海外

バーバリーの歴史について調べてみた【英国ブランド】

バーバリーの歴史

トーマス・バーバリー(トーマス・バーバリー。wikiより引用)

イギリスの「超」がつく有名ブランド、バーバリー

バーバリーの特徴的な模様であるバーバリーチェックはキャメル地に黒、白、赤の三色を使ったチャック柄で、マフラーや財布などのアイテムでよく見かけますね。
しかしバーバリーで有名なのはこのチェック模様だけではないのです。
誰もが知っている「トレンチコート」も実はバーバリー社が開発したものでした。

その開発にはなんと、オシャレとは遠い関係にありそうな「戦争」が関係していたのです。

バーバリーの歴史

バーバリーの店舗(現在のヘイマーケット店。wikiより引用)

バーバリーの開業は1856年のことでした。
今から約150年前のことです。

トーマス・バーバリーという人物は生地屋の見習いをしていましたが、21歳の若さで自分の店を持ち始めます。
もちろん開業当時はただの洋服屋のひとつでした。

しかしトーマス・バーバリーの野心は大きく、「洋服の革命家」と自称していたそうです。
そんなバーバリーの店は、数年で早くも人気となります。スポーツや狩りなどのアウトドアの際に着るアウターウエアの質の良さが話題になり、1870年ごろには大きな商店に成長しました。

ギャバジンの広告(1898年のギャバジン衣料の広告。wikiより引用)

トーマスの情熱はさらに高まり、オリジナルの生地の開発に着手します。
防水性に優れ、丈夫で、そして季節を問わず着用できる「ギャバジン」という生地ができあがり、アウトドア用品だけではなく一般の人たちが雨風や寒さから身を守るための服に使用されました。

それまでのアウターが同じような機能を持つためには、重かったり着心地が悪かったりという我慢が必要だったため、ギャバジンは画期的な発明でした。
もちろんギャバジンは有名になり、バーバリーのブランド地位を高め、今の世界中で知られるブランドへと成長していったのです。

1919年にはジョージ5世よりコート・ジャケット部門の英国王室御用達(ロイヤルワラント)を授かり、1955年にエリザベス2世、1989年チャールズ皇太子より、同じく王室御用達許可証を授かっています。

トレンチコートの誕生

トレンチコート(第一次世界大戦のトレンチコート。wikiより引用)

トレンチコートの前身は「タイロッケンコート」という種類のコートで、タイでロックという名の通り、ボタンではなく腰部分を紐で結んで固定するタイプのコートです。
こちらもバーバリー社が開発したものですが、これに改良を加えたのがトレンチコートです。

改良のきっかけは1914年から始まった第一次世界大戦

戦場での厳しい寒さに耐えることができ、手りゅう弾や、地図など必要なものをいれた鞄を固定するためのDリング、双眼鏡のストラップなどを通すための肩章があることが特徴で、塹壕(トレンチ)での戦闘で使えるようなコートが軍部より求められ、バーバリー社が作成したのがトレンチコートでした。

トレンチコートを着た第1ノルウェー独立中隊(イギリスSOE隷下)指揮官マルティン・リンゲ。wikiwandより引用)

肩章は戦中に仲間が倒れた際に引っ張るのにも役立ち、トレンチコート以外にも様々な軍服や制服に使用されています。
首元や手首にはストラップがついていて、それを締めることにより寒い風を防ぐことができます。

大戦中に約50万着以上が生産され、おそらくかなりの儲けがあったことでしょう。

もちろん、タイロッケンコートにもトレンチコートにもギャバジンが使われています。
1930年代以降は、実用性が高く、見た目もオシャレなトレンチコートは特に男性の定番アイテムのひとつとなりました。

バーバリーチェック

バーバリークラシックチェック(バーバリークラシックチェック。wikiより引用)

冒頭でも触れたバーバリーチェックですが、登場したのはトレンチコートの少しあとのこと。1920年にトレンチコートの裏地として使用されたのが始まりでした。

当時のイギリスでは「ウインドーペーン」(窓ガラスの意)といわれるタータンが多く使用されており、バーバリー・チェックは「カントリー・タータン」と呼ばれる柄からアレンジしたものでした。

しかし登場当初は特に注目されることはありませんでした。

そんなバーバリーチェックが有名になったのは、なんと我が日本で開催された1964年の東京オリンピックがきっかけでした。
飛行機に乗り込もうとしたイギリスの女子チームが、トレンチコートを腕にかけていたのです。
その裏地がチラリと見えた時から世間の注目が集まり、あっという間にステイタスシンボルになったのです。

それからは裏地だけではなく、財布やマフラーなど数多くのアイテムに採用され、今ではブランドの顔となっています。

バーバリー公式サイト

 

matsu3204

投稿者の記事一覧

大学時代にイングランド史を専攻。イングランド史に限らず、西洋史全般が好き。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 【夫が3人いる妻】 中国四川省の「一妻多夫制の村」とは
  2. ルーマニアの奇想天外な観光スポット 「世界一陽気な墓、ドラキュラ…
  3. サブスクリプションサービス 【○○し放題 5選】
  4. 2022年 北京冬季五輪における「外交ボイコット論」を振り返る …
  5. 紅茶の完璧な入れ方 とグレード「イギリスの王立化学会も研究?」
  6. Google Homeで何ができるのか調べてみた
  7. ポル・ポトの恐怖の政策「原始共産制」とは 〜貨幣禁止、恋愛禁止…
  8. 【ギネス世界記録】40年間で69人の子を出産したロシア妻 バレン…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

軍隊は規律が大事!豊臣秀吉が九州征伐を前に発した軍法とは 【どうする家康】

古来「烏合の衆」とはよく言ったもので、いくら人数ばかり多くても、統制がとれなければてんでんばらばら。…

【世界が驚く100万人都市だった江戸】 世界最高水準の識字率だった

前編では、主に庶民目線での江戸時代の暮らしの知恵について解説した。今回は幕府目線での知恵を紹…

「鬼と呼ばれた男」 島左近の生涯と生存説

島左近(しまさこん)という武士をご存じだろうか。関ヶ原の戦いで有名な石田三成配下の武将である。…

【教皇vs皇帝】 皇帝が教皇に屈辱的な謝罪をした「カノッサの屈辱」

前回の記事「【カール大帝と西ヨーロッパの成立】 権威と権力の違いとは?」では、フランク王国による西ヨ…

【上野公園の2つのパワースポット】五條天神社と花園稲荷神社(お穴様)に行ってみた

国内外から多くの観光客が訪れる、上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)。パンダのいる上…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP