飲食

冷凍食品の歴史 「自然解凍できないジャガイモがヒントに」

今ではどこの家庭の冷蔵庫にもひとつは入っている冷凍食品
「冷食」や「チン」とか言っても簡単に通じちゃいます。もちろん、我が家にもありますよ。ひとつどころじゃありませんが(笑)

でも、ここまで人気だと気になりませんか?その歴史が!

今回は、冷凍食品の歴史について調べてみました。

冷凍イチゴから始まった冷凍食品

冷凍食品の歴史

冷凍食品の始まりがいつだったのか、ハッキリした記録はありません。

でも、1900年頃のアメリカでジャムに加工するためのイチゴが日持ちしないため、輸送中に傷まないように冷凍したのが初めてのようです。もちろん、業務用の話ですから、一般家庭に広まるのはもっと後の話です。

冷凍食品、というより食品の冷凍と言ったほうがいいのでしょうが、その意味では日本も負けていません。一日に10トンもの魚を凍らせる冷蔵庫を現在のニチレイの前身となった会社が1920年、大正9年に建設しています。

そして、日本初の冷凍食品は、大阪・梅田の阪急百貨店で販売された冷凍イチゴの「イチゴシャーベー」でした!なんと、戦前の1931年、昭和6年のことです。

東京オリンピックに挑む

冷凍食品の歴史

日本で冷凍食品が本格的に普及したのは1964年頃といわれています。東京オリンピックが開催された年です。

その前年、1963年4月に日本を代表する4つのホテルの料理長が集められたことがありました。オリンピックの選手村で提供する食材の調達問題について話し合うためです。大会期間中に必要とされる食材は肉が120トン、野菜が356トン、魚が46トンと試算され、その膨大な量は当時の東京都民が1日に食べる5%の量にもなることが分かりました。これを大会期間中にまとめて購入するとなると、市場から食材がなくなって価格が高騰するのは目に見えています。

庶民の食卓に影響を出さない方法はないかと考えた結果が、冷凍食品の利用でした。

自然解凍できないジャガイモがヒントに!

事前に食材を集めて冷凍しておけば、価格の高騰を避けられます。
集まった4人の料理長の一人だった帝国ホテルの村上信夫さんは、「日本冷蔵株式会社」(現・株式会社ニチレイ)と協力して冷凍食材でも美味しく食べられるメニューの開発に乗り出しました。ところが、当時の冷凍技術は「冷凍させるなら大丈夫」というレベルのもので、自然解凍すると食感が悪く、水っぽさもあって納得できる食事にはなりません。

そこで、村上さんはある自身の経験を思い出します。それは元日本兵としてシベリアに抑留されていたときのことです。シベリアではあまりの寒さに凍ったジャガイモは自然解凍ができませんでした。そこで熱湯を使って解凍したのです。

これをヒントに村上さんは、熱湯で解凍することを思いつき、さらには食材によって冷凍方法や解凍方法を変えて、見事に選手村の料理を冷凍食材で作り上げました。

一般家庭の食卓へ

冷凍食品の歴史

このことをきっかけに冷凍食品の人気は一気に広がります。
1970年の大坂万博でも冷凍食品は大人気となって、ファミリーレストランの普及にも貢献しました。1980年代には家庭用電子レンジも一般家庭で買える値段となり、家庭用の冷凍食品の需要も増えてゆきます。
冷凍技術も進歩して、より新鮮な状態で食材を急速冷凍できるようになったのも大きいでしょう。

1984年には、日本初のピラフやグラタンなどの本格的な冷凍食品が発売され、1987年には電子レンジの普及率が50%を超えました。1990年代以降は、電子レンジで解凍するだけで焦げ目まで付けられるグラタンなどが次々と発売されて、1999年には今ではお弁当のメニューには欠かせない自然解凍で食べられる冷凍のおかずが大ヒットとなりました。

このようにして、日本では「冷凍食材を使ったお料理」から「冷凍した調理済みのお料理」へと冷凍食品は進化していったのです。

TVディナーが食べたい!

冷凍食品の歴史

ところで皆さん、タイトルにある「TVディナー(TV Dinner)」って知っていますか?

コレ、私の憧れだったんです(笑)

何のことかというと、1950年代にアメリカのスワンソン(Swanson)社が発売した冷凍食品で、ひとつのトレーにメインのお料理、ポテトサラダ、パンやデザートまでがセットされていて、トレーごと温めれば、一食分の食事が簡単に作れるというものでした。テレビを見ながら食べられるディナーということらしいです。アメリカでは今も人気のメニューで、スーパーにはTVディナーコーナーまであるとか。味は正直、ちょっと・・・ということらしいのですが(笑)

ハリウッド映画やアメリカのドラマなどで見掛けてからスーパーに行ったんですが、売っていない!諦めつつも調べてみたら日本にもありました!

イオンのプライベートブランド「トップバリュ」の冷凍食品の中で「2種のチーズのハンバーグとチキンピラフ」「チキンライスとデミグラスソースハンバーグ」というのがあったんです。

チキンライスとデミグラスソースハンバーグ 13品目入りの商品情報

量は女性の一食分にちょうどいいくらいで、味もなかなか。しかも、お値段も税込み321円(希望小売価格)と大変安いので、興味がある方はぜひお試しあれ!

まとめ

冷凍食品が日本で普及するきっかけが東京オリンピックにあったとはとても意外でした。しかも、そのアイデアがシベリア抑留中の経験から生まれたことにも驚きです。こうした積み重ねが今の美味しい冷凍食品を生み出したんですね。

関連記事:
「カップラーメンの意外な歴史【ハプニングで生まれた!?】」

 

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