世界中で多くの人々から愛飲されているコーヒー
日常生活の中でも仕事の中でも様々な場面で飲用されている。昨今では、多種多様なフレーバーのコーヒーがいつでも楽しめるようになった。
コーヒーはどのようにして、現代のスタイルへと変化していったのか。
コーヒーの歴史はもともと、アラビアの地で薬として飲まれたのが始まりとされており、コーヒーは当初、その効能から覚醒作用を持つ秘薬として始まったのだった。
欧州地方へ渡る
1600年代、コーヒーはアラビア地方から欧州地方へと渡った。
当初は異教徒の飲み物だとされ受け入れられなかったが、ローマ法王がこれを認め、キリスト教徒間でも抵抗が無くなった。
これを境に次々とコーヒーハウスがオープンし始め、人々の社交の場として重要な役割となっていったのである。しかしその一方で、コーヒーハウスは女人禁制とされていた。
「コーヒーを飲用すると子供が出来ない、身体に毒だ」などと言われたのである。
その後イギリスのロンドンにて、この事に不満を爆発させた女性達がコーヒーハウスに集う男衆に対して反対運動を起こすまでになった。同様の騒動は後にドイツでも起こった。
この頃の1640年代に、日本の長崎県出島にコーヒーが初上陸する。
コーヒーが世界へ 日本人が初めてコーヒーを飲む
1700年代、欧州地方の国々の植民地活動が進み、コーヒーの木も世界各地へと広がっていく。18世紀初頭、大生産地となるブラジルへ種と苗木がわたり、生産が開始された。
1804年、狂歌師の太田南畝(おおたなんぽ)が初めてコーヒーを飲み、その感想を「コーヒーは焦げ臭くて、味わうに耐えず」と残している。この頃はまだ、日本人の舌にコーヒーの苦味は受け入れられず、美味しいとは決して感じられなかったのが分かる。
1823年の江戸末期、オランダ人医師のシーボルトが日本にまだコーヒーが普及していない事に対し、自身の著書にコーヒーは健康や長寿に効果的な薬であると掲載し、アピールした。
その後1888年、東京下谷黒門町に「可否茶館」が開業し、日本初の本格的な喫茶店が出来た。
インスタントコーヒー誕生
インスタントコーヒーは1889年に、ニュージーランドのコーヒー販売業者・デイビッド・ストラングが、可溶性コーヒー粉末の作成法の特許を取得したのが記録上の最初の例である。
1899年には、アメリカに住んでいた日本人科学者・加藤サトリ氏が、緑茶のインスタント化の研究過程の中で真空乾燥法によるインスタントコーヒーを発明した。
シカゴで加藤商会を設立し、後に博覧会にも出品した。1903年には特許を取得したが、商品化には成功しなかったようである。
その後、いくつかのメーカーがインスタントコーヒーの製造販売をするようになった。
その中で最も成功を収めたのが、スイスに拠点を置くあのネスレである。
コーヒーが身近な存在へ
1911年には銀座で「カフェー・プランタン」がオープンした。当時は珍しい、洋酒やソーセージ、マカロニグラタンなども提供されていた。
その後「カフェー・パウリスタ」がオープン、まだコーヒーが高級品とされる中で低価格コーヒーを提供し始める。なぜそのような事が可能だったかというと、ブラジルコーヒーの普及とPRのためにオープンしたため、ブラジル政府から豆を無償で提供されていたためだった。
そして時同じくして「カフェー・ライオン」もオープンした。美人女給がお揃いの衣装で接客することが評判となり、メイドカフェの走りともされている。
こうして沢山の人々に愛される喫茶店文化が始まったのである。
喫茶店はハイカラな文化人達の社交場として栄え、日本でもコーヒーが広く愛されるようになった。
コーヒーブーム到来
1960年代、インスタントコーヒーや生豆の輸入の自由化により「第一次コーヒーブーム」が起こった。コーヒーが大量消費され、より身近なものとなった。
1969年、世界初の「ミルク入り缶コーヒー」が発売された。これは自動販売機の普及も背景にある。
1996年頃から「第二次コーヒーブーム」が始まり、従来の豆を浅く焙煎したアメリカンコーヒーとは違い、濃く抽出されたエスプレッソにミルクを入れて提供する、アメリカのシアトル系のチェーン店が進出し始める。その後、ラテ系(ミルク入りエスプレッソ)のアレンジメニューが認知されて広がっていった。
2010年以降、一杯ずつこだわりのコーヒーを淹れるというスタイルの「第三次コーヒーブーム」が到来する。
近年では当たり前のように品質にこだわった美味しいコーヒーが積極的に開発され、いつでも美味しいコーヒーが楽しめるようになった。
コーヒー成分と健康
コーヒーはもともと薬として飲まれたのが始まりだったが、コーヒーに入っている成分で知られている、主な二つの成分を紹介する。
・カフェイン
覚醒作用があり、集中力、計算能力を高める。運動能力の向上効果もあり、自律神経の働きを高めて体脂肪の燃焼が促進することで、ダイエット効果も期待されている。
また、利尿作用により老廃物が排出される。
・コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)
もう一つ注目されているのがポリフェノールである。ポリフェノールは、緑茶、紅茶など他の食材にもあり元は植物に含まれる成分である。その種類は何千種類にものぼる。
高い抗酸化作用があり、がん、糖尿病、動脈硬化の予防に効果があるとされている。また、メラニンの生成を抑えてシミ、シワを抑制することでアンチエイジングにも有効とされている。
また、別の活用法として「脱臭剤」としても使える。
飲み終わったコーヒーかすを十分に乾燥させ、ハギレやガーゼに包み、匂いの気になる場所に置いておく。
コーヒーは飲用だけで無く、生活の中でも身近な存在であり、かつ活用できるものなのだ。
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