はじめに
梅干し・・・この文字を見つめているだけで口中に唾液がじわじわと湧いてきませんか?
梅干しはこれからの季節、食欲増進に食中毒予防にミネラル補給にと大活躍してくれるありがたい食べ物です。
ところで梅干し作りや梅酒作りなど梅にまつわる保存食作りのことを「梅仕事」と言います。
「梅仕事」は日本の風物詩、旬を知らせてくれる美しい日本語ですね。
今回は「梅仕事」の季節を迎えるにあたり、梅干しの歴史や梅干しの効能などを調べてみました。
文中に何回も梅干しが登場しますので、よだれを拭きながらお読み下さい。
梅干しと日本人
日本人とは切っても切れないおつきあいのある梅干しですが、食卓に上がるようになったのは江戸時代から。
それ以前は「縁起物」や「薬」などとして珍重されていました。
奈良時代の「貞丈雑記」には梅は生菓子として書かれています。この時代の生菓子とは今の果物のことで、桃やビワ、梨などとともに梅もフルーツとして食べていたようです。
平安時代になると日本最古の医学書「医心方」の中に梅の効用に関する記述が見られることから、この時代は薬用として梅を利用していたようです。
鎌倉時代には武家社会のもてなしの膳に梅が登場します。兵士の出陣や凱旋の折に縁起がいい食べ物として供されたとか。この時のもてなしを「椀飯(おうばん)」と呼びました。
また禅宗の僧は茶菓子に梅を用い「椀飯ぶるまい」と呼ばれました。現在の「大盤振る舞い」の語源とされています。
戦国時代になると戦の度に武士は必ず「梅干丸」を携帯したと江戸時代に書かれた「雑兵物語」に記されています。「梅干丸」は梅干しの果肉に米粉と氷砂糖を加え、これらを練って作られたもので戦闘や行軍時の疲労回復や生水を飲んだ時の殺菌用に用いられました。
さらには「梅干丸」から梅干しを連想することで、のどの渇きをいやしたそうです。
江戸時代には庶民の食卓に上がるようになります。
特に大みそかや節分の夜には「福茶」という、熱いお茶に梅干しを加えたものを飲む習慣がありました。
梅の効能と毒
<効能>
古くから梅干しは「三毒を絶つ」と言われ、強い殺菌作用が食中毒や感染症に有効だとされています。
ちなみに三毒とは食べ物・水・血液に含まれる毒のことです。
このため昔の旅人は必ず梅干しを持ち歩いたそうです。
旅先での食あたりや水あたり、風土病などに効果を発揮していました。
旅のお守りと言えばまずは梅干しだったのですね。
さて、梅干しの効能と言えばまず思い浮かぶのがあのすっぱさの元であるクエン酸です。
クエン酸は唾液の分泌を促し、疲労回復や解熱、便秘解消などに効果があります。
また梅干しをいぶして作る「烏梅(うばい)」という漢方薬は健胃・整腸・駆虫・止血・強心作用に効果があるとして古来より重宝されています。
クエン酸の他には「リグナン類」と呼ばれる成分が多種含まれています。
リグナン類は抗腫瘍活性、抗酸化活性、抗肥満活性の性質を持ちます。
梅が持つリグナンは食中毒予防、インフルエンザ予防、糖尿病予防、血液浄化作用などに代表される多くの効能や健康効果があることが実証されています。
<毒>
身体にいいことばかりの梅干しですが、青梅には毒があり生で食べることは避けた方がいいとされています。
実が小さくて未熟な青梅や梅の種には「青酸配糖体(アミグダリン)」が含まれていて、けいれんや呼吸困難などを引き起こします。
ただしこれは大量に(大人で300個、子供で100個)噛み砕いて摂取した場合です。
青梅の毒性はアルコールや塩分、天日干しで分解されるので、加工して食べる分には何も心配はありません。
梅干しあれこれ
<日本最古の梅干し>
現存する梅干しは奈良県の民家にあるもので、1576年(天正4年)に作られたものです。
天正4年とは安土桃山時代、あの織田信長が生きていた時代です。
気になるのがこの梅干しのお味ですが「末代までこの梅干しを伝えよ」ということで、食べた方はまだいないそうです。
ものすごくすっぱいのか?まろやかなお味なのか?想像するだけでも楽しいですね。
<腐る梅干し>
保存食の代表が梅干しです。
何年も何十年も何百年でも保存できるのが梅干しです。
ところが近年は健康志向の流れもあり減塩梅干しが人気です。
江戸時代の梅干しは塩分30%くらいで作られていたようですし、おばあちゃんの梅干しというのか昔ながらの梅干しは塩分20%くらいで作られているので常温保存が可能でカビひとつ生えません。
しかし減塩梅干しや味を加えた調味梅干しは傷みます。
塩分の量=保存性ですから塩分が少なければ保存性が低くなるのは当然です。
本来の梅の実と塩だけで作るしょっぱくてすっぱい梅干しは大丈夫なのですが、減塩や調味梅干しは冷蔵庫で保存して早めに食べないといけません。
減塩や調味梅干しがお好みの方は保存方法に気をつけましょう。
<ウナギと梅干し>
なぜかウナギと梅干しは食べ合わせが悪いと言われています。
しかし医学的には梅干しが胃酸を分泌させるのでウナギの油分の消化を助けるのでむしろ好ましい食べ合わせです。
ではなぜ食べ合わせが悪いと言われるようになったのか?
諸説あるのですがいくつかご紹介します。
1 梅干しは食欲を増進させるのでウナギの食べ過ぎを戒めた
2 せっかく食べたウナギの栄養分が梅干しで消化されてしまうのではと心配した
3 ウナギが傷んでいると酸味が出るが梅干しと一緒に食べていると傷んでいることに気がつけない
こうして見てみると食べ物を大切にしていた昔の人の知恵から食べ合わせの話が生まれたのですね。
まとめ
「梅はその日の難逃れ」と言います。
朝に1粒梅干を食べると一日中災難をまぬがれるそうです。
お弁当やおにぎりには梅干しが欠かせません。
たかが一粒されど一粒。
梅仕事の季節、梅と塩とお日様の力を借りて手作りの梅干しを作りませんか?
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