地理

原宿にはかつて「ナウマンゾウ」がいた

ナウマンゾウとは、今からおよそ65~42万年頃から2~1万5千年頃まで生息したとされている、象の一種である。

ナウマンゾウの体の特徴としては、体調はやや小型で肩高2.5m〜3mほど。牙が発達しており体毛で覆われていた。

最も個性的なのは、ベレー帽子をかぶったような隆起がある頭の形であり、これは前頭頭頂隆起(ぜんとうとうちょうりゅうき)と呼ばれている。

原宿にはかつて「ナウマンゾウ」がいた

画像 : 野尻湖ナウマンゾウ博物館のナウマンゾウ像生体復元模型 wiki c

ナウマンゾウの名前の由来は、明治時代に日本で初めてゾウの化石を研究したドイツの地質学者・エドムント・ ナウマン博士の名前が由来となっている。

氷河期時代の日本や中国大陸の一部に生息

ナウマンゾウは氷河期時代の日本や中国大陸の一部に生息していたとされ、多くの化石が発掘されている。

かつての日本は島国ではなくユーラシア大陸と地続きであり、ナウマンゾウは南アジア方面から日本に渡って来たと考えられている。

原宿にはかつて「ナウマンゾウ」がいた

画像 : 鮮新世後期 – 更新世前期には、日本海の拡大は終息して島孤は現在に近い配置になっている。

日本では、長野県信濃町野尻湖で最も多くの化石が発見されており、長野市、上田市、中野市など他11箇所でも発掘されている。

他には千葉や北海道、神奈川など日本大陸全域に分布していたようだ。

原宿近辺でも化石発見

原宿にはかつて「ナウマンゾウ」がいた

画像 : ナウマンゾウ親子の生体復元模型 wiki c Captain76

1971年、地下鉄千代田線の地下工事が行われた時に、原宿駅付近の神宮橋の地下21メートルあたりから、ナウマンゾウの化石がまるまる一頭分発見された。

地下鉄の明治神宮駅を作るための工事だったが、ちょうど地下鉄工事に必要な深さの地層に化石が眠っていたようである。

地層の年代は約1万5000年前であり、最初に牙が発見され、下顎、首、肋骨と最終的に全身が掘り起こされ、当時ちょっとしたニュースとなった。

都内では他にも田端駅、日本銀行本店付近など、計20箇所以上で発掘されている。

ナウマンゾウが絶滅したとされている2~15000年頃は旧石器時代にあたり、ナウマンゾウは当時の人類の狩猟の対象であったと考えられている。

原宿に訪れた際は、かつてはナウマンゾウが闊歩していたことを想像して楽しんでみるのも一興かもしれない。

参考文献 : 地理の話大全

 

アバター

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 象への虐待について調べてみた 「タイやインドの観光の陰」
  2. 江戸時代以前の東海道について調べてみた
  3. 日本の夏は昔と比べてどれくらい暑くなったのか? 【1875年以降…
  4. イングランドで愛される犬と猫たち【公務員として働く猫】
  5. グランピング おすすめスポット 4選
  6. マッコウクジラの腸結石(アンバーグリス) を海辺で拾えば一攫千金…
  7. 【プラスチックを食べるキノコ】 地球の深刻な汚染問題を解決する手…
  8. 「海上にできた巨大ごみ集積所」太平洋ゴミベルトとは 〜人間もビニ…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

催眠術を使う最強剣豪・松山主水 「武蔵も逃げ出した二階堂平法」

松山主水とは松山主水(まつやま もんど)とは、江戸時代の初め、肥後熊本藩主・細川忠利の剣…

江戸時代にあった現代にない職業 「ゴミの出にくい社会だった」

私の町内では火曜と金曜にゴミ出しがあり、多くの家庭がゴミを出します。いたって普通の光景ですが、300…

ミイラとなった奥州藤原氏 「藤原清衡ら4人の身長や血液型が判明」

平安時代、朝廷との円満な関係と信頼関係を築き、およそ100年もの間、平泉を中心に自治支配を行い独自の…

【失業保険・自立支援・障害年金】うつ病などで働けなくなったときの支援制度

なにかとストレスの多い現代において、うつ病などの精神疾患は誰にでもなる可能性がある。可能性の話な…

【祖語を蘇らせろ!】 言語のルーツを追い求めた19世紀の「言語学」

1786年、インドに赴任していたイギリス人裁判官ウィリアム・ジョーンズが、一つの仮説を発表し…

アーカイブ

PAGE TOP