ベーゴマ(尾県郷土資料館で撮影)
「中学生のコミュニケーションにはスマホが必須!」
そんな風潮が、だんだんと普通になりつつある現代。
その子達の親世代である筆者が親しんだ『子どもの遊び』は失われつつあるようだ。
これは、筆者が現役中学生である息子に
『周りのお友達は何して遊ぶの?』
と何気なく聞いたところ、得たお話である。
『竹馬』『ベーゴマ』『ちゃんばらごっこ』
「そもそも、竹馬を持っていない。」
「ちゃんばらって何?時代劇のように刀を振りかざす?ところでその『時代劇』って、何?」
息子の同級生達が話していた言葉である。
そう、子どもが遊びを無くしたのではない。
大人が子供を遊ばせる場所を、遊ばせる道具を無くしていったのであろう。近年は真っ新の土地は駐車場になり、空地というものが無くなってゆくことが多い。
子どもが遊べるように配慮されている公園でも
「ボール遊びはしないでください!」
という看板が立ててあるこの時代。
息子がベーゴマやめんこを覚えても一緒にやってくれる相手が見つからず、全然楽しめないという経験もあった。
わかっちゃいるけど、土地や公共の場の話、グループでの遊びまでは自分一人で何とかできる問題でもないし、どうして良いのかわからない…そんなモヤモヤを抱えてしまう。
『缶蹴り』『缶ぽっくり』『竹とんぼ』『ゴム飛行機』
筆者が子どもの頃は、ちょうどゲームが生まれて広まっていく、そんな時期だったのかもしれない。
ゲームを持つ子が増えていき、ゲームを手に入れることで社会的地位を得るかのような感覚もあったが、その一方で缶蹴りやドロケイ、鬼ごっこなど、外で駆けずり回る遊びも残っていた。
竹とんぼも学校におじいさん先生(?)が来て、竹を削って竹とんぼを作る所から教えてくれた。それを家に持ち帰り、自分でカッターを使って削り具合の調整をしたものである。
ゴム飛行機なんかも『ゴムの力を利用して飛ばす』という、知恵の塊のような姿に格好良さを感じたものだ。
今は、どこへ行ってもゲームかスマホで遊ぶという子が増えた。
「缶蹴りって何?」
「竹を削る?ナイフの持ち方がわからない。(鉛筆をカッターで削ったことないし…。)」
「ゴム飛行機?…見たことない。」
そんな友達もいるようだ。
もちろん、これだって『どの子もそうだ』と言う訳ではない。
親が教えているご家庭もあるだろうし、地域の集まりやお祭りで昔遊びを楽しむ場を提供していることもあれば、缶蹴りやゴム飛行機が大好きだという子だっているだろう。
ただ個人的には、
昔は『知っていて当たり前』だと思っていた遊びの認知度が下がっている
ということを実感する場面が増えた。
『凧上げ』『コマ』『羽子板』
お正月になると家族で毎年凧を上げに行き、室内ではコマ、家の前では羽子板を楽しむ。
そんな人もいるのではないだろうか。
ところがこれらは学校で先生に教わる遊びと変わりつつある。
道徳の時間に昔遊びをしたり、放課後の学校開放や学童で昔遊びを企画する。やってみれば本当に楽しいようで、子どもは目を輝かせて家路に着く。
ただ、息子の友達の中には
「羽子板って、学校で教えてもらうまで知らなかった」
という子もいる。
確かに、近年家の前で羽根突きをする光景を見たことがない…そう気付いて、ハッとした筆者であった。
『漫画雑誌』
友達との話題のネタは、もっぱら『面白動画』。
ネットで公開されている動画を見て、腹を抱えて笑う毎日。
そんな子が増えた一方で
「漫画雑誌を読まない」
という子も出てきたようだ。
特に衝撃なのは、息子が友達に漫画の話を振った時
「漫画を読むと頭が痛くなる」
こう返されたと教えてくれた時だった。
もちろん、これは一例であるが
『漫画ばっかり読んでないで、勉強しなさい!』
という掛け声が印象的だった子ども時代を過ごした人にとっては、驚きなのではなかろうか?
近年はスマホを持っていない子が、スマホを持っている子達と遊ぶと、話題が全くかみ合わずに苦労するようだ。
最後に記載しておくが、スマホが悪い訳ではない。
様々な事情でスマホを持たせているご家庭が多いだろうし、ゲームだって節度を持って遊べば楽しい思い出になるだろう。
ただ、これだけの遊びを
「知らない」
という子達が大人になり、親になったとき、自分の子どもと何をして遊ぶのだろう?
そんな想像をしてしまう筆者であった。
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