健康

「人食いバクテリア」過去最多の感染者 ~致死率30%以上

「人食いバクテリア」過去最多の感染者

画像 : イメージ ※レンサ球菌属 ミュータンス菌。グラム染色 wiki c Y tambe

致死率が30%以上にも及ぶ「人食いバクテリア」による感染者数が世界的に増加。

感染すると、発症から数日以内に病状が急速に悪化し、30~50%の人が死に至るという。

日本においても、ANNを含めた複数のニュースメディアによれば、2023年には国内で941人(2022年の728人から29.5%増加)の感染者が確認され、調査を開始した1999年以降最多となったという。

2024年に入ってもすでに劇症型を発症した人が全国で30人以上が確認されており、政府も対応中だ。

この「人食いバクテリア」の正式名称は、「A群溶血性レンサ球菌(以降GAS)」である。

このバクテリアによる、感染症はいくつかあるが、もっとも重篤な症状を引き起こすのが、「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(以降STSS)」という感染症だ。

本稿では、「GAS」と「STSS」について説明し、STSSの症状・感染経路・予防策などについて言及する。

なお、筆者は過去に、ビブリオ菌という別の「人食いバクテリア」について紹介しているので、ぜひご一読いただきたい。

沿岸海域の温暖化で「人食いバクテリア」の感染が拡大中 【約5人に1人が死亡】
https://kusanomido.com/study/overseas/73293/

GASについて

GASとは、「A群溶血性レンサ球菌」(Group A Streptococcus)の略。正式には「A群β溶血性レンサ球菌」である。

日本語では、「溶連菌」と表記されることも多い。

「人食いバクテリア」過去最多の感染者

画像: A群溶血性レンサ球菌(GAS) by NIAID is licensed under CC BY 2.0

電子顕微鏡で見ると、球形の細胞が集まって塊になっている様子が見られる。

それぞれの細胞は、直径約1ミクロンで、「グラム陽性球菌」に分類される。(参考:ビブリオ・バルニフィカス菌はグラム陰性通性嫌気性菌)

GASの特徴

・さまざまな感染症を引き起こす細菌。
・特に、敗血症や手足の壊死を引き起こすSTSSは、重篤な疾患。
・飛沫感染、接触感染、経口感染で感染。

GASが引き起こす、さまざまな感染症

・非侵襲性感染症
・非侵襲性感染症は、GASが体内に侵入しても、血液やリンパ液に到達せず、局所にとどまる感染症。
・主な症状: 咽頭炎、扁桃炎、蜂窩織炎、猩紅熱、膿痂疹

・侵襲性感染症
・侵襲性感染症は、GASが血液やリンパ液に到達して、全身に広がる感染症。
・主な症状: STSS、敗血症、髄膜炎、関節炎、皮膚軟部組織感染症、心内膜炎

咽頭炎は、「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」として表記されることも多い。

STSSについて

STSSとは、「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」(Streptococcal Toxic Shock Syndrome)の略。

本稿を含め、メデイアなどで「人食いバクテリア」といった病名で、センセーショナルな取り上げ方をされることがある。

STSSは、GASによる感染症の一種で、最も重篤な疾患だ。

突発的に発症し、発症から数日以内に病状が急速に悪化し、致死率が30~50%と非常に高い

STSSの症状

STSSの主な症状は、以下のとおりである

・高熱(38度以上)
・頭痛
・筋肉痛
・全身倦怠感
・吐き気、嘔吐、下痢
・皮膚の発疹や水疱
・ショック症状

上記の症状が急に現れ、その後急速に症状が悪化し、多臓器不全に進行する敗血症性ショック病態になったり、手足が黒ずんで壊死することもある。

STSSの原因

STSSの原因は、GASが作る毒素だ。

この毒素が、血管を広げて血液の流れを悪くし、血液が固まるのを阻害し、組織を傷つける。

その結果、手足の血流が悪くなり、壊死に至るのだ。

STSSの感染経路

STSSの感染経路は、大きく分けて2つある。

・飛沫感染
・接触感染

飛沫感染とは、感染した人の咳やくしゃみによって飛び散った唾液や痰を吸い込むことによる感染。

接触感染とは、感染した人の傷口や体液に触れることでの感染だ。

STSSの感染経路として最も多く報告されているのは、接触感染といわれている。

具体的には、手足の切り傷やあかぎれなどの小さな傷口から感染するケースが多いようだ。

なぜ感染者数が増加しているのか?

STSSの感染者数が増加している理由として、以下の2つが考えられる。

・感染対策の緩み
・インバウンドによる海外からの感染

2023年5月8日以降、新型コロナウイルス感染症の感染対策が緩和されたことを受け、手洗いや咳エチケットなどの感染対策が十分に行われていないことが、感染拡大の一因と考えられる。

また、海外ではSTSSの流行が続いており、インバウンドによって海外から感染したケースも報告されている。

STSSの予防策

STSSの感染予防には、以下のことに注意しよう。

・手洗い、うがいをこまめに行う
・咳やくしゃみのときは、マスクを着用する
・傷口はすぐに消毒し、ばんそうこうを貼るなどして清潔に保つ
・免疫力が落ちている人や、基礎疾患がある人は、特に注意する
・体調が悪いときは外出を控える

また、学校や職場などの集団生活では、集団検診や予防接種を実施することも有効だ。

手足に痛みや腫れなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しよう。

この感染症は、とにかく症状の進行が速いため、早期発見・早期治療が重要だ。

STSSを発症した(かもしれない)場合は、早急に医療機関を受診しよう。

STSSの治療方法

STSSの治療には、抗菌薬による治療と、症状に応じた対症療法しかないといわれている。

抗菌薬による治療は、手足の壊死を防ぐためにも特に重要だ。

体の壊死の拡大を防ぐために、手術による体の一部を切除する場合もある。

また、STSSではなく、GAS咽頭炎の患者の場合は、医師の指示に従って、抗菌薬の服用を必ず最後まで完了することが大事だ。

さいごに

近年、今回ご紹介した感染症以外にも、やばいバクテリアによる感染症の被害者が増加している。

コロナ(COVID-19)もそうだが、バクテリアは進化が速い。
中には、抗生物質が効かないバクテリアも出現している。

感染予防をするといっても、正直な話、なかなか無理があると思う。

STSSの場合もそうだが、基礎疾患を患っていると、簡単に重篤化するそうだ。
なので、免疫力をつける、向上するような、生活を心がけるのが大事だと思う次第だ。

人食いバクテリアと呼ばれるようなバクテリアに感染すると、とにかく病状の悪化が速いため、体の異常を感じたら、すぐに「良い病院」に行って、即座に正しい診断をしてもらうべきだ。

参考 :
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 (溶連菌感染症)について | 東京都保健医療局
武見大臣会見概要 |令和6年1月19日|大臣記者会見|厚生労働省

 

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フィリピン在住の50代IoTエンジニア&ライター。
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