スポーツ

クラシックバレエ教室の秘密について調べてみた

クラシックバレエ。恐らく、大半の人にとっては縁のない習い事だろう。
クラシックバレエ教室には、習っていた人にしか分からない、独特の文化があるようだ。

年上を「お姉さん」と呼ぶ

クラシックバレエ教室の秘密について調べてみた

※トゥ・シューズ。Wikiより

年上の生徒のことは、「お姉さん」と呼ぶ。

たとえば、「今日はお姉さんたちのクラスで一緒にレッスンね」とか、「早くお姉さんたちのように上手に踊れるようになりましょう」といった使い方をする。特定の誰かを「お姉さん」と呼ぶことはなく、その場合は普通に「○○さん」と名前で呼ぶ。
相手が年上であれば、習い始めたのが自分よりも後の後輩だろうが、全員「お姉さん」である。「○○先輩」という呼び方はしない。
なお、年下を「妹」と呼ぶことはない。

胸が大きい子は憐みの対象

一般的に、胸の大きい女性というのはそれを誇りに思っていそうだが、バレエにおいては逆である。
胸が大きいと、回転したり飛んだりした際に、胸が揺れて邪魔になり、とても踊りにくいのだ。
そのため、あまりにも胸が大きい人は、若干憐みの目で見られることがある。

背が大きい生徒は得をする

発表会の踊りの種類分けは、生徒の年齢によって振り分けられる。
たとえば、小学1年生のグループは「Aの踊り」、小学2年生のグループは「Bの踊り」といったように分けられる。
しかし、特別に背が高い生徒がいた場合は事情が異なる。同じ学年で合わせてしまうと、一人だけ舞台で目立ってしまい、見た目のバランスが悪くなってしまう。
そのような生徒は、踊りの種類をランクアップしてもらえる。つまり、“お姉さん”たちと一緒に踊れる。より派手で難しい振付の踊りのメンバーになれるのである。
しかしそれでは、背の高い子だけがいつも得をしてしまう。そこで先生は、背の高い生徒をお姉さんグループに入れる代わりに、見せ場を作らないという“引き算”を行う。こうすることで、生徒間での不満を解消している。

舞台でチョイ役をやっているのは、実は他のお教室の先生

バレエの舞台を観ていると、“チョイ役”がいるのに気づくだろう。
たとえば『コッペリア』に出てくる人形のコッペリアは、バルコニーで座って読書をしたまま、殆ど動かない役である。これを教室の生徒にわざわざやらせるというのは、ちょっと酷である。
それでは、あれらのチョイ役をやっているのは、一体誰なのかというと……
他のお教室の先生である。
他のお教室の先生はチョイ役の他、雑用も手伝ってくれる。
そしてその先生のお教室で発表会をやる際には、今回手伝ってもらった側の先生が、お返しに同じようにチョイ役を演じる。
お教室の発表会は、助け合いの精神で成り立っている。

トゥ・シューズは別名「拷問靴」

トゥ・シューズは、かつて「拷問靴」と呼ばれていた。昔は種類があまりなく、自分の足に合わないシューズを履いて無理矢理踊っていたため、痛みが酷かった。
現在は様々なタイプのシューズが売られているが、それでもトゥ・シューズで立ち続けると、足の指の皮がむけて、靴の中が血まみれになってしまうことがある。
しかも、それが例えば発表会の途中であったりしたならば、皮がむけたまま踊り続けないといけない。そうなるとまさに「拷問靴」である。
皮がむけないようにテーピングをする人が殆どだが、テーピングをし忘れた場合や時間がなかった場合などは、覚悟して踊るしかない。

ティアラ格差

発表会の時に、頭につけるティアラ。ティアラを見ただけで、その生徒のランクが大体わかってしまう。
幼稚園くらいの年齢の子は、とても小さなティアラをつける。小学校低学年になると、それが一回り大きくなる。もう少し年上になると宝石の数が増え、いかにもなティアラに進化する。
大学生になれば、かなり立派なティアラになり、先生クラスになると、まるで宝石の塊のようなギラギラのティアラになる。
踊りの種類によってもティアラが違うので、そこを見れば大体のランクが分かるのだ。

