ビッグフット(別名サスカッチ)は、北米で昔から伝わる謎の生物だ。
科学者たちは存在を否定しているが、この半世紀の間にアメリカやカナダの人々からいくつもの目撃証言が報告されている。
本稿では、有名なビッグフットの目撃例を7つ紹介する。
目次
ウィリアム・ローの遭遇(1955年)
1955年、ブリティッシュコロンビア州のミカ山で、ウィリアム・ローという男性が「ハイキング中に半人半獣のような生き物を見た」と証言した。
ビックフットを研究している「アルバータスサスカッチ協会」のウェブサイトによると、その生物は身長約6フィート(1.8メートル)、茶色い毛で覆われ、太い腕は膝まで届き、胸毛を生やしていたという。
ローは1957年の供述書に、
「この場所で映画撮影をしており、私が見たのは半人半獣に扮した俳優なのではないかと思った」
「しかし、さらに観察するにつれ、このような生物を偽装することは不可能だと判断した」
と書いている。
つまりビックフットは、とても人とは思えない大きな猿のような姿だったということになる。
この時点では「ビックフット」という名前はまだなく、「ビックフット」と呼ばれるようになるのは翌年である。
アルバート・オストマンの誘拐(1924年)
アルバート・オストマンという探鉱者が、「1924年にブリティッシュコロンビア州のトバ湾近くで、ビッグフットの一家と一緒に約1週間過ごした」と主張した。
オストマンは1人でキャンプをしていたときに、突然寝袋ごと大きなビッグフットにすくい上げられた。そしてそのままビックフットの住処に連れていかれ、妻のビッグフットと2匹の子どもビッグフットに会ったという。
オストマンはそのまま家族に捕われたが、ビッグフットがオストマンの噛みタバコを食べて病気になり、その隙に逃げ出したようだ。
この証言は、人類学者デヴィッド・ダイグリング氏の著書「Bigfoot Exposed」に記載されている。
しかし、ダイグリング氏は著書の中で、「オストマンは1924年に遭遇したと言っているが、実際に報告をしたのは1957年、つまりローの話の後であり、ローの話にインスパイアされたか、影響を受けて嘘の報告をした可能性がある」と指摘している。
パターソン・ギムリンフィルム(1967年)
1967年にカリフォルニア州で撮影された動画は、最も有名なビックフットの映像となっている。
この1分間の映像は、通称「パターソン・ギムリンフィルム」と呼ばれている。
カリフォルニア州北部の林の中で、雌のビッグフット(後に「パティ」と名付けられた)が歩いている様子が撮影されたものである。
このフィルムは今でもビッグフット信者たちによって、存在を示す最良の証拠としてしばしば挙げられている。
しかし、科学者の多くはこのフィルムを「着ぐるみを着た人間によるフェイクだ」と指摘している。
フィルムに肯定的な意見も
アイダホ州立大学の解剖学・人類学教授で、「サスカッチ:伝説と科学の出会い」の著者であるジェフリー・メルドラム氏は、フィルムの信憑性とビッグフットの存在を公に支持している数少ない学者の1人だ。
メルドラム氏は「フィルムが本物であるだけでなく、時間の経過とともに信憑性が高まっている」と主張している。
メルドラム氏は、ルーシー(320万年前の初期人類、アウストラロピテクス・アファレンシス)などの発見により、猿人類祖先が直立歩行をしていたことが明らかになったため、ビックフットの歩行様式も不自然ではないと考えているようだ。
フィルム内のビックフットの身長は、およそ1.8メートルから2.1メートルと推定されている。
エイプキャニオン事件(1924年)
1924年のエイプキャニオン事件も、ビッグフットの目撃談として有名な事件である。
この事件では、金鉱採掘者たちがセントヘレンズ山腹にある峡谷で、「複数のビッグフットたちから襲われて小屋を守った」と主張している。
採掘者の1人、フレッド・ベックは、日中にビッグフットに向かって銃撃したそうだ。これが原因で、夜にビッグフットの仲間たちが復讐のためにやってきたという。
ビックフットたちは、岩や巨石を採掘者たちの小屋に投げつけてきた。
幸い採掘者たちに怪我はなく、ベックが再び銃撃したことでビッグフットたちは森へと引き返していった。
この事件が世間に報じられると、ベックは米国森林管理局の隊員たちと調査のために現場に戻った。
小屋のそばには大きな岩が散乱しており、巨大な足跡も発見されたという。
しかし、当時の地元新聞「オレゴニアン」は、これらは採掘者たち自身が仕込んだもので、足跡も人間の足で作られたものだと報じている。
プロボキャニオン(2012年)
ユタ州のプロボキャニオンで撮影されたビックフットの動画は、大きな話題を呼んだ。
この動画は2012年10月30日に投稿され、YouTube上での再生回数は760万回を超えている。
投稿者・Beard Cardによると、彼らは鹿を間近で見ようとキャンプ旅行をしていたそうだ。
「登っている途中で、モンスターが立ち上がってこちらを見ているまでは、クマだと思っていました」
「その後、私たちはテントも荷物もすべて残して、まっすぐ車に向かって逃げました」
と、Beard Cardはコメントしている。
ハイクリフ・スカンクエイプ(2013年)
スカンクエイプとは、沼地に棲むと言われるビッグフットの亜種で、アメリカ南東部の湿地帯を徘徊しているという噂がある。
2013年10月28日、「Josh Highcliff」というYouTubeアカウントが、スカンクエイプ動画をアップロードした。
この動画では、スカンクエイプと思われる動物が採餌しているような様子が撮影されている。
しかし残念なことに、ビッグフットを撮影している人は、ちょうど良いシーンが撮れそうな瞬間に逃げ出すパターンが多いのだ。
恐怖を感じるのも当然だが、それがフェイクであれば都合の良い行動にも思えてしまう。
偽造された遺体 (2008年と2012年)
2008年、リック・ダイアーとマシュー・ウィットンという2人の男が、「ビッグフットの冷凍遺体を持っている」と主張した。
彼らは、ジョージア州北部の森の中でハイキングをしているときに、ビックフットの遺体を見つけたという。
このニュースは大きな話題になったが、後に「遺体」はゴリラのゴム製の着ぐるみであることが判明した。
リックは2012年にも「ビッグフットを射殺した」と主張して、再びニュースになった。
彼は2014年に、射殺したビックフットを見学できるツアーを企画したが、結局これも偽物であった。
このことは、ビッグフットの存在を信じている人々にとって大きな打撃となった。
さいごに
ビッグフットは目撃報告は多いものの、未だ確固たる発見の証拠は見つかっていない。
真面目に研究している学者もいるが、前述したように金儲けのためにフェイクを作る者も多く、ますます信憑性が薄れる形となっている。
まさにUMAの代表的存在とも言えるが、今後の新しい報告を待ちたい。
参考 :
William Roe’s 1957 Sworn Affidavit | Alberta Sasquatch
“Bigfoot” was rubber gorilla costume | Reuters
https://www.livescience.com/most-famous-bigfoot-sightings
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