近年、空前の筋トレブームである。
アスリートでない一般の人々であってもパーソナルトレーナーをつけて筋トレをしたり、24時間ジムもここ数年で増えていたりと、筋トレをしている人が珍しくない存在になっている。
今回は、なにをきっかけに流行したのかを含め、筋トレがもたらす効果について解説する。
筋トレブームのはじまり
日本で「筋トレ」が注目されたきっかけのひとつとして、2005~2007年に爆発的に大ブームを巻き起こした「ビリーズブートキャンプ」がある。
当時、「エクササイズDVD」としてダイエット目的のためにテレビショッピングで何度も宣伝されていた。DVDの内容としては、キックボクシングを基に有酸素運動・ストレッチ・筋力トレーニングを織り交ぜた「ビリー隊長」考案の動きを真似して7日間でかっこいい身体を手に入れる、というものである。
それまで日本で流行していたダイエット法といえば「〇〇するだけ」「ラクに痩せられる」などの簡単ですぐに効果がでるものが多かったが、ビリーズブートキャンプはつらいが効果がある商品として大ブームになった。
SNSの普及と筋トレブーム
ビリーズブートキャンプの流行以降、さまざまなエクササイズDVDが発売されたり、加圧トレーニングが流行したりと、フィットネスが注目されるようにはなってきたが、現在のような「ジム通い」や「筋トレ」を自ら行う人が増えたわけではなかった。
そんな中、2014年にCMでお馴染みの「RIZAP」が注目されるようになり、プライベート型のジムが流行し始めた。
また、そのころネットでは、カネキンやサイヤマングレートなどの「筋肉系youtuber」と呼ばれる人たちが自らのトレーニング方法や食事内容を紹介する動画チャンネルを開設し始め、筋トレがより身近なものになってきたのである。
同じ年に「Instagram」も日本語アカウントが開設されたことで「自撮り」した写真を投稿することが流行し、一般の人であってもジムでの様子や自身の体型の写真をSNSに投稿することに抵抗がない人が増えてきた。
筋トレがもたらす効果
前述のとおりダイエット目的で流行したビリーズブートキャンプは7日間で完結するものだったり、ライザップであれば2か月で変化を実感できるというものである。
しかし、現在はダイエット目的ではなく、生活の一部として筋トレを続けている人が多く存在している。
筋トレがもたらす効果とはどのようなものがあるのだろうか。
筋トレを継続して行うと筋肉量が増え、基礎代謝量も上がる。基礎代謝とは動いていなくても体内で消費される必要最低限のエネルギーのことであり、筋肉量が増えることにより体内で熱を生み出す力が強くなり、痩せやすく太りにくい身体を作ることにつながるのだ。
また、筋トレをすることで血流やリンパの流れがよくなり老廃物が流れ全身のむくみや肩こりが改善される。
筋トレによって分泌される成長ホルモンは細胞の合成促進をし、骨や筋肉を作るだけでなく、脳の疲労回復や病気への抵抗力をつけることにも役立つため、疲れにくい身体を作ることや、身体の若返りが期待できるのだ。
成長ホルモンだけでなくほかにも、テストステロン・カテコールアミン・インスリンが分泌され、これらによってもうれしい効果が期待される。
テストステロンは通称モテホルモンと呼ばれており、自分に自信を持てたり前向きになれるといわれている。カテコールアミンはアドレナリンやドーパミンをつかさどるホルモンのことで、筋トレをした後の爽快感はこのホルモンによってもたらされている。
また、インスリンは糖の代謝にかかわるホルモンであり、高血糖の人が筋トレをすれば血糖値が下がるため、生活習慣病予防にもつながるのだ。
ブームから文化に
前述のとおり、筋トレはダイエットや体型維持だけでなく、若返りを期待したり、疲れにくい身体を作ったり、精神的にもいい効果が多くみられるため、継続して筋トレを行う人はどんどん増えてきているのだろう。
現在、コンビニやスーパーにいけばプロテインやサラダチキンなどの、筋トレをしている人向けの商品が手軽に購入できる時代になっている。それほど筋トレは生活に密着したものとなっており、男性だけでなく女性も筋トレをする人が増えている。
「筋トレ」や「プロテイン」などと聞くと、ボディビルダーのような体型の男性を想像したものだが、現在は健康維持・ダイエットや美容のために筋トレをしたり、プロテインを積極的に摂ったりする人が男女ともに多い。
特に現在は、「美尻ジム」などの女性向けのジムが登場したり、モデルや女優もトレーニングをしている様子をSNSに投稿したりと、それまで細ければ細いほど美しいという考えが日本の女性には定着していたが、鍛えた身体やメリハリのある身体が魅力的であるという意識にシフトしてきている。
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