生活

日本の洗濯と洗濯機の歴史 「昔の洗剤~洗濯機の進化」

洗濯機は、現在では当たり前に存在する白物家電です。

現在では、ドラム式洗濯機、縦型洗濯機、ニ層式洗濯機,、ポータブル洗濯機などとタイプ、容量、共に種類が豊富です。

洗濯機がない頃は、どのようにして衣類を洗濯していたのでしょうか?歴史を紐解きたいと思います。

手洗い

日本の洗濯と洗濯機の歴史

たらいで洗濯する女性(右)と物干し竿に着物を干す女性(左) (日本、1925年)

手洗いは昔から行われていた方法です。洋服の繊維を痛めずに落ちにくい部分的な汚れも落とせる、今でも行われている方法です。

日本で和服が主流だった時代は当然洗濯機はないので手洗いで洗濯していました。ただし、頻繁に洗うものは普段着物の下に着ている肌着で、外側の着物は年に一回洗うか洗わないかでした。匂いが気になる時は、香を焚きしめて誤魔化していたようです。

毎日洗濯をするという習慣がなかった時代です。化学繊維が開発される前は既製品は高価で1枚1枚が上質な繊維の布で作られており、自分で作る人がほとんどでした。衣類の素材は綿製品がほとんどでした。

タライなどの容器で手洗いのみで洗った場合、衣類全体を持ち上げたり手のひらを使って押し込んだりする動作を20~30回繰り返すことで、汚れを浮かせて落とします。

衣類に対してのダメージが少なく、洗剤も少量ですませることができます。

冷水よりも温水のほうが汚れを落とす効果が高いことは古くから知られており、『枕草子』には湯による洗濯の記述があります。

洗剤は、日本では植物の浸出液米のとぎ汁、灰汁、などが使用されていました。世界でも古くから灰汁は洗剤として使用され、紀元前3000年頃のエジプトでは湖水から得られる天然炭酸ソーダが利用されたり、古代ローマでは油に吸着性のある泥や土、発酵させた尿なども使用されていました。

洗濯板

日本の洗濯と洗濯機の歴史

洗濯板とタライ

洗濯板は意外に新しく、明治時代に外国から日本に持ち込まれました。発明されたのは、ヨーロッパや中国と言われています。

日本で広く使われるようになったのは、大正時代からです。タライに水をはり、板のノコギリ状になっているところに押しつけます。汚れを板に何回か押し付けることで、摩擦と振動と圧力で汚れが剥がれていきます。この仕組みは、後の洗濯機にも用いられます。

現代では、ケチャップやソースなどの部分的に落ちにくい汚れを洗濯板を使って落としたり、靴下の泥汚れなどを部分的に洗うために使用されます。木で作られたもの以外に、プラスチックで作られている洗濯板がホームセンターや100均などで手軽に手に入れることができます。

洗濯板は、楽器としても使われることもあります。ノコギリ状の部分を棒でこすることでギロのような音が出せます。アメリカが発祥で、日用品を面白くアレンジしています。これが進化して金属製のウォッシュボードという楽器も登場します。ジャグバンドやケイジャン音楽で使用されている楽器です。

洗濯板は、洗濯機の普及により使用する人はかなり減りましたが、低コストなことと一人暮らし用の少量の洗濯に適しているため、まだまだ需要はあるようです。

二層式洗濯機

日本の洗濯と洗濯機の歴史

二層式洗濯機とは、洗い、すすぎを行うための洗濯槽と脱水だけの層が別になっている洗濯機です。洗いとすすぎが終わった時に、自分で移し替えなければいけない手間があります。

二層式は日本では昭和35年頃から販売されました。当初はなかなか高価で手が出しにくい家電でしたが、高度経済成長時に一般に広く普及されました。高度経済成長期の三種の神器は、「テレビ」「冷蔵庫」「洗濯機」でした。

当時は洗濯機を持つことはステータスでした。昔は洗濯機置き場がない住宅がほとんどだったので、洗濯排水を流すため屋外に設置されていました。雨風にさらされても故障しないように耐久性を重視して作られていました。

二層式洗濯機は丈夫で壊れにくいため、現在でもガソリンスタンドなどでタオルを洗うために使われています。洗剤の量が少なくてすみ、汚れをしっかり落としてくれて節水もできるため、好んで二層式を使っている人もいます。

縦型式洗濯機

日本の洗濯と洗濯機の歴史

洗い、すすぎ、脱水が一度にできる洗濯機です。乾燥機機能がついているものもあります。水のこする力で汚れを浮かせて落とします。二層式と違い洗濯層を変える必要がなく、一回ですべてをまかなってくれる頼もしい存在です。

1960年代に発明されて以来、毎年改良を重ねて性能が進化しています。一人暮らしに向いた4キロ程度の洗濯容量から、大家族にお勧めな15キロまで、幅広い選択肢があります。メーカーによって機能が異なってきます。

日本で最初に発売された洗濯機の価格は、370円。このころは物価が今とはかなり異なり、初任給が60円~70円でした。お金の単価も一銭という単位が用いられていた時代です。洗濯機がかなりの高級品だったことがわかります。

縦型式はメーカー毎に改良が重ねられ、全自動洗濯機として現在最もスタンダードな洗濯機と言えるでしょう、

ドラム式洗濯機

日本の洗濯と洗濯機の歴史

1950年代のドラム式洗濯機

ドラム式洗濯機は、日本では2,000年から徐々に普及されてきました。1950年代から日本でも製造はされていましたが乾燥機能や電子制御などがなく、家庭用としては普及していませんでした。

従来の洗濯機より、少ない水で圧力をかけて汚れを落とします。縦型式洗濯機が水での「こすり洗い」に対してドラム式は、「たたき洗い」で汚れを落とします。水を使う量が縦型に比べ少ないので、水道代はかなり経済的です。

現在のドラム式洗濯機は乾燥機能が搭載されているので、洗濯を外に干す手間がかかりません。排気ガスが気になったり、花粉症、アレルギーなどで外に洗濯が干しにくくなってきた現代人の知恵が集結しています。

コインランドリーにおかれている洗濯機はこのドラム式で、そこから一般用に改良され販売されました。発売当初は洗浄機能が縦型に比べて低いといわれていましたが、今ではほぼ変わりはありません。

洗濯層を横になっていることで遠心力が高まりふんわりとした仕上がりになります。メリットも大きいのですが、衣類に対しての負担も大きいためデリケートな素材には向きません。また洗浄機能の使用だけだとごわつきの原因になります。

ほとんどの人が認知しているヒートテックのような素材は、ドラム式ではかなり生地を傷めてしまいます。また、ドラム式は縦型に比べて汚れが付きやすいです。メンテナンスは毎日欠かさずに行ったほうが、黒ずみや悪臭を予防できます。

電気代やメンテナンスの手間は多少ありますが、お家で過ごす時間の増えた今、おすすめな家電です。

さいごに

今は当たり前に使われている洗濯機ですが、衣類の清潔状態を保ちたいという人類の知恵の歴史が積み重ねられてきたことがわかります。

現在普及している洗濯機は、タイプ、容量ともに様々な種類があります。お子さんがいる人は、あえて手洗いを実践させてみましょう。お手伝いにもなりますし、緊急時の防災の知恵が身に付きます。当たり前にある電気や家電のありがたみを知ることができます。

自分の生活に合った洗濯機を選び、日常を快適に過ごしていきましょう。

 

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草の実堂編集部

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