日本では『フィジー』との愛称で有名なイギリス連邦加盟国の「フィジー共和国」。
南太平洋に浮かぶ約330もの島々が集まって形成されている「フィジー共和国」は、珊瑚礁や熱帯雨林など、手つかずの自然が詰まった癒しのビーチリゾート地だ。
2018年に、およそ9年ぶりとなる日本との直行便を復活させたことで、「フィジー共和国」に訪れる日本人観光客の割合も例年の25%増加となった。
気軽に足を伸ばせるリゾート地のひとつとして一気に知名度を上げた「フィジー共和国」では、色とりどりの幻想的な海洋植物が広がる水中で楽しめる『体験ダイビング』が旅行の醍醐味といわれている。
意外と知られていない多民族国家としての一面を持つ「フィジー共和国」の姿
「フィジー共和国」に暮らす人々の大半は、フィジー系民族とインド系民族に分かれており、互いの宗教や食文化と共存しながら生活を送る多民族国家の一面を持っている。
「フィジー共和国」がイギリスの植民地としての時代を送っていた頃、サトウキビ栽培の農業労働者として、インドから多くの移住者が「フィジー共和国」へと渡った背景が関係しているためだ。
母国・インドに残してきた家族を支えるためであったり、自身の生活拠点を「フィジー共和国」に移そうと決意しながら懸命に働くインドの人々の姿は、当時からとても称賛を受けていた。現在も「フィジー共和国」の経済発展に活躍した人材として語り継がれている。
「フィジー共和国」での労働契約終了後も現地に残り、そこで新たなビジネスを開始する者、結婚し新たな家族を築く者といった、それぞれの人生の基盤を「フィジー共和国」で築き始めたことで、彼らの子孫であるインド系民族が誕生した。
学校での言語教育においても『ヒンディー語』が必須科目としてカリキュラムに加わっており、先祖の母国語を継承する取り組みがしっかりとされている。
フィジー現地で使用されている共通の母国語は、ヒンディー語とフィジー語、そして英語で混成された『フィジーヒンディー語』だが、家族間ではヒンディー語のみ、外出時は英語のみと状況に合わせて使い分けているため、国外から旅行に訪れた際は英語のみの会話だけで十分伝わる。
「フィジー共和国」に残る伝統芸能は文化交流の架け橋
『精霊が宿る島』、そんな神秘的な伝説が残る「フィジー共和国」には、バラエティ豊かな伝統儀式が溢れている。
祝福と歓迎の意味が込められたフィジー伝統舞踊である『メケ(MEKE)』は、女性が奏でる楽器の演奏と歌声に合わせ、男性がフィジー魂を力強いダンスで表現する演目が話題だ。現代風にアレンジされた『メケ』は、男女混合のダンスや女性だけのパートが加わった演目もあり、観光客向けに企画されたショーで披露されることが多い。
「メケ」と同様、歓迎を意味する伝統儀式『カヴァの儀式』は、フィジー共和国の生活に色濃く浸透している文化だ。
儀式の名称にもある『カヴァ』とは、南太平洋を中心に生息しているカヴァ(フィジー共和国ではヤンゴーナと呼ばれている。)という木々の根から抽出された汁のことで、「フィジー共和国」ではリラックス効果を得られる薬膳茶として親しまれている飲み物である。
祈りを捧げる儀式の合間に一口で『カヴァ』を飲み干すことが礼儀とされている。
本来はフィジーの地方の村に来客が訪れた際に、歓迎儀式として執り行われるものだが、「フィジー共和国」の文化に触れる一環として観光ツアーやホテルのアトラクションに『カヴァの儀式』が含まれることが一般的となった。
自然の芸術が作り上げた幻の島「タバルア島」への滞在はハードルが高い!?
上空から見下ろすとハート型にも見える『タバルア島』は、歩いて15分ほどで島を一周できてしまうとても小さな島だ。
人工的ではなく、自然の力だけでハート型に構築されたといわれる驚きの『タバルア島』は、公式会員もしくは紹介状を持参した人のみが宿泊できるということもあり、どこか近寄り難い幻のリゾート地でもある。
小さな島でありながら、ホテルにレストラン、温泉施設にテニスコートに至るまで、何不自由なく滞在できる環境が完備されている『タバルア島』。
島に滞在中は、島全体を独り占めしているかのような贅沢な気分に毎日浸れることができる。
また、年に1度『タバルア島』を舞台にしたプロサーファーの競技会が開催されていることもあり、世界中のサーファーたちが憧れを抱く島としても有名だ。
初心者から上級者までが対応できる様々な波の動きが特徴的で、サーフィンに適した『タバルア島』の海面状況は、プロサーファーたちにとって、試合や練習に打ち込める絶好の楽園ともいえる。そのため、グローバルなサーファーのコミュニティに積極的に参加し、『タバルア島』での宿泊や本格的なサーフィンの練習の場を設ける機会を掴む人もいるという。
自身の実力を試す決戦の場としての役割を果たしている『タバルア島』が、誰もが滞在できるリゾート地、誰もが島の自然の豊かさを堪能できる観光地として親しまれるまでには、まだまだ時間が掛かりそうだ。
『タバルア島』への切符をいつか手にできるその日まで、多くの人々が幻の島として憧れを募らせ続けるだろう。
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