令和3年2月22日(月)現在、1都2府7県で新型コロナウィルス感染症緊急事態宣言が出ており、現地では不要不急の外出自粛に努めている方も多いことでしょう。
不肖ながら神奈川県民である筆者も、なるべく外出をせず、自宅でできることに取り組んでいますが、今回はそんなステイホームの一つとして、味噌の手作りを紹介したいと思います。
味噌の仕込みは今がシーズン、今から始めれば早くて10~11月には食べられるようになりますので、充実した「おうち時間」のお供にいかがでしょうか。
あるいは、実際に作らなくても「へぇ、味噌ってこうやって作る(人もいる)んだ」という話のネタ程度におつき合いいただければ幸いです。
味噌づくりに必要な材料&道具
まず、味噌づくりに必要な材料(食材)と道具(食器など)を用意しましょう。
【味噌づくりの材料】
※味噌7キロ分
一、大豆……1.8キロ
一、米麹(こめこうじ)……2.0キロ
一、塩……0.85キロ(850グラム)
一、種味噌(たねみそ)……0.2キロ(200グラム)程度
一、水……ざっくり6~8リットル【味噌づくりの道具】
一、大きな鍋(大豆を煮る)
一、すり鉢&すりこぎ(煮た大豆をする。ミキサー等でも可)
一、樽(たる。仕込んだ味噌を寝かせる)
一、樽の中蓋(あればでOK)
一、重石(味噌の重さの10%程度。あればでOK)
一、計量カップ
一、大きなザル(大豆を洗ったり、湯を切ったりする)
一、その他(煮た大豆を一時置きする容器など)
これらのものを一度に揃えるのは大変なので、市販の味噌づくりキットを買うのでなければ先に入手したものから保管することになると思いますが、米麹は冷凍保存、種味噌は冷蔵or冷凍保存が基本。他のもの(大豆など)は常温保存で大丈夫です。
さて、準備が出来たらいざ味噌づくり……と行きたいところですが、味噌づくりには前日準備が必要となります。
前日準備
……と言っても、大豆を洗って一晩(10時間以上が目安)水に漬けておくだけなので、難しく考える必要はありません。
米をとぐような感覚で大豆を洗ったら(表面の小さなゴミや汚れがとれる程度でOK)大きな鍋に入れて約2倍の水に浸します。
今回、大豆は1.8キロなので水は3.6リットルですが、多くて困ることはないので、ペットボトル(2リットル)の水2本分の4リットルをたっぷりと吸わせました(計算も簡単ですしね)。
水も味噌の品質に影響してくるはずなので、筆者の家ではミネラルウォーターを惜しみなく与えることにしています。
そして翌朝、たっぷりと水を吸っておよそ2倍に膨れ上がった大豆たちを、4~5時間じっくりと煮込みましょう。
大豆を煮る・米麹と塩を混ぜる
大豆を煮る時は、沸騰するまで強火、沸騰したら弱火でコトコト煮込みます。大量の灰汁(アク)が出ますが、別に気にしなくて大丈夫です。吹きこぼれると後の掃除が面倒なので、フタはしない方が良さそうです。
大豆を煮ている途中、どんどん水が蒸発してしまうので、大豆が水面から出てしまわないように適宜水を補充しましょう。とうぜん水温は下がるので、また沸騰するまでは強火にしてもいいでしょう。
そうやって大豆を煮ている間に、冷凍しておいた米麹を解凍しておきましょう。冷凍庫から常温に出して2~3時間放っておけば大丈夫です(米麹の解凍が不十分だと、後で塩と混ぜる時に冷えすぎて手が痛くなります)。
解凍した米麹は塩と混ぜるのですが、こうすることで後ですり潰した大豆と米麹を混ぜた時、一緒に塩もまんべんなく行きわたったことを米粒で確認できます。
とかく味噌づくりの失敗は「塩分濃度にムラがあること」に起因することが多いものですから、米麹と塩を混ぜる工程は抜かりなくやっておきましょう。
