブスター漁業が盛んである。採れたての海の幸を味わえる島のレストランで堪能できるロブスター・バーガーが島の人々の故郷の味である。

本来、ロブスターは畑の肥料として使われてきたが、食文化の変化と共にロブスターの甘みと新鮮さを料理に生かしたことで、「プリンス・エドワード島」を代表する食材へと生まれ変わった。

冷たい海水で育った「プリンス・エドワード島」産のロブスターは身が引き締まり、新鮮さを保つ品質の高さから、国外でも高級品として扱われている。その美味しさは国境を超え、海産物を扱う日本のレストランでも「プリンス・エドワード島」産のロブスターを使用している。

その他、ムール貝やカキの養殖も行い、近海で採れるハマグリの潮干狩りを体験できるアクティビティも用意されている。

プリンス・エドワード島の魅力

ロブスター イメージ画像

自然の美しさや、名作の舞台であることが有名になり、島の観光業を優先している様子も伺えるが、素朴で長閑な島で暮らす人々と、その島の暮らしを体験し豊かな自然を外へ発信する人々の良好な関係を築いていくことが、今の「プリンス・エドワード島」には必要だ。

その一人一人の心掛けが、「プリンス・エドワード島」の豊かさと新鮮な食材を守り続けてきた島の人々の生活を守ることにも繋がる。

 

アバター

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 東京ディズニーリゾート 第3のパークはどうなるのか?
  2. 美しすぎる日本の廃墟5選 「日本近代史を物語る廃墟と遺構」
  3. ディズニーパークの城のモデル「ノイシュヴァンシュタイン城」につい…
  4. 外国人が理解しやすい「やさしい日本語」とは
  5. 【史上最年少の殺人鬼】 サイコパス美少女 メアリー・ベル 「11…
  6. マッコウクジラの腸結石(アンバーグリス) を海辺で拾えば一攫千金…
  7. スエズ運河建設【日本では明治維新を迎えた頃の大事業】
  8. 14歳前後のインカのミイラ【氷の乙女】 生贄として神に捧げられた…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

【共通点が多いのに正反対?】 加藤清正と藤堂高虎の対照的な人生

戦国時代の築城名人といえば、加藤清正・黒田官兵衛・藤堂高虎である。その中でも歳が近く(6歳違…

「江戸の剣聖」と称された剣豪・辻月丹

辻月丹辻月丹(つじげったん)とは、江戸時代に多くの大名家から師範の声がかかり、5,000…

「剣豪」から「名指揮官」に変貌した土方歳三 【日本最大の内戦~戊辰戦争】

土方歳三とは土方歳三(ひじかたとしぞう)は、幕末において新選組の「鬼の副長」として恐れら…

大奥の仕組みについて解説【お給料、階級、城での場所】

大奥の歴史徳川家康が江戸城にいた頃には「大奥」と呼ばれる場所はあったのだが、当時は政治を行う…

最後の捨て台詞【漫画~キヒロの青春】54

最後の捨て台詞【漫画~キヒロの青春】55へ第一話から読むバック・ナンバー…

アーカイブ

PAGE TOP