“深窓の令嬢”が実在する

バレエ教室に通っている生徒の大半が、いわゆるお嬢様である。
親の職業は様々で、医者や弁護士が多い。普通のサラリーマン家庭や公務員の家の娘もいるが、少数派である。
そんな中で、一際光輝く存在——それが「深窓の令嬢」である。
控えめな性格で、有名なお嬢様学校に通っていて、レッスンの送り迎えは高級外車。絵に描いたような超・お嬢様である。孤高の存在だ。

男性のダンサーと踊るには謝礼金がとてもかかる

※パ・ド・ドゥ。Wikiより

お教室に男性の生徒がいれば、その生徒とパ・ド・ドゥを踊ればいいのだが、いない場合はバレエ団から男性のダンサーを連れてくることになる。
そのため、男性のダンサーと踊るには、多額の謝礼金がかかる。
たとえば、リフト(上に持ち上げる)1回につき○万円、身体を支えながらのアラベスク1回につき○万円……といった具合だ。

おわりに

この世にはクラシックバレエ教室が沢山あるので、上記に当てはまらないお教室もあると思う。
上記は、筆者の実体験と、知り合いから聞いた話をまとめたものである。
中々知ることのできない、小さなバレリーナたちの秘密のお教室。もしお教室の発表会を観る機会があったら、踊り以外の部分にも注目してほしい。

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
歌夜

歌夜

投稿者の記事一覧

人形と本で埋め尽くされた部屋に住んでいる。古いものと、変なものが好き。

コメント

  1. アバター
    • 匿名
    • 2018年 7月 09日 11:40pm

    この投稿はバレエを愛する人達の為になるモノでしょうか?
    個人的な意見と、真実に近い意見、また先入観の意見を含めて誰が得をする投稿なのでしょう???
    この投稿をした方はバレエがお嫌いですか?

    0
    0
  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 日本人と「あのスポーツ」との出会いとは? 【野球、サッカー、バス…
  2. 【バスケ日本代表】 指導者トム・ホーバスと、元サッカー日本代表監…
  3. 日本初の「歌う女優&美容整形女優」松井須磨子
  4. 高松宮記念の歴史を調べてみた
  5. 【900円で買った胸像が4億6000万円に】 倉庫のドアストッ…
  6. NFLドラフトのルールと用語解説 「日本のドラフトより50年進ん…
  7. 幻の東京オリンピック(1940年)招致に命を懸けた男~嘉納治五郎…
  8. ギャンブル王からサッカー界の革命家へ 【三笘所属のブライトンオー…


カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

源頼朝はなぜ死んだのか?様々な死因説 「家康が記録を消した?」【鎌倉殿の13人】

「冷酷無情の政治家」と呼ばれた源頼朝。先日放送された「鎌倉殿の13人」では、大泉洋が…

東京の地名の由来

はじめに日本の首都「東京」。2020年のオリンピックも決まりますます発展していく東京ですが、もち…

豊臣秀次はなぜ切腹することになったのか? 「妻子や侍女たちも斬首、豊臣家弱体のきっかけ」

今回は秀吉の晩年の愚行の一つと言われている豊臣秀次切腹事件について迫る。豊臣秀次が切…

必ず身近でウミガメが見れる島〜 琉球郷(小琉球)とは 「台湾のオススメ観光スポット」

小琉球と呼ばれる島小琉球とは、台湾の本土から南西やく13キロメートルの場所にある、台湾で…

島津義弘の晩年エピソード 「ぼんやり防止はコレが一番?鬼島津と恐れられた戦国武将」

泣く子も黙る鬼島津……そう異名をとったのは、薩摩国(現:鹿児島県西部)の戦国武将・島津義弘(しまづ …

アーカイブ

PAGE TOP