すべての素材を混ぜ合わせる
さて、大豆が煮上がった(指で軽く潰せるくらいの柔らかさならOK)ら、すりこぎなどでペースト状に潰していきます。フードプロセッサーなどがあると便利ですが、潰せれば何でも(それこそ指で潰しても)OKです。
※大豆を煮た種水(たねみず。煮汁)は、大豆の栄養が溶け込んでいるので、他の料理に使ってもいいですね。また、大豆ペーストがあまりに固くてかき混ぜるのが大変な場合、少し足してゆるくするのにも使えます。
すべて潰し終わったら、先ほどの米麹&塩そして種味噌を投入して丹念に混ぜ合わせます。混ざり具合の目安は、どこを握っても米粒(米麹&塩)が手に感じられる程度となります。
ちなみに、種味噌というのは文字通り味噌の種で、新しい味噌たちの発酵を助ける先輩みたいな存在です。市販のキットを買えば大抵ついてきますが、前年に自分で作った味噌を使うと「我が家代々の味」が出せるかも知れません。
こうして大豆ペーストと塩と米麹と種味噌(そして入れた方は種水)が完全に混ざり合ったら、樽の中に空気が入らないよう、空気を押し出すような感覚で詰め込んでいきましょう。
とかく空気に触れる面積を最小限にすることが、味噌づくりにおける成功の基本です。
仕込み完了・夏のお手入れ「天地返し」
すべてしっかりと樽に詰めたら表面に(カビ防止と水分調整用の)化粧塩を振ってラップ(和紙なども好適)で覆い、あれば中蓋を置いて重石を乗せます。
樽にも蓋をしたら、風通しのよい冷暗所(例えば床下収納など)にしまって味噌の仕込みは完了となります。
あとは約半年後(※)に一度取り出して「天地返し(てんちがえし)」をしますが、これは味噌を全体的にかき混ぜることで水分や熟成度合いを均一化し、また悪いカビなどが出ていないかチェックする役割があります。
(※)真冬~3月ごろの仕込みであれば7~8月、4~6月ごろの仕込みなら9~10月の作業になります。
時おり味噌樽の中に醤油みたいな液体がたまっていることがありますが、それは文字通り「たまり」と言って味噌の旨味が凝縮されていると同時に、味噌が順調に発酵している証拠です。
できれば味噌に戻して混ぜ込んでやった方が味噌は美味しく仕上がりますが、たまり自体も美味しいので、少し汲みとって醤油の代用に使うのもなかなか行けます。
ちなみに、よく味噌樽の中に浮いている白いカビは産膜酵母と言って食べても害はありませんが、酸化していて味が悪いため、お手入れに際しては取り除くのがおすすめです。
こうしたカビは、なるべく味噌を空気に触れさせないこと、塩分濃度を高めることで少なく抑えられるので、せっかくの味噌が減らないよう工夫しましょう。
ついに完成!
天地返しも終わって、夏を過ぎたら(※)ついに味噌の完成です。真冬~3月ごろの仕込みであれば、10~11月には食べられますが、もっと熟成させてみるのも味わい深いものです。
(※)実は、仕込んだ瞬間から味噌の味なのですが、夏の暑さで十分に発酵させることで、味により深みを増すと共に保存性が高まります。
以上、ごくざっくりと味噌づくりを紹介してきましたが、味噌づくりにかかった日数は前日準備と当日の仕込み、半年後の天地返しとたったの3日。
完成した味噌を味わう時間はもちろんのこと、樽の中でジワジワ熟成されていく味噌の様子を思い浮かべながら過ごす日々も楽しめるでしょうから、かけた手間が何十倍になって返ってくると言っても過言ではないでしょう。
かく言う筆者も今年で4年目の味噌づくり。お陰様で、楽しませて頂いています。皆様も、ステイホームのお供に味噌づくりはいかがでしょうか。
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