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夫の死後に発覚した悪夢のような真実
2012年9月、アメリカ・オハイオ州に住むヴァレリー・スプルイルさん(当時60歳)は、地元新聞『アクロン・ビーコン・ジャーナル紙』において、夫婦として25年間一緒に生活してきた夫のパーシー・スプルイルが、本当は実の父親であったことを告白した。
若かりしヴァレリーはこの事実を知らないままパーシーと結婚し、彼もまたその秘密を彼女に明かすことなく、1998年、短い闘病生活の末、60歳で亡くなった。
彼の死後6年経った2004年のある日、ヴァレリーは叔父からこの衝撃的な事実を聞かされたという。
自分の出自に関する真実を知った彼女はショックで心身ともに打ちのめされ、脳卒中で2度倒れ、さらに糖尿病も併発した。
また、自分が長年父親と関係を持っていたことを知ったストレスが原因で、34年間勤めたグッドイヤー工場の経理部の仕事を退職したという。
トラウマを癒すため、セラピストのもとで心理療法も開始した。
しかし、ヴァレリーは体調不良を抱えながらも、事実の解明に取り組みはじめた。
ドレッサーにしまっていた亡き夫パーシーのブラシから毛髪を採取し、DNA鑑定を受けたのだ。
しかし、その結果は、残酷にも彼が実父であることを科学的にも証明してしまう形となった。
皮肉な出会いと運命に翻弄されたヴァレリー
ヴァレリーは、1952年にアメリカ・オハイオ州で生まれた。
両親は15歳という若さでヴァレリーを授かったため、経済力や育児能力の欠如などの理由から、彼女は生後3ヶ月で祖父母に預けられる。
幼少期、ヴァレリーは祖父母が両親だと信じて育ったという。
9歳の時、父親だと思っていた男性が実は祖父であり、「家族の友人」としてたまに家を訪ねてくるクリスティーンという女性が、実の母親だと知らされた。
実父については誰からも何も知らされず、一度も会うことなく彼女は成長したのだった。
ヴァレリーは結婚し、3人の子どもに恵まれたが離婚。
その後、トラック運転手や駐車場係員で生計を立てていたパーシー・スプルイルと出会い、再婚する。
その人物こそが、ヴァレリーの実父だったのである。
夫となった実父パーシーは、優しく働き者で、ヴァレリーの3人の連れ子に対しても深い愛情を注いで育てたという。
彼女は結婚生活の間、親戚や近所の住人たちが「この街に娘と結婚した父親がいる」と噂話をするのを何度か聞いたことがあったが、他人事として気にも留めなかった。
夫婦の幸せな結婚生活は25年間続いたが、パーシーは60歳で他界した。
そして2004年、ヴァレリーは叔父から「噂は本当で、あなたが25年結婚していた夫は実の父親だ」という悪夢のような現実を突きつけられたのであった。
ヴァレリーはメディアのインタビューに対し、このように語っている。
「叔父が知っていたということは、夫(実父)パーシーも、自分の娘と結婚していることに気づいていただろう。
ただ、その真実を私に打ち明けるのは恐ろしかったのだと思う。」
ヴァレリーには3人の子どもと8人の孫がいる。
彼女は子どもたちに「パーシーは、あなたたちの義父ではなく祖父であった」と真実を伝えるべきか長い間、悩んでいたが、セラピストに背中を押されて打ち明けたのだった。
その後、孫たちにも真実を告白したが、全員がその事実を理解し、受け入れてくれたという。
夫が実父であった事実をメディアで公表した理由
2004年以降、ヴァレリーは実父パーシーについて調査を続け、母親のクリスティーンとの間に、自分以外に6人の兄弟をもうけていたことを突き止める。
また、1984年に亡くなったクリスティーンが、とある性犯罪の裁判において、売春婦の3人のうちの1人として証言台に立っていたことも明らかになった。
つまり、当時の母は、経済的に極めて苦しい状態だったのだ。
自分の出自の真実を知ったヴァレリーは苦しみながらも、このようにメディアに語っている。
私の最大の目標は、存在すら知らなかった6人の兄弟たちを探し出すこと。
その兄弟たちに「母親は私たちを愛していたが、より良い生活を送れるように手放した」と知らせること。そして、同じ問題を抱える人たちの助けになれたら嬉しい。
しかし、ヴァレリーは2020年4月、家族に見守られながら68歳で他界した。
さいごに
ヴァレリー・スプルイルの人生は、困難を乗り越える力と赦しの大切さを伝えるものであった。
彼女は実父である夫との衝撃的な事実と向き合いながら、他者への助けとなるためにその経験を世界に共有した。
彼女と同様の苦しみを持つ人々に、希望と癒しが届くことを祈るばかりである。
参考 :
Woman Finds Out Her Dead Husband Was Her Dad | heavy
Woman Marries Her Dad | YouTube